Funny-Creative BLOG

電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#1 『なぜ通うことにしたかという前説』

こんにちは、幾谷正です。

ネット上では「打ち切られるはずだった作品を同人として継続して自力で電子出版し続けている」という経歴の元ラノベ作家ってことになってます。
セカイ系SFロボットラブコメノベル『アーマードール・アライブ』おかげ様で順調に作品は第5巻を発売しまして、第6巻も順調に執筆中です(宣伝)

アーマードール・アライブ ? 〜持たざる者と嫉妬の悪魔〜

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「作家が自分で製本も販売も宣伝も行えば出版社とか要らんやん」という思想を発端として書き続けてきましたが、正直この試みは完全に成功していて、あとは完結まで書き続けるだけという状態です。
ただそれとは別に、僕という人間個人にとって、この活動一本で食えるわけでもないし、何か先が見えているわけでもない。
今後も同じ活動を続けていくかというと体力的にも気力的にも難しいと思っており、行き詰まりも感じ始めていました。

ところで僕は本業では、東京でWEBエンジニア兼社内SE兼ライターみたいな三足のわらじを履くような仕事をしています。
たまに「せっかく元ラノベ作家って面白い設定があるので何か活かしたいな」とは言っていたのですが、そうそう都合良くそんな話が来るはずも無く・・・と思いきや。

社内のちょっとした事情から「ちょっと漫画を作りたいからシナリオとか書いてみてくれない?」という無茶ぶりが社内で発生しまして、「そういうことならやりますよ」と二つ返事で承諾。
そんな案件が2件、3件と立て続き、WEBエンジニアのくせに3作目の漫画原作シナリオをなぜか作成中という状況になってます。

そもそも僕がラノベ作家を目指した経緯って、実を言えば最初から「ラノベ作家になりたい」と思って書き始めたわけではなく、どちらかというとラノベよりアニメとか映画のような映像作品が好きなオタクでした。
ただいきなり自分のような何の専門性のない素人が「アニメで仕事をしたい!」と言ったところで無理なのはご承知の通りだと思います。
(事実、大学4年次にアニメ制作会社の新卒採用を何件か受けてみましたが全滅しています)

そもそも脚本家とかシナリオライターという仕事について、実際に活躍している人の名前は毎日作品のクレジットで目にしますが、どうやってなるものか点でわかりませんでした。
wikipediaで経歴を見てみても「業界関係者の知り合いだった」とか「舞台脚本の仕事をしていたらスカウトされた」とかの偶発的ななり方ばかりで、確実性のあるものが一つもありません。
そういうわけで、「とりあえず何かしらの形でデビューしておけばチャンスもあるだろう」と考えてラノベ作家を目指して、新人賞を得たというわけです。
「作家として仕事して上手く成功していけば、いつか映像業界で仕事するチャンスがあるかもな」という打算の部分が大きかったのです。

ただデビューから3年経って編集との確執や炎上を機にラノベ作家を表向きには辞め、創作はあくまで副業や趣味としてやろうと決めて本職のエンジニアを続けてきました。
僕が知る限り、ラノベ作家を辞めた人間の取るルートには幾つかの選択肢があって、その一つがまったく異業種で普通の仕事に就くという僕の取ったパターンです。

他にも、同時期にデビューしたラノベ作家の多くがソーシャルゲームのライターになっているのを耳にしました。
自分もそちらの業界から何度か誘いを受けましたが、“射幸心を煽って賭博をさせる”というガチャのシステムが自分の倫理観の中で肯定できず、やはりこちらに行くこともありませんでした。
あるいは「『小説家になろう』で異世界転生を書いて作家として再デビュー」みたいな路線に入るパターンも見かけましたが、あの手の作品の面白さがどうも自分にはよくわかりません。

それよりは、普通の仕事をしながらでも、自分の作品をしっかり完結まで書き続け、汎用的に使える作劇の技術の研鑽をしたいというのが僕の中のポリシーでした。

流行や時流に流されず、自分自身の研鑽のために作品を書き続け、そんな折りにシナリオライターの仕事が降って湧いてきたというわけです。

商業作家を辞めてから5年経ってるとはいえ、僕自身はその5年間、プロとして手を抜かないクオリティを維持しながら電子書籍を5冊も出してきました。
1冊につき20万文字ぐらいとして、合計100万文字を趣味で書き続けてきたわけです。

これが普通のサラリーマンなら「シナリオを書くなんて無理です。プロにお金出して任せましょう」となるところ、僕にとっては朝飯前も同然の仕事でした。
内容としては魔法もSFも美少女も超常現象も出てこない、普通の現実世界を舞台にしたものですが、科学考証や世界観設定をしなくていいぶん、むしろ楽なぐらいの仕事でした。
そして「こういうものが書けるなら、別に実写映画でもドラマでも、シナリオさえ書ければ僕は楽しめる人間なんだな」と結果的に気づくこともできました。

しかも結果的に考えてみれば、「ラノベ作家になればシナリオライターになれるかも」という甘い考えで始めた結果、本当にシナリオライターの仕事ができたわけです。
デビューしてから、編集とケンカしたりカドカワに圧力かけられたりネットで炎上したりと嫌なことばかりでしたが、最近になってようやく自分のやってきたことを肯定的に感じられるようになりました。
ただ、下手に自分をラノベ作家だと思い込んでたせいで、もっと広い可能性があったのに自分で自分を縛っていたんだなと反省することも同時にありました。

社内でシナリオの仕事をしていると言っても、偶発的に発生した2~3件の仕事で、今後も継続的に同じ仕事が続くわけでもありません。
また、「シナリオライターとして仕事をした」とは言っても、正しい脚本の書き方や手順も知らず、独学の知識と技術だけでは結構限界があるなとも感じました。

そういった経緯から、本格的にシナリオライターとしての技術を学んでみようと思い立ち、青山にあるシナリオセンターの存在を知って半年間の講座に出てみることにしたわけです。
こういうものがあるともっと早く知っていたら、もっと早く通い始めてたんですが、ちょっと情報を知るのが遅すぎました・・・。
現役で脚本家の仕事されてる方の多くもここのスクールを出ている人たちらしく、自分も心機一転、キャリアの積み直しをするつもりで1から基本を学び直してきたいと思います。

「すでに作家デビューもしてて、シナリオライターとして仕事もしてて、いまさら学ぶことがあるのか?」と聞かれそうですが、僕も正直通ってみるまでよくわかりません。
ただ独学でやってきてしまった自分には、業界の人間なら知ってて当たり前の知識や基礎はたくさんあるのだと思います。
自動車で例えれば、無免許で運転してはきたけど交通標識の読み方は一つも知らないぐらいのものです。

また、センスや勘だけで書くのでは書けるモノに限界がありそうなので、そういった要素を補える技術も習得できたらと思います。
特に、シナリオって教えられたり強制されない限り、自分の好きなものしか書かなくなってしまうので、課題で色んなものを書かされる環境に身を置いてみるのは成長に繋がりそうだなと思います。

本業ではWEBエンジニアを名乗ってるくせに、言語に関する技術は全然やる気ないんですが、シナリオに関しては何でも学んで見たいというモチベーションが我ながら結構高いです。
こういう部分も性分として、自分はけっこう向いてるんだなあと改めて感じました。

www.scenario.co.jp

10月16日(水)から毎週水曜に半年間、夜18:30から2時間ぐらいの講座があるそうで、こちらに通ってみるつもりです。
すでに申し込み登録は済んでるので、もう後には引けない感じです。

またせっかくなので、講座を受けての感想とか、どんな課題をやったとか、可能であればこのブログで今後もレポをお伝えしていければと思ってます。

www.scenario.co.jp

それと、来週の9月11日(水)から5回ほど、企画書講座というものも開かれるそうで、本講座の前にこちらの方にも出席してみたいと思います。

ちなみにこれらの講座の学費は全て、これまで電子書籍を出版して得た売り上げから出させていただきました。
小説を書いて得たお金で創作を学びにいくって、我ながら究極のエコシステムって感じですね(笑)

応援していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ学費のカンパも兼ねて電子書籍を買って下さい!(再度の宣伝)

半年の講座のあと、もう半年ほどゼミ期間があって、合計一年間かそれ以上の期間スクールを通うことで、いちおう修了になるそうです。
そのあとはシナリオライターとしての選択肢が幾つかあるみたいなんですが、いきなりコンペや賞に出してデビューを目指すのか、もうしばらく本業に専念するのかはちょっと未定です。

とりあえず、作品を完結まで継続してみることで、多くの長編を書くための技術が学べる場にはなってるので、『アーマードール・アライブ』の連載は今後も続けて行く予定です。
読者の皆さんはご安心していただければと思います。

ただ、今後シナリオライターとして活動するうえで、今の「幾谷正」という名義はできるだけ使わず、別人として活動していきたいというのが本音です。
過程はどうあれ問題を起こしてしまったのは事実ですし、売れないラノベ作家という烙印がむしろ仕事の邪魔になることも多そうなので・・・。

また、ラノベ作家という仕事を今後またやりたいかと言われたら、正直言ってやるメリットはやっぱり感じられないですね。
どうせ作品を出すだけなら個人で電子出版すればいいですし、どうせ異世界転生以外は売れない市場なので、無理して書きたくないものを書いてまですがりつくメリット無いですし。

これからラノベ作家を目指す人や、自分のように辞めた人にとって、どんな道があるのかを示す意味でも、今後もレポートは残していくつもりです。

以上、幾谷正でした。
来週は初回の企画書講座のレポをアップできるよう頑張ります。