Funny-Creative BLOG

電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

友人と二人で3日間創作以外に何もしない「創作合宿」をしてみました。

お久しぶりです、幾谷正です。

『アーマードール・アライブ第5巻』の原稿も予定より大幅に遅れてはいますが順調に進んでいます(?)
詳しい進捗は公式サイトの方で公開しているので、よければそちらもご覧下さい。

【報告】アーマードール・アライブ第5巻の進捗報告 | | FunnyCreative

弊サークル「FunnyCreative」は皆様ご存知のとおり、旧態依然とした紙の印刷や編集を必要としない、電子出版による作品の販売をモットーとする独立出版系サークルです。
文章の実制作とウェブサイトの制作などを行う僕と、イラストやデザインなどのビジュアル面を全て行うイラストレーターの友人との二人三脚でこれまで続けてきました。

そしてそんな友人と8月ごろからずっと「どっか旅行行こうぜ」と誘っては、「旅行行く暇があったら原稿やろうよ」とたしなめられるみたいな話をしていました。
お互い東京に住んでいる身なんですが、たまには東京の代わり映えのしない景色を抜け出して、景色のいいところでゆっくりしたいなーと思ってはいるものの、
僕以上に創作の鬼である友人の言うように「原稿を進めよう」という言葉も確かにその通りとうなずけます。

そしてそんな二つの折衷案として考え出したのが、「旅先の宿でひたすら引きこもって創作だけをやり続ける」をコンセプトとした創作合宿という試みでした。

元々5巻を書く上で表紙やキャラクタ設定について、綿密な打ち合わせがしたかったというタイミングでもありました。
しかしこの打ち合わせというのが中々時間の掛かる作業で、それまでも都内のコワーキングスペースや貸会議室、
茶店などを利用して打ち合わせながら作業を進めることはあったのですが、色々と問題があったのです。

  • 人の目があるので作品の内容について深く話し合うのが結構やりづらい
  • 時間に対して利用料金が結構高いのでコスパがよくない
  • お互いの部屋だと遊んでしまうし、そもそも広くない
  • 結局どこかで寝に帰る必要があるので時間に制限がある

etc...

といった具合に、都内の近場で飯を食べながら行う中途半端な打ち合わせに物足りなさをかんじていたこともあって、この企画は友人にも好意的に受け止めてもらえました。

また普通の旅行シーズンにまともなところに旅行へ行くと、宿の手配や観光地の下調べなども大変です。
しかし今回は「どこにも行かず引きこもる」という最優先の目的があるので、何の準備も下調べも要りません。
むしろ見に行きたくなるような名所や観光地があればあるほど創作の邪魔なので、逆にちょうど良いところを見つけるのも結構大変でした。

とりあえず「適度に何もない」で、なおかつ「泊まる場所自体がそこそこ楽しめる」という二つの条件で探していったところ、
栃木県にある廃校を利用して作られた宿泊施設『星ふる学校くまの木』に2泊ほどお世話になることにしました。

www.shioya-kumanoki.com

※別に栃木県に何も見るところがないというわけではなく、むしろ帰りに色々寄ってみたところ行きたい場所がたくさんあって驚きました。次回は普通の旅行で行きたい。

立地的には那須高原や日光温泉街の中間地点にあって、栃木旅行をするにはとても良いポジションだと思います。
しかし宿そのものの周辺は本当に田畑以外には何も無く、少子化で廃校になったという出自にそぐう圧倒的な何もなさでした。

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しかし中に入ってみると、まるで映画やアニメに出てくる「田舎の学校」の雰囲気をそのままに残した味わいのある施設で、初めて来る場所なのにとてつもない懐かしさを感じます。
また、図書室などで作業をしてると「学校の帰りに皆で残って課題や勉強をしていた学生時代のあの頃」みたいな気分に浸れて、作業のモチベーションもちょっと高くなったりしました。

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また、泊まる部屋の方も小学校の教室を壁で分割して二部屋にしたもので、めちゃめちゃ広々としています。
二段ベッドの反対側に畳張りのスペースがあって、そちらに布団を敷いて寝ることもできるのですが、
畳のスペースをまるまる作業場所として畳みにひたすら寝転んでダラダラしながらずっと小説を書いたり絵を描いたりしてました。

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唯一問題点だったのが、山奥だけあって電波が物凄く入りづらかった点です。
しかし視点を変えれば、このクラウド化社会においてネットワークから切り離されるというのはつまり娯楽や誘惑を完全に遮断してくれるという意味にもなります。

俗世のしがらみから完全に隔離された景色と空気の良い陸の孤島で、ひたすら気の合う友人と心ゆくまで創作活動にのめり込む。
創作活動を趣味とする僕たちのような人間にとって、この上なく贅沢で満足度の高い三日間となりました。

それとこの宿に決めたもう一つのきっかけが、地元で採れた肉や野菜を使った朝昼のメニューが非常に充実してたという点です。
1日目は普通の定食、2日目は外でバーベキューのコースを選んだのですが、どちらもとにかく美味しくて満足度が高かったです。

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肝心の創作活動についてですが、集中的にみっちり気が済むまで話し合いながら、デザインを決めたりプロットを固めたりできたおかげで、かなり大きな進捗出せました。
途中、表紙の構図について友人と意見が分かれて、「俺はこの姿勢の方がいい」「いやそれは不自然だ」と議論になったことがありました。

そこで僕は出窓になっている縁に身を乗り出して、表紙のヒロインと全く同じポーズを取りながら

「まず最初にこのキャラはこういう姿勢で窓の外を見ている。次に入り口から別のキャラが入ってきて、そちらの方を向く!
そしてこのキャラは性格上、わざわざ椅子から降りて相手を迎え入れるなんてことはしない。なぜなら人間のことをナメているから!
だから足はこういう組み方で座ったまま、首だけが入り口の方を向くからこういうポーズになるんだよ!!
あと自分でやってみて気づいたけど腰の部分に物凄くひねりが入るからポーズとして色っぽくなる!!」

とそのポーズに至るまでの経緯を含めてひたすら力説するという謎の時間が発生しました。
イラストについて拘りの強い友人も「それだけの必然性があれば納得できる」と理解して、構図の引き直しに同意してもらえました。
おかげで今回もとても良い表紙になったと思います。俺たちの創作はいつだって体当たりだ。
ファンの皆さんはぜひ期待しててください。

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話はかなり逸れましたが、結果的にこの三日間の合宿で合計3人分の新キャラのデザインと、表紙の構図、挿絵の打ち合わせが完了。
僕自身も2万字書き進めたうえにサイトのコーディング修整やプロットの成形が進んだりと、かなり良い感じに進捗が出せました。
そのうえ都会から離れた環境でリフレッシュしつつ健康的な食事と生活で心身回復できたので、疲労を残さず翌日からの仕事に戻れたので良かったです。

今回唯一の反省点と言えば、やはり二人だけだと色々勿体なかったという点でしょうか。
元々共通の友人を誘って3人で行く予定が、都合がつかず2人だけになってしまったので、部屋の広さやレンタカー代など考えてもあと1~2人は誘って良かったと思います。
ただあくまで「創作をするため」という目的があるので、一緒に行くメンバーは慎重に選んだ方がいいと思います。
もし「創作はやらないけど旅行には行きたい」みたいな人を入れてしまうと、一日中閉じこもっていることに耐えきれず遊びはじめてしまい、
その緩んだ空気が伝染して結局皆でゲームして遊んで終わってしまった・・・みたいなことにもなりかねないので要注意ですね。

逆に仲の良い友人にこだわらず、「オフ会やイベントで数回会っただけの創作関係の知り合い」みたいな人を誘っていくのも悪くないと思います。
何せどこにも行くことがないのでケンカの原因となる旅行イベントが起きる状況が皆無なので、気まずくなったりする心配がこれといってありません。
お互いに作品を見せ合って意見をもらったり、相談したり、「何度も会ってるけど創作の深い話をしたことがない」っていう相手と共同で何かしてみるのは良いと思います。

また電書界隈にはNovelJam(ノベルジャム)という小説のハッカソン的なイベントがあり、好評を博しています。
「ノベルジャムでもいいじゃないか」と言われるかもしれないですが、何より大きく違うのは「自分の作業をする」という点です。

「本当はノベルジャムみたいな合宿イベントに参加したいけど自分の原稿サボってる場合じゃねえ・・・」という自分みたいな状況の人間にとってはそっちの方が合ってるという感じです。

また次回、性懲りも無く第二回をやろうと思っているので「私も自分の進捗を抱えて参加したい」という人がいたらぜひ教えてください。
それではまた、幾谷正でした。