Funny-Creative BLOG

電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

プラットフォームや出版社に支配されたくないラノベ作家が自作を公開&DL販売できるサイトを自作した話

みなさん、今日もプラットフォームに支配されてますか?
電子書籍サークル「FunnyCreative」主催の幾谷正です。

はじめに

このブログで何度かお話している『アーマードール・アライブ』の公式サイトですが、「いっそ販売までサイト内で出来るようにしてみたい」と思って色々試してたんですが、先日ようやくサイト内に作品のEPUBとPDFのデータをダウンロード購入できる販売機能を実装することに成功しました。

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ショップのページはこちら

決済部分はPaypalとStripeのゲートウェイを利用して実装しているので、これらを経由してクレジットカードでの購入も可能になってます。
そして本日、この販売機能を利用してシリーズ最新刊となる第5巻のプレリリース版を公式サイトで販売開始させていただきました!

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『アーマードール・アライブⅤ』(プレリリース版) – アーマードール・アライブ

連休前に入稿が間に合わなかったこともあり、審査に時間のかかるKindleとかBOOK☆Walkerへの登録は、まだもう少し時間がかかる予定です。
なので「いち早く新刊が読みたい!」という読者の皆さんは、ぜひこちらの公式ストアで購入してみて下さい。(せっかく作ったのに使ってもらえる機会がないと悲しいので)

こうした審査も登録も契約も必要ない、自分の裁量で好き勝手できる販路を独自に構築することの恩恵を今回は改めて感じました。

また、1~4巻までの既刊も販売しているので、今回初めて僕の作品を知った方も、良ければ試しに購入してみてください。
ちなみにKindleとかのストアでの販売価格より若干安めの設定にしているので、ちょっとだけお得です。

試しに現在販売しているストアを、印税率が高い順番に列挙してみると、以下のような感じです。



  • 約95%

公式サイトの直販ショップ
BOOTH

  • 80%

理想書店ボイジャー直販)

  • 55%

Kindleストア(Amazon
紀伊國屋書店
楽天Kobo
BookLive!(凸版印刷グループ)
Reader Store(Sony
ブックパス(au
iBooks Store(Apple

  • 50%

DLsite


っていう感じになってます。
こうしてみると、商業作家時代に10%なんてカスみたいな印税率で書いてたのがもはや信じられませんね。

最近はプラットフォームにまつわる問題の話が、ネット中のあちこちから聞こえて来ます。
例えば僕はPCゲーム大好きでsteamのヘビーユーザーなんですが、ゲームパブリッシャはsteamの取り分に不満を抱いて別のプラットフォームでの独占販売に切り替えるという流れが増えてきてるみたいです。

Epic Games CEO、Steamが収益配分をEpic Gamesストアと同等にするなら、独占タイトル販売をやめると語る | AUTOMATON

また他にも、amazonが審査を強化して成年コミックの取り扱いを急に取りやめるなんて話も聞こえてきました。

Amazonさん、「LO」に続き「月刊メガストア」の取扱を終了→もちろん理由を開示されず - Togetter

規模やジャンルの違いは多々あれど、共通して言えるのは“プラットフォーム依存のリスク”にまつわる問題じゃないかなと思います。
僕も自分がこうして小説を出版しているコンテンツパブリッシャー側の人間として、他人事じゃないなと感じるところがたくさんありました。

そもそも僕が出版社依存の商業作家をやめ、アマチュア作家として個人出版の形で作品を継続しているのも、今思い返せば出版社というプラットフォームからコンテンツパブリッシャとして問題を感じて独立するための行動でした。

僕が商業出版を脱走してからこれまでの経緯についてはこの記事でまとめてるので、詳しく知りたかったら見てください。
「幾谷正って誰?」って人のためにラノベ作家デビューして出版社に絶望して炎上して電子出版始めて個人で3000部売るまでの経歴をまとめました - Funny-Creative BLOG

そして、このソーシャルメディア全盛の時代に、あえて個を貫くことをモットーとして活動して来た僕としては、プラットフォーム支配からの脱出について、結構自分なりの考えを持つようになってきました。
たとえばゲーム開発会社がSteamをやめてEpic Gamesに移ったところで、Epicが取り分を減らして来たらまた同じことの繰り返しです。
あるいは出版社との仕事でひどい目にあった作家が、契約を打ち切って別の出版社に移籍したところで、結局移った先が本当に善良な出版社であるとは限りません。

もはやプラットフォームの支配から逃れるためには、自分以外の何者も信じてはいけません。
孤立を愛し、立ちはだかる問題を力づくで解決し、泥にまみれて地を這ってでも生き延びるしかないのです。
で、結局何をしたかというのが、冒頭でお話しした「やっぱ自作サイト作るしかなくない?」という原点回帰的な発想でした。

自作サイトなんて数十年前に流行った過去の遺物と思われている節もありますが、歴史は波形を描くように周期的に繰り返し、戦争と平和と革命の三拍子を刻み続けるのです。
支配によって築かれた平和を破壊し、個が個として生き抜いて行く闘争の時代はすでに目の前まできているのです!!

というわけで今回は、「そもそもなんで自作サイトをわざわざ作ろうと思ったのか」って経緯について、順を追ってお話ししてみたいと思います。
僕はラノベ作家という立場の視点からしか話をすることができませんが、これはあらゆるコンテンツパブリッシングに共通する部分があるかと思います。
また、「出版社と組むだけが作家の道なのか?」と疑問を持ってる作家志望者とか、実際プラットフォームを利用して不満を感じてる人にもぜひ見ていただけるといいです。
また、「自分もサイト作って見たいけど何から手をつけていいかわからん!」って人のために、簡単な作り方の手順についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。


小説家になろう』とかいうクソサイトは『小説家にしてもらおう』に改名しろ

いきなり強烈な見出しから始まりましたが、最初は『小説家になろう』を代表とする小説投稿サイトに対する問題定義です。

そもそも誰もが確実に抱いた疑問だと思うんですが、「小説を書いて売りたいなら『なろう』に投稿して人集めればよくない?」と考えたかと思います。
実はそれ、何も知らないど素人の典型的な思い違いです。口ばかり達者で自分では何も行動しないネット論者は猛省して小学生からやり直してくださいね。

僕自身、そもそも今の状況に到達するまでの過程で、『小説家になろう』という投稿サイトを活動に利用しようと当初は考えていました。
「なろうでプレビュー集めて人気出して、それで自分で電子書籍作って売ればぼろ儲けじゃね?」ってやつです。
皆さんは口でいうだけで自分でやったことはないと思いますが、僕は実際にやって大失敗して「これは無理!」という結論を出しました。

まず第一に、単純なジャンルの問題です。
僕はいわゆる「転生」とか「チート」みたいな作品の面白さがあまりピンと来ておらず、自分でも書きたいとは思ったことがありません。
(仕事として書くことになったら能力的には書けると思いますが、別にそんな誰でもできることをわざわざやりたくもないので。
「書きたいものが書きたい」という理由で商業作家を脱出したのに、わざわざ自分から書きたくないものを書くなんて、脱走した家畜が檻に自分で戻るみたいなもんです。
プラットフォームでウケるために書きたいものをやめるなんて、まさに自分から多様性を捨てて一様性を受け入れるようなものですしね。
「転生チートなんか書きたくない!」って思ってる人は、まず「なろうに依存しない集客導線をどう作るか」を真剣に考えてみるといいと思います。

第二に、サイト側が想定している収益化システムの存在です。
『なろう』は世間から、イラストレーターや漫画家にとってのpixivと同等に語られていますが、これは大きな間違いなのです。
『なろう』の運営は同人小説家という存在を全く考慮しておらず、作家が個人で独立して収益化することも望んでおらず、単なる出版社のライター募集サイトとしてしか機能していません。

どういう意味か具体的に説明すると、まず『なろう』は規約にて「販売している作品への購入リンクを貼ることを禁止」しています。
具体的には規約の以下の箇所がそれに当たります。

利用規約第14条禁止事項
12.次に掲げる内容のテキスト等の情報を、本サイト内の投稿可能な箇所に投稿し、又は他のユーザにメッセージで送信する行為。
(ア)商業用の広告、宣伝又は勧誘を目的とするテキスト等の情報。ただし、当グループが別に認めたものを除く。

例えばpixivみたいなイラスト投稿サイトで、同人作家が新刊の表紙を貼って「新作が出ます! ここで買えます!」とAmazonやDL販売サイトのURLを貼ったとしても、規約違反になりませんよね?
しかし『なろう』だと、作品の宣伝が許されるのは基本的に〝商業出版された作品のみ〟で、個人がそのような商活動をすることは禁止しています。
実際に公式から警告を受けて「次やったらアカウント停止」というメールを運営から食らいました。
自分以外にも同様に、「文フリで発売する予定の作品を公開して頒布の宣伝をしたらアカウントを停止された」なんて話もSNSで見かけることがありました。

また、「続きは有料で」みたいな公開方式も認められてはおらず、こちらも同様に「全文を無料公開しなければアカウント停止」という無慈悲な選択が突きつけられます。
一応、「時間差で有料にしてるだけでそのうち無料公開するよー」というグレーゾーンを利用した方法も通じなくはないみたいですが、ある日突然運営の方針が変わったら意味ないですしね。

僕は「自分の力で小説家になろう」と思って『なろう』のサイトに作品を投稿して、自分で電子書籍を作ったり販路を開拓してるのですが、『なろう』の運営にとっては「出版社に認められていない作家が自力で収益化しようだなんて許可できない!」という古い価値観に基づいて運営されているのです。
こうした、「出版社という他者に依存した形でしか収益化の道がない」という閉じたプラットフォームの実態に気づいて、見出しにも書いた「『小説家にしてもらおう』に改名しろ!」という結論に至ったわけです。

これについては、なろうの運営会社が出版社から広告費を払ってもらってバナーなどの広告枠を売る形でビジネスを展開している以上、政治的に仕方がないんだろうなと理解できる部分もあります。
個々の作家が勝手に自分の作品や商品の宣伝に利用するようになれば、出版社もなろうに投資するメリットが失われてしまいますからね。
実は『なろう』のビジネスが、出版社の販路に依存していることがそもそも問題なのではないかなと客観的には思えます。
(pixivは独自のコミックを売り始めてある意味pixiv自体が出版社みたいな状態になってきてるので、その点でも方針が真逆)

もちろんこれは『なろう』に特有の事情で、他のサイトを探せば希望に叶うサイトがあるのかもしれません。
ですが、どれだけ「うちは作家のことを第一に考えてます!」とか「利益還元します!」と美辞麗句を並べられても、所詮他人は他人ですし、全てが自分に都合よく回ることなんてありません。
人の心は移ろいますし、永遠なんて存在しません。人は信じるからこそ裏切られるのです。孤立せよ!

とにかくこうした事情から、以下のような無料公開ページを自作してみました。

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armordoll-alive.funny-creative.com

これなら作品を好きに投稿して公開して有料版への誘導もできますし、別にランキングや露出を気にして必死にメタを貼る必要なんかもありません。
また、GoogleAdsenceを導入することで、一応「読まれれば読まれただけ収益が入る」という仕組みにもしています。
まだレンタルサーバー代をぎりぎりペイできるかできないかぐらいの規模ですが、今後作品を継続させてストックを増やせば積み上げた分だけ自分の利益になります。
そもそも有料の電子書籍に誘導することが第一の目的なので、経費対効果はじゅうぶん相殺できてますしね。

もちろんこのサイト自体に将来の読者を誘導するために、まだまだいろんな仕組みを考えていく必要はあると思います。
いっそ、古式ゆかしく“相互リンク”の仕組みとかを復活させてもいいかもしれませんね(笑)

いずれにせよ、とにかく作ってしまえば後でいくらでも使い道は作れます。
やらない理由なんていくらでも作れますし、創作者に必要な資質は「やらない理由を気合いでねじ伏せる」ことだと思います。

WIkipediaの解説を公式サイトがわりにするのやめろ

もう一つコンテンツにとって公式サイトがなぜ必要かと言えば、作品外の場で内容を紹介するための仕組みになるということです。

ところが世間では「wikipediaに解説を書いて紹介扱いにする」というのがわりと一般的になってしまってると思います。
実際、どれだけ売れてるライトノベル作品でも、公式サイトと呼べるのは出版社の簡単な書籍紹介ページと、アニメ化された際の特設ページぐらいで、「コンテンツそのものを紹介するための専用公式サイト」が用意されてないパターンは非常に多いです。
そうした作品の情報をどうやって読者が手に入れるかと言えば、結局「wikipediaの解説を読む」に収束してしまうんですよね。

しかしああいった不特定多数が書き込めるプラットフォームでは、パブリッシャーが情報をコントロールするのは大変難しくなってます。

たとえば「バラしたくないネタバレが書かれちゃってる」とか「間違った情報が書いてある」とか、そもそもイラストが公開できない点も非常にむず痒いですよね。
僕も以前、ネットで知らない人に絡まれたとき「お前のことはアンサイクロペディアで読んだから知ってるぞ!」と耳を疑うようなことを言われたことがありました。
誰が書いたかわからないネットの情報を鵜呑みにするようなバカなんて正直相手にしてられませんが、悲しいかなネットの大半はそうしたバカによって支えられています。

また、僕みたいに込み入ったオリジナルの設定や、一言で説明の難しい世界観を軸においた作品を書く作家にとって、「知らない人に作品を伝える」は結構難しいことです。
これが例えば二次創作とかだったら、有名で知られきった原作の中で全て説明されきっているので、設定とか世界観とかわざわざ紹介する必要ないですし。
ただ、世界観やキャラクターを考え、生み出し、伝えることこそ作家としてもっとも重要な能力だと僕は思ってます。
二次創作ばかり書いて、他人の力を自分の力と履き違えて調子に乗って、なんの実力もオリジナリティもない自己承認欲求の塊になりたくはないので、あえて難しい一次創作で自分を磨き続けたいと思ってます。

また、冷静に考えてみると不思議な話なんですが、例えば僕がもし「別名で出版社から再デビューして、自分の作品の公式ページを出版社に作って欲しい」とお願いしたとします。
おそらく帰ってくる答えは「そんな前例のないことは認められない」でしかないと思います。
僕がどれだけコードを書けても素材が揃ってても、権利とか運用とか責任とか様々な問題が絡んでしまうため、「じゃあやりましょう」とはならないのです。

厳密な話をすると、例えばサイトで利用しているキャラ紹介画像や挿絵は全て、イラストレーターの友人から権利を預けてもらう形で僕が利用しています。
なので「こういうサイト作るからイラスト使わせて」と話して「いいよ」と言われたら大体の問題は解決してます。
コーディングに関しても専門の会社に依頼すれば何十万とか掛かってしまうものも、自分でパパッと打てばおしまいですし、せいぜい月数百円のレンタルサーバー代とドメイン登録料ぐらいしか掛かりません。
(そのサーバー代も広告を入れることである程度相殺できています)

個人ではできないことをできるようにするために、資本を持った組織が個人に投資するのが出版社という仕組みの存在意義だったと思ってます。
しかし、無能な集団が絡んでしまうことで、かえって一人でできたことができなくなってしまうのは、現在の出版が抱えるわかりやすい問題の一つです。
これは公式サイトの設置みたいな例に限らず、いろんな場面で遭遇する話ですが、「お前らのせいで出来ないことが増えるなら、お前らの存在意義はなんなんだ」って話ですね。

もちろん「賞で受賞して売れて金稼いでアニメ化してもらって出版社のお金で豪華なサイトを作らせてやるぜ!」という理想を持って作家活動するのも、僕は特に悪くないことだと思います。
ただ冷静に振り返ってみて、「サイト作るってそんなに大それた難しい問題か?」という視点に立ち返ってみてもいいと思います。

出版社は要らないけど編集はやっぱ必要

次に、いわゆる「編集不要論」と言われる問題について。
僕は今回の自作サイトを作ってみた結果、「やっぱりエディターは必要だな」と感じました。

僕は創作に関して2つのエディターを使っていて、「Atom」というgit連携ができる便利なコードエディターでサイト開発して、「tateditor」というマークダウンを解釈できる縦書き日本語エディターで原稿を書いてます。
この2つの優秀なエディターがあれば、人間の編集者(エディター)なんてぶっちゃけ必要ありません。あいつら別に居ても居なくても作品なんて書けますし、売る方法なんていくらでもあります。
いまどきHTMLのシンタックスハイライトすらできないエディターに何の勝ちがあるんですか?(非人道的発言) 

ただ逆に言うと、こういうサイトを開発から運用まで、一から十まで全部やるのはけっこう骨が折れるなと感じているのも事実です。
操作を誤ってデータベースを吹っ飛ばしてしまったときとか、「こんなことしてる暇があれば原稿書きたいのに」と死んだ目になりながら必死に復旧作業してました。
一冊分の原稿を正規分布で置換してファイルごとに分割して、一話一話手作業でコピペして貼り付けてするのは毎回めちゃめちゃしんどい作業です。

編集が居なくて困ると思ったことは得に無いんですが、サイトのコード修整とか投稿作業とかを、誰かにお金払って楽できるならめっちゃ助かるのになと思う機会はけっこう多いです。
フロントからサーバーサイドまで一通り理解してて、ストアへの販売登録や素材作成をやってくれて、作品の内容や方針には一切口出さないという存在が必要で、
なのでこれからの時代において必要なのは、まさに「プログラミング言語を解釈できる編集者」なんじゃないかな、というのが僕の個人的な見解です。

ただ、どんなに大きな出版社の高給取りの編集だろうと、どうせHTMLなんて一行も書けませんし、CMSの運用なんて自分でやったことないクソ文系がほとんどだと思います。
そんな理想的な編集、結局自分自身以外には誰もいないので、仕方なく自分で自分の編集をやってるっていうのが僕の実情だったりします。

僕はここ1年スポーツセンターに通ってて、慢性的な肩こりと腰痛が解決されたのですが、改めて思い知りました。
筋トレとコーディングで世の中の問題は8割解決します。
みなさんも体を鍛えてコードを書きましょう。

プラットフォームが用意したボタンをポチポチしただけで「俺はITを使いこなした!」とかいい気になってるそこのお前だ、お前。今すぐコードを書け。
GAFAに支配されるのは危険だ!」とか言いつつ結局用意されたソフトを使うことしかしていないそこのお前。コードを書け。そして筋トレをしろ。

自作と言うほど作ってはない自作サイトの作り方

次に、このサイトをどうやって作ったかという点についても触れておきます。
自作と言ってしまうとなんだか大げさですが、基本的には便利なOSSプラグインをつなげて整えてちょっといじっただけです。
たとえば自作PCなんかも、パーツを買ってきて組み合わせてるだけで、別にプロセッサとかメモリとかを自作してるわけじゃないのと同じです。
問題は自分に必要なパーツをきちんと吟味して、相性や機能を満たすように選択できるかどうかです。
たとえば自分がこのサイトを実現するにあたってどんなパーツの選択をしたか、簡単に材料をご紹介しておくと

・サーバーはさくらのレンタル、ドメインはお名前.comで取得
CMSはみんな大好きWordpress
・bootstrapとunderscoreを組み合わせた、ハンバーガーとコーラ組み合わせたみたいなブランクテーマbootstrap
・とりあえず入れとけばショップになっちゃうwoocommerceプラグイン

あと、この他にdenden-markdownというプラグインを入れていて、これだけはちょっと入手が難しいものです。
そもそも、でんでんコンバーターという、テキストで書いた原稿を電子書籍形式に変換してくれる神アプリがあるんですが、でんでんマークダウンという特殊な記法でルビや傍点の指定をする必要があり、何かしら変換を行う必要があります。

このことをでんでんコンバーターの制作者である、ろすさんに「こういうプラグインって作るの難しいですか?」とお尋ねしてみたところ「もう作ってある」とかアニメに出てくる凄腕技術者みたいな返しをされ、それを有り難く頂いて使わせていただいた感じです。マジありがたい。
皆さんも入手が必要な場合は、ご本人にお頼みしてみて下さい。たぶんくれると思います(ぶん投げ)

HTMLとかCSSとかjQueryとかPHPとかに関しては、自力で頑張る必要ありますが、ググればなんとかなるので頑張りましょう。
上記のプラグインやテーマを選定した理由も「利用者の多いデファクトスタンダードを使えばだいたいの問題は既出のはず」という読みがあったからです。
創作のスキルを上げるためには道なき道を切り拓くことも大切ですが、エンジニアリングに関しては開拓済みの道を進むのも必要だと思います。

特にunderstrapは標準でgulpが搭載されててsassで開発したいときに超便利だったり、カスタマイズ用の子テーマがgit上に用意されてたりして、WordPressでサイト作るときはだいたいこれ使っとくのが間違いないなと思ってます。
僕も本業では結構使ってるので、趣味の創作で身につけた知識が仕事に活きてきたり、逆に創作で役立ったりしてます。なんかネットでたまに見る「副業をやたら推す意識高い系エンジニア」みたいでなんかキモいですねこれ。

「自分はエンジニアじゃないしそんなの作れない!」って思われる作家の方も多いかも知れませんが、ぶっちゃけ小説書くよりはよっぽど簡単だと思います。一番難しかったのはpaypalの決済認証通すところでしたし。
実際、僕も本業ではフロントエンジニアっぽいことをやってますが、学校でプログラミングをちゃんと勉強した経験はほとんどなく、機械工学科の学生として「C言語」と「Fortran」を使ったことがあるぐらいです。
C言語さえ書ければ全ての言語を書くことはできるみたいな宗教的協議も一理ある)

今後、今回実装した小説の投稿システムとか販売システムとかの詳しい作り方に関しても、このブログでお伝えしてみるのも面白いかなって思いま。
(さすがにhtmlの書き方とかwordpressのインストール方法まで全部教えるつもりはないので最低限知識のある人向けとして)
ただ実態としては「何一つ理解できない」という人向けに導入支援するみたいな副業を始めてみる手も有るのかなと思ってます。

実はこのDL販売システムを作ったあと、東大出てる高校時代からの友人に見せたところ「これ使うより作る方に回った方が儲かるよね?」といきなり言われて、僕も「あ、ほんとだ!」とかなり驚きました←アホ
たとえば「最低受注金額30万円からサイト制作受託します」ってビジネスは成立しそうですし、それだけでも充分食えるんじゃないかなって気がしてきますね。

実際、ゴールドラッシュはツルハシを振るよりツルハシを売る方が儲かりますし、AK47は撃つより作った方がより多く殺せます。
ただ、僕はあくまでも技術者でなくクリエイターでありたいと思ってるので、今はむしろ黄金があることを証明するためにツルハシを使いたいと思います。その後の方がツルハシも高く売れますしね。
もちろん「作りたいからどうしても手伝って欲しい」って作家がいたらては貸すので、遠慮なく言ってもらえたら幸いです。

ただし念のため言っておきますが、こういったシステムは完全に営利を目的とした商行為なので、著作権侵害を前提としたコンテンツや猥褻表現を売りにしている作家に対してはご協力できません。
サーバー側の規約にも「犯罪行為やポルノサイトの運営には使わないこと」を条件として書いてますし、paypalやstripeの決済システムの利用にも同じく、違法行為への利用は制限されています。

二次同人作家の皆さんがもし大挙してこういったシステムを作り始めてしまうと、同人作家全体が犯罪者の集まりと思われて、システムの利用に制限がかかってしまう恐れがあります。迷惑なのでマジで来ないでください。

二次創作なんて所詮、出版社や同人ショップが作った囲われた檻の中でしか生きられない弱い生き物ですし、こうした活動にはむしろ不向きなんじゃないかと思います。
自分でサーバーを立てて決済システムを構築して全て独力でやるというなら話は別ですが、その覚悟がないなら、狭いコミュニティの中で自己承認欲求を満たしてればいいと思います。

一応僕も利用するプラグインや素材は、ライセンス違反起こさないよう気をつけて使ってますし、人の作ったものを使う以上、約束はきちんと守ろうという、人として当然の話をしているつもりです。

最後に

たとえば世の中には「作家が絵師に暴言を吐いたことを理由に出版停止にした」という商業作品があるらしいですね。

togetter.com

僕もイラストレーターが「他社から宣伝するなと言われた」とか言い出して宣伝手伝わなかったときに「くたばれ田中謙介!」と叫んでしまった過去を持ちますが、
別にそんな過去とは何の関係もなく続刊は出し続けていますし、新刊の5巻も順調にストアに納品されて販売し始めるでしょう。
だって仮に僕が人格に劣るクソ野郎だったとして、それを理由に販売停止にするなんてビジネス上誰が得するんでしょうか?

他にも、SNSを見てると毎日のように「作品が打ち切られそうなんです!」と悲鳴を上げてる作家の姿を目にします。
彼らは口を揃えて「打ち切られないためならなんでもします!」って言いますが、結局何一つ行動せず黙って支配を受け入れるだけですよね。

僕は何でもやりました。
あいつらはまだ何一つとしてやってない。

まず最初にすべきは、何もできないと言い張る編集を切り捨てて、その上でやるべきと思ったことをやりましょう。
あなたの作品が消えても何も思わない者に、あなたの作品を預けてはいけません。

ちなみに僕がデビューしたレーベルの新人は、全員が全員4巻以内で作品を打ち切られており、誰一人作品を書き切った人間を輩出できていないそうです。
5巻をリリースできた今、むしろ一番長く続いてる新人の作品がレーベルを蹴り飛ばして脱走した僕の作品ってことになります。

このようにままならない斜陽で懐の狭くなっていく出版業界の情勢において、電子書籍による個人出版はかなりクリティカルな解決策になると思いました。

結局今にして改めて思うことですが、こういう僕みたいにどんどん一人で先に進んでいってしまえる性質の人間にとって、やっぱ講談社みたいなジャパニーズトラディショナルカンパニーはとにかくノリが合わなすぎたんだなと思います。
トラブって揉めてる最中に僕の担当だった編集の言ったイラストレーターがSNSで宣伝したぐらいで作品が打ち切りを免れるほど売れるわけない」って未だに思いだしても爆笑ですね。
五年前の当時ならそんな前時代的な考えでもおかしくなかったかも知れませんが、今改めて見るとラノベレーベルの編集の言葉としては失笑すら浮かんできません。
こんな人が編集長をやってるレーベルが成功するはずなんてそりゃないですね。

「文句があるなら自分でやれ」とはよく言いますが、たしかにここまで何もかもやってみた今、特になんの文句もありません。
エンジニアやってる身としては「このぐらいのサイト」

とまあいつもの調子で闇が溢れてきてしまったので、そろそろこの辺で終わりにしたいと思います。
皆さんもぜひ、心を強く持ってコードを書いて筋トレをしましょう!!