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電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

『日本沈没2020』俺は好きだよ? 俺はね? って人の感想と考察

japansinks2020.com


まず最初に断っておくが、僕はこの作品を「全ての日本人が見るべき」とも「見るべきではない」とも思っていない。
そもそも自分が見るべき作品なんてものは自分自身で気付いて選択して見ればいいだけだ。
お前が仮に自分の見るべきでない作品を見てしまったとして、俺は何も責任を取らない。自分が見るべき作品は自分で決めろ。人類が見るべき作品はプリティーリズムだけだ。

また、僕はそもそも湯浅監督の作品がそこそこ好きで、Netflixに最初に加入したのも『DEVILMAN crybaby』がめちゃめちゃ見たかったからという理由からだ。

devilman-crybaby.com

そのあとずるずる色んなアニメやドラマを見るのにはまってしまい、これまでずっと契約を続けてきている。
なので「湯浅監督の新作が見られる」という時点で『日本沈没2020』は見るつもり満々だったし、Netflixを退会する理由をまんまと失って金を払い続けている。

ただ、日本沈没というデカすぎるビッグネームを抱えてしまったせいで、わざわざ見なくてもいいような連中がわざわざこの作品を見て解像度の粗い低レベルな感想を書いているのが散見される。
それがなんとなくイラっとしたので、ちゃんと好きで見た人間としてレビューを残しておこうと思った。
この感想は既に本編を最後まで見た人か、あるいは見るつもりのない人間が読むことを想定して書いている。
なのでネタバレに一切配慮しないし、展開についてもいちいち丁寧に解説しないからそのつもりでいろ。

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日本語で「責任を取る」とは「何もしない」という意味の慣用句

皆さん日本で生活し始めて何年目ですか?

まだ日本にきて1年とか2年だと分からないかもしれませんが、10年20年住んでいれば日本には「言葉の意味と実際の意味が異なる慣用句」が存在することに気づいていると思います。

例えば日本人の言う「前向きに検討する」という言葉は「やりたくないから断る」という意味の慣用句であることはご存知ですよね?

これと似たようなまだ辞書に載っていない慣用句に、「責任を取る」という言葉があります。

これは日本語で「何もしない」という意味です。


たとえばドラマなどで、「子供が出来たら俺が責任を取るよ」という言葉が出てきたとします。
この場面でこの男が言っている言葉を正確に表現すると「俺は子供ができてしまっても結婚もしないし認知もしない」という意味になります。
もし日本語に不慣れな女性がこの男性の言葉の意味を間違えて捉えてしまうと、泥沼の展開が待ち受けています。恐ろしいですね!

他のたとえを見てみましょう。
たとえば記者会見で企業の経営者が「失敗の責任は必ず取ります」という言葉を使ったとしましょう。
はい、この場合も「失敗があったことは理解してるが特に何もしない」という意味だと捉えるのが正解です。
仮に何もしなかったところで企業の株価が下がったり世間から批判されたりするでしょうが、発言した経営者自体は何もする必要がありません。
確かにその会社の役員を辞めることはあるかもしれませんが、報酬や退職金はちゃんと受け取れますし、別の企業に同等かそれ以上の報酬で雇われます。
逆に、「責任」という言葉に何か意味があると勘違いした、残された企業の社員たちは、失敗の後始末をさせられることになります。かわいそうですね!

最後にこういうたとえもあります。
たとえば総理大臣が「企業に自粛を要請する。生じた損失は国が責任を持つ」と発言したとします。
これも「お前らが律儀に要請に従って自粛しても国は何もしない」という意味です。
この場合、企業の経営者は「これは慣用句なんだな」と察知して、変わらず営業を続けるのが賢い日本人です。バカ正直に従ってしまった人間は日本人になれません。
その経営者も「自粛に反発して問題が起きたら責任を取ります!」と発言しておけば、バカな人たちは騙されてくれるでしょう。この経営者も「問題が起きても何もしない」と言ってるだけです。
勝手に意味を勘違いして自粛してもその企業の自己責任ですが、「自己責任」という言葉もまた何の意味もありません。ばかばかしいですね!

他にも政治家が使う言葉には、多くの場合責任という言葉が含まれます。
任命責任」とか「説明責任」といった言葉ですが、これらも同様に何の意味も持たない虚無な日本語です。
仮に頭のおかしいキチガイを要職に割り当ててしまったり、説明のできない嘘八百を答えたとしても、何のお咎めもありません。だってそもそも、責任なんて言葉に意味がないんですから。
もしニュースで「説明責任が問われます」と言われても、それは「何も問われていません」という意味になります。応用力が問われますね!

ちなみにフランスでは「責任を取る」とは「何もしなければギロチンにかけられる」という意味を持ちますし、アメリカでは「何もしなければ脳天を撃ち抜かれる」という意味を持ちます。
責任を果たさないと市民に命を脅かされるので、死にものぐるいで責任を果たすわけですね!
でも日本では責任を果たさなくても何も起こらないので何もしなくていいのです。非常に歴史の反映される言葉ですね!

最後に、このブログの内容は全て僕が思いつきで書いた出任せです。
この内容を皆さんが信じてしまった場合、僕が全面の責任を取らせていただきます!

TwitterがDMCA申請を行えば気に入らない人間を誰でも凍結させられるガバガバSNSだった件

はじめに

こんにちワンダフル。幾谷正です。

前回は気に入らない作家のAmazonレビューを好き放題荒らす方法をお伝えしましたが、今回はTwitterで気に入らない人間をノーコストで簡単に凍結させられる方法をお伝えします。
なんだか我ながらめちゃめちゃガラの悪いブログになってますね……。

note.com

と言っても具体的な方法に関しては、こちらの森さんのブログで紹介されているので、詳しくはこちらをご覧下さい。
僕も先日、この記事を見て「こんな簡単な方法で凍結させられるなんておっそろしい話もあったもんやなあ」ってビックリしてたんですが

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はい。ものの見事に同じ手口でやられました。

hbol.jp

既にあちこちでニュースにもなってるのでご存知の方も多いと思いますが、同じ手口でかなりの人数の方がアカウント凍結に合っています。
僕はなぜかアカウントロックだけで済んだのですが、Twitterから「お前は著作権侵害の疑いをかけられているから身の潔白を示せ」と個人情報の提示を求められています。
しかもその個人情報は、虚偽申請という名の攻撃を行った犯人に伝えられてしまうとのことです。

攻撃を受けたものについて

攻撃の対象にされたのは、レストランで撮った料理の写真や、作成したプラモの写真といった、他愛のないものばかりでした。
が、一つだけ毛色の違うものがありました。

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こちらの発売予定の僕の同人誌の新刊の表紙です。
この画像は間違いなく一緒に創作活動をしている友人が、僕の作品のために描いてくれたものです。
毎週集まって、「今回はどんな表紙にしよう」「どうしたら読者が喜んでくれるだろう」と話し合って作り上げてきたものです。
これは六巻の表紙になる予定ですが、これまで五冊の本を出す中で、何百時間何千時間と時間をかけて本文を書いてきました。
起きている時間は四六時中、作品のプロットを練っているので、もはや自分の人生の半分をかけて作り上げてきたものといっても過言ではありません。

それがこのような攻撃の手段に使われたことに、僕は作家として、本気で怒っています。

犯人は何者か

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それに対してこんな申請が届いたことで、Twitterから削除されてしまったのです。
どこの誰とも知らない赤の他人が、「これは私が描いた」と言い張って、DMCAの申請を行ったのです。
もし友人が僕を裏切ってこの申請をしたのでもない限りですが(笑)

いったい、どんなクソ野郎なんでしょうね、この石田卓也ってやつは。
驚いたことに、なんと偶然にも、驚いたことに、僕の本名と全く同じ名前です。
しかも申請者が自称している住所は、なぜか僕の実家にかなり近い住所です。

僕が二重人格者で自分でも知らないうちに申請を行ってた、というわけでもなければ、この申請に使われた氏名と住所は全くのデタラメなんでしょうね。
Twitter上では「デタラメな住所」と書きましたが、実はあれ嘘で、明白な悪意の見える住所と名前でこの申請は行われています。

しかもてっきり僕は「凍結させる方法を知った自分のアンチが、個人的に僕を攻撃してきている」と思い込んでいました。

ただ、同じ被害にあった他のアカウントの皆さんと情報交換をしていくうち、ちょっと驚いた発見がありました。
実は申請を行った犯人は、住所も名前も全て、イタズラ目的と思われるデタラメのものばかりでした。
が、メールアドレスだけは実在のものである必要があったようで、ちゃんとしたメールアドレスでした。

なんと凍結やロックを食らった複数人の被害者が、同一のメールアドレスから申請を受けていたのです。

「1つのメールアドレスを複数人が共有している」でもないかぎり、この申請による攻撃を行った犯人は「たった一人の人間」である可能性が示唆されます。

そう。たった一人の個人が、複数のアカウントを凍結やロックに追い込んでしまったのです。
ちょっとこの事件の異様さが、皆さんにも伝わってきたんじゃないかと思います。

「犯罪を犯してまで人に嫌がらせをする馬鹿はいないはず」という前提でこのDMCA申請というシステムは用意されていますが、実際のところ「馬鹿はやる!」って感じですね。
まさにテロリストとしか言いようがないやりたい放題っぷりです。

どうすれば身を守れるか

また、この攻撃はイラストだけでなくあらゆる画像に対して有効なことがすでに証明されています。
逆に言えば、写真やイラストさえ投稿しなければ被害を受ける可能性はありません

これに気づいた僕は、今まで投稿した写真やイラストをTwitterからすべて削除しました。
著作物さえ投稿しなければ、著作権侵害の疑いをかけられて凍結を受けることはないのです。

楽しかった旅行の写真や、ファンがたくさんRTしてくれた作品の宣伝も含めて、全て消しました。

凍結されて多くのフォロワーとのつながりが絶たれてしまうことの大きさを思えば少ない犠牲で済みましたが、とはいえ、この作業はただただ悲しかったです。

しかも著作権を守って一次創作をしているはずの僕が、著作権侵害の疑いをかけられるのが怖くて、画像を上げて宣伝することができなくなっています。
確かにイラストそのものを描いたのは僕の友人ですが、出版社と同じようにきちんと契約を結んで利用許可を取って宣伝に利用しているものです。

たとえば僕に嫌いで気に入らないイラストレーターがいたとして、

①投稿された画像を適当な無料アップローダーに上げる
②「これは自分が描いたイラストだ」と虚偽のDMCAを送る
③申請に使う住所や氏名はデタラメでOK

これだけで気に入らない相手を凍結させることが可能なのです。
誰でも好きなだけ“どくさいスイッチ”を押し放題、みたいな状況です。
現状、Twitterに著作物を上げる行為そのものが危険なものになっていて、僕も委縮して写真や画像をアップロードするのをためらっています。

これが表現の自由の侵害でなかったら、一体なんだというんでしょうか。

未だ打つ手なし

いま現在、他の方々と連絡を取り合って犯人を突き止める方法を探っていますが、突き止める方法は見つかっていません。
最初の申請に使われている住所氏名もそもそも架空のものなので、相手を突き止めて訴えを起こすことすらできないのです。
この判明しているメアドに「お前の名前と住所を教えろ」とメールを送って、犯人が素直に答えてくれれば別ですが(笑)

この犯人は自ら「故意に報告素材または活動が重大な侵害をしていると偽った場合、17 U.S.C. § 512(f) (米国著作権法) に基づき、私は訴訟費用および弁護士費用を含むあらゆる損害について責任を問われる可能性があることを理解しています。」と宣言して、この申し立てを行っています。
たとえ単なるコピペであっても、この宣言が嘘になるわけではありません。
にもかかわらず、僕はこの犯人に今のところ、なんの法的責任を問うことも訴訟を起こすこともできていません。

僕も今回の申し立てを受けてから、弁護士事務所に何件か問い合わせを行っているんですが、いまだに相談に乗ってもらうことすらできていません。
確かに現状では実害といえる実害が出ておらず、他の方にしても言ってしまえば「アカウントが凍結された」だけで、金銭的被害を受けていません。
このDMCA申請によって相手のアカウントを凍結させる方法の素晴らしいところはまさにここで、全くのリスクやコストを欠けずに行えてしまうことです。

弁護士を雇って裁判費用を工面できる金持ちなら反撃することもできるでしょうが、多くの一般ユーザーにそんな手立ては取れないと思います。
Twitterが医者と芸能人と政治家と“女体盛り同好会“ぐらいしか安全に発言のできないSNSになるのも時間の問題でしょう。

今後の対応について

他の虚偽申請を受けた凍結被害者の皆さんと話し合って対応を進めていますが、正直あまり進展してはいません。
「犯人が一人なら集団訴訟という手もあるんじゃないか」という提案も出ていますが、そもそも訴訟するにも相談できる弁護士すら見つかっていない状況ですので・・・。
もしこの騒動を知って「手を貸したい」と言ってくれる弁護士の方がいましたら、連絡ください!

そして僕は運よく凍結を免れましたが、凍結を受けて仕事に支障がでている方も数多くいます。
まずはこの人たちの凍結解除を第一に考えて行動したいのですが、そのためには全員が、この犯人に自分の住所や氏名を渡す必要があります。

僕は本名も顔も最初から割れているので、破れかぶれで住所と本名を伝えて申請の取り下げを待っています。
夜道にちょっと気を付ける必要があるのもいつものことなので(笑)
ですが個人情報を犯人に渡すことをためらっている人も数多くいて、事態が進展しない状況です。

そして僕自身、先ほども申し上げた通り、自分の作品の宣伝や告知を、攻撃を恐れてできない状態になっています。
そしてもしこの虚偽申請が法的に有効なものとして認められれば、いざ6巻を完成させてAmazonに販売の申請をしようとしたとき、「お前は人の著作を侵害してるだろ」と言われて登録できなくなる危険すらあるのです。
存在もしない架空の人間に僕たちの作品の著作権を奪われ、作品を公開できなくなるなんて、あまりに馬鹿げています。
著作権というのは、確かに「自分が作ったものだ」という確実な立証が難しいものですし、だからこそ丁寧に保護する必要があるのです。
著作権者を守るために作られたDMCA制度のせいで、一次創作をしている同人作家の僕が脅かされているなんて、笑えもしない冗談です。

いっそ、誰もかれもが皆、このシステムの穴を突いて、全てのユーザーのアカウントを凍結させるぐらいの無茶苦茶をやって、TwitterというSNS自体を崩壊させてくれた方がよっぽどいい気もします。
宣伝の手段が減るのは残念ですが、それはそれでTwitterで遊ぶことが減って、僕も原稿が進みますからね(笑)

Twitterにはせめて虚偽やデタラメの申請ができないよう、身分証明書や法人登録書類の提出を義務付けるようにしてほしいと思っています。
銃を無免許で所持して誰もがノーリスクで発砲できるような状況では、無差別テロなんてやり放題ですからね。

皆さんの一刻も早い凍結の解除と、心強い弁護士が名乗り出てくれることを今は切に願います。

アンチにAmazonレビューを荒らされた結果、「レビューシステムがいかにイタズラし放題か」が判明した件について

簡単にあらましを説明すると、「SNSで宣伝のためと思っていろいろと発言をしまくっていた結果失言をしてしまい、アンチに目をつけられてAmazonのレビューを荒らされる」という状況に陥ってます。

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該当の商品ページはこちら
アーマードール・アライブ Ⅰ 〜死せる英雄と虚飾の悪魔〜

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ちなみにこちらが半年前に取ったキャプチャーですが、たった2件しかレビュー投稿のない状態でした。

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それが作品の商品ページが、作者の失言をきっかけとして荒らされた結果が次の状態です。

もちろん自分もSNS上でかなりの暴言や失言があったことについては認めますし、反省もしています。
また前回みたいに二次創作をボコボコに叩く記事を書いて炎上したこともあったりして、いろんな厄介な人たちに目を付けられやすいのも十分承知しています。

funny-creative.hatenablog.com


ただ、「荒らされたくなければSNSでの宣伝や発言を控えろ」という指摘に関しては、絶対に認めることができません。
作品を多くの人に見てもらうためにSNSでの宣伝や発言をして目立つことは現代の作家にとって必須の活動ですし、いくら気に入らないと感じる人間がいるからと言って、彼らのために自分の創作や活動を自粛させられるいわれはありません。
それに、いくら「SNS上での作者の発言が気に入らない」からといって、それを理由に作者の作品に嫌がらせして、不買を行ったり創作の邪魔をしていいとも思えません。
「気に入らない発言をする作者の商売はいくら邪魔してもいい」だなんて考えが広まるのは、僕は同人作家として絶対に許せません。

Amazonのレビューや評価、星の数といった指標はどうしても購入の判断材料にされやすいですし、星一つの状態のまま放置してしまうと、それだけで「この作品は読む価値がない」と判断されてしまう可能性も高いです。

嫌がらせが始まってからすぐ、自分もフォロワーや作品の読者に「ぜひ作品を読んで肯定的なレビューをつけてほしい」とお願いするようにして、たくさんのご協力をいただきました。
星5のレビューが増えた結果、平均評価は星2.5の状態まで戻すことができています。
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また、全てに対応していただけているわけではないですが、あからさまな嫌がらせに関してはいくつか削除対応していただくことができています。
例えば、下記のような嫌がらせレビュー。
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こちらはカスタマーセンターに「黒塗りの高級車なんて出てきません」と伝えたら、削除対応をしていただくことができました。

まあこんなバカバカしいレビュー問い合わせをわざわざしないといけない状況に立たされてる時点でこちらがかなり不利ですし、時間を浪費させられていることも事実です。

もちろん、全てが事実無根の嫌がらせとは限りませんし、中には本当に「SNSで知って興味を持って読んでみたがつまらなかった」と感じたレビュワーもいるのでしょう。
ただ、もし本当に購入して「つまらなかった」と思っている読者が書き込んだのであれば、Amazonのシステム上、下記のようにAmazonで購入という文字が表示されているはずです。
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実際、高評価をつけてくれているユーザーの5人中3人が購入済みの表示が出ている一方、星1をつけているレビュワーの中に購入済みの表示が出ているレビューは一つもありませんでした。

しかも自分の場合、「好みに合わない可能性もあるから、興味がある人は無料お試し版を読んで好みに合うか確かめてほしい」と考え、無料版の配信もしています。

実際、中には「ほかのサイトで無料で1巻と2巻を読んでつまらなかったからわざわざ星1だけつけに来ました」みたいな、性格の悪いことを書き込むレビュワーもいます。
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無料で読んどいてわざわざAmazonに酷評書き込みに来る奴の性格クソ悪いなと正直なところ思っていますが、最低限、「ちゃんと読んだうえで評価している」分、他の嫌がらせに比べればまだ好感が持てます。
現状、星1のレビューを書き込んでいるユーザーの中に実際に購入して読んでいる人はこの書き込みをした1人以外、誰もいないのではないかと思っています。

こうして事情を説明すれば、「低評価なのは嫌がらせを受けているのが原因だ」とご理解いただけると思うのですが、初めて商品ページを見たカスタマーには、やはり「低評価が多くて問題のある作品っぽいな」という印象を持たれてしまう可能性がぬぐえません。
もちろん、「買って読んでつまらなかった」と言われる分には構いませんし、自分の実力不足だと認められます。
しかし、「SNSでこいつの発言が気に入らなかった」とひとたび思われれば、作品を一行も読んでもいないネット上の有象無象にあっという間にレビューを荒らされてしまうという状況は、作家の自由な発言や心情の表明を萎縮させてしまうだけに思えます。

しかも、こうした「嫌がらせレビューを受ける→問い合わせて削除させる→ガイドラインの穴をすり抜けた嫌がらせが残る」という一連の作業を繰り返していくうちに、「どうすればガイドラインをすり抜けられるか」がかなり鮮明になってきました。
嫌がらせする側も「こうすればガイドライン違反で削除されることなく、嫌がらせの低評価を残すことができる」と学び始め、工夫を凝らすようになってきてしまった気配があります。
自分も嫌がらせに対して問い合わせを繰り返すうち、むしろこうした「簡単に嫌がらせが成立してしまうAmazonのレビューシステム自体にかなり問題があるのでは?」と思うようになりました。
実際、国内メーカーの優良商品のレビューを意図的に荒らして自社の商品を優位に見せるレビュー工作が存在していることは、東洋経済のニュースもなっています。

toyokeizai.net

ビジネス上の利益がある海外の競合他社がレビューを荒らすのはまだ理解できますが、国内の作家をただ気に入らないという理由だけで、何の得にもならないのに他人の足を引っ張って潰そうとする日本のオタクたちは本当にヘドが出ますね。
ただ、こうした穴だらけのレビューシステムの問題を解決せず、機械的に「ガイドライン上問題ない」としか返答しないAmazonの姿勢にも一石を投じたいと感じるようになってきました。
そこで今回は、「Amazonのレビューシステムはこういう問題が放置されている」という告発を行うために、「削除されない嫌がらせの仕方」を嫌がらせされた当人が紹介する摩訶不思議な内容となります。
前振りが長くなってしまいましたが、ようやく本題に入ります。


## 「設定」とか「文章力」など、誰にでも言えそうなことを適当に書いとけば嫌がらせしてもOK

まず前提として、Amazonレビューのガイドラインは下記のようなものになっています。
Amazon.co.jp ヘルプ: コミュニティガイドライン

いくら問い合わせを行っても、このガイドラインに違反していると判断されればレビューは容赦なく削除されますが、このガイドライン上問題ない形になってさえいればどんな明白な嫌がらせであっても削除されることはありません。
もちろんガイドラインにはきちんと

誹謗、中傷、いやがらせ、脅迫、扇動、卑猥、わいせつ、またはみだらな内容投稿は禁止です。

と書かれていますが、逆に言えば「嫌がらせかどうか判断するのはAmazon次第」なので、ほぼ有名無実と化しているのが実態と思われます。

そしてこのガイドラインの抜け穴を利用して、なかなか巧みに嫌がらせを行っているレビュワーが下記のものになります。
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一見しただけで、「著者がSNSで気に入らない発言をしていた」と指摘したり、「筆者は日本語を勉強し直せ」と指摘するなど、作者の人間性に対して個人的な反感を持っていることからレビューを行っていることは明白です。
また、この作品はシリーズとして5巻まで発行していますが、作品を1冊も購入した形跡がなく、指摘の内容も「文章が」とか「設定が」といった中傷的な言葉のみで、本文の具体的な内容には一切触れていません。
「タイトルがイヤだ」なんて、読んでなくても誰でも言えるようなものですし、作品を実際に自分で読んだ形跡が一切見られません。
以上の状況から、「作品を一冊も読んだことはないが、作者のSNS上での発言が気に入らないため、同著者の作品に低評価レビューを手当たり次第につけ、ガイドラインに抵触しないよう文章とか設定といった、誰でも言えるような中傷的な指摘だけを本文で行っている」という悪意のレビュワーであることが推察されます。

しかしこれだけ明白な嫌がらせの意図が存在していながら、Amazonからの返答は「規約違反には当たらない」というテンプレ文のみでした。
事実を紐解いてみれば「つまらなかった」「面白くなかった」と取り合えずでも書いておけば、嫌がらせし放題というのが実情です。

# とりあえず褒めてさえいれば低評価でもOK

また、こちらもかなり信じがたい、質の悪い嫌がらせです。
これまでにも「作者の人間性に問題がある」「発言が気に入らない」など、個人中傷を目的としているとみられるレビューを、かなりの数投稿されましたが、どれも問い合わせの結果「ガイドラインに違反している」と判断され削除されています。
ただ、その状況を見て嫌がらせする側もかなり工夫を試みているのか、こんなレビューがされているのを見かけました。

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「文面上ほめてさえいれば、正反対の低評価レビューをつけても問題ないのか」と問い合わせたところ、やはりテンプレ文で「違反には当たらないので削除しない」という返答のみでした。
残念ですが、「作者を批判する低評価レビューは削除されて作者を褒める低評価レビューなら削除されない」という抜け道があることは自明です。
天下の大企業であるAmazonのレビューシステムにこんな落とし穴があったとは、このイクヤの目をもってしても見抜けませんでしたね・・・。

このままいくと来週あたりには、「作者大好き!」「作者最高!」という文面とともに、嫌がらせの星1レビューが100件近くついて1件も削除されない、なんてことが起こりえます。

# レビューをしなくても「参考になった」を連打すれば嫌がらせになる

また、上記の問題に付随して、こんな問題も見えてきました。
Amazonにはレビューに対する投票システムがあり、参考になると考えられるレビューが上位に表示されるようになっています。
どれだけ善意のファンが長文で作品のいいところを褒めてくれても、ユーザーが最初に目にするのは「もっとも投票がされたレビュー」になります。

例えば自分の出している作品の第1巻だと、下記のレビューがもっとも投票数が多く上位に来ています。

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「68人のお客様がこれが役に立ったと考えています」という表記があるのが見えると思いますが、それだけの人間がこのうんちの顔文字が参考になったと思ってるらしいですね。

ちゃんと購入してくれた読者が、作品のどんな点を面白いと思ったか、どこが魅力に感じたか。
何百文字とかけて書いたとしても、その投票数が嫌がらせを上回れば、上位に来るのはこのうんこの顔文字です。

せめて「実際に購入したユーザーのレビューを上位にする」みたいなアルゴリズムがあればいいのですが、誠意のある一人より悪意をもった集団の方が有利にコントロールできてしまうシステムになっています。
ただただ作者として残念ですし、せっかくレビューをしてくれた読者にも本当に申し訳ない気持ちです。

# 最後に

この荒らし行為によってAmazonKindleでの売り上げが落ちていくことは明白ですし、避けられない状況であることはもうあきらめるしかないことだと思っています。
ただ幸いなことに、自分は十店舗以上の電子書籍ストアサイトで自作を販売して流通ルートを分散させていますが、もっとも売り上げがいいのはKindleではなく国内製ストアのBOOK☆WALKERの方だったりします。

bookwalker.jp

こちらはそもそもレビューや評価システムがないようです。

また、最近ではSONY運営のREADER STOREでの売り上げも好調です。
こちらでは購入していただいたユーザーから好意的なレビューをいくつかいただいており、これらが販売の促進につながったものと感じています。

アーマードール・アライブ Ⅰ ~死せる英雄と虚飾の悪魔~(FunnyCreative) : ボイジャー | ソニーの電子書籍ストア -Reader Store

結局僕が販売しているのはAmazon一つというわけでもないので、結局レビューシステムを荒れ放題で放置した結果、被害を受けるのはAmazonでしかないと思うんですよね。
僕も今回の件で相当Amazonに対して不信感を持つようになったので、今後はできるだけ別のストアでの購入を読者に促すよう、販売の形態を変えていきたいと思っています。

確かにAmazonというプラットフォームは読者として利用者として、便利で使い勝手はいいですが、自分のような小規模なパブリッシャーの立場にしてみれば、あまりに悪意に対して脆弱なシステムに感じます。
確かに「信用のできない商品や悪質な商品をユーザーに監視してもらう」ために、低評価をつけられる仕組みは有効ですが、それは結局のところ「警察が取り締まりを放棄して自警団に任せている国」みたいなものです。
当然今回のように、「気に入らない人間を私怨や個人的な感情で攻撃する」という形で簡単に利用されてしまいます。

またこれは作家としての反省ですが、今後は一層SNS上での発言を気を付けるとともに、普段から「読んで面白かったらレビューしてほしい」と読者に訴えるようにしていきたいと思います。
今回、かなりの数のアンチに嫌がらせされて、かなり落ち込んで筆を折りたくなりましたが、その分多くの読者から好意的なレビューをもらえて励まされました。

また、普段個人のユーザーとして商品の購入指標にしているレビューが、いかに簡単に改ざんできてしまう、信頼のおけない指標なのか、再確認する機会にもなりました。
皆さんもAmazonでものを購入する際は気を付けていただけるといいですね。

この記事のURLはAmazonのカスタマーセンターに送って「お前らのレビューシステムがいかに穴だらけか反省しろ!」と、ささやかな嫌がらせをしておきたいと思います。

  • 2020.02.13追記

「文面上褒めてさえいればどれだけ低評価をつけても削除されない」という抜け道の存在を報告しましたが、ご覧のとおりさっそくこの抜け穴を利用するユーザーが現れました。
ちなみにカスタマーセンターに「規約違反の嫌がらせではないのか?」と問い合わせしましたが、未だにこのレビューは1つも削除されていません。
マジでガバガバだなAmazonお前。
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「二次創作の影響がどうかはわからんけど、アマチュアのオリジナル創作はいま元気ですよという話」を読んで

funny-creative.hatenablog.com

先日投稿したこちらの記事が僕の想像してた以上に読まれまくって、あっちこっちで爆発や炎上や論争が起き、なぜか僕の記事を拡散した人がオタクに叩かれまくってアカウントを消してしまうとか、まあだいぶ世紀末なことになってしまいました。
こんにちは、幾谷です。僕は悪くない。

そんな中、Twitterでこんなメッセージをいただき、その方が書いたこちらの記事に目を通してみました。

note.com

今回はこちらの記事を読んで、僕が「これは誤解を与えてしまったな」とか「これは考え違いだったな」という返信をしておきたいと思います。
言ったら言いっ放しというわけにもいきませんし、せっかく自分の言葉に応じて考えを残してくれたので、何か返しておきたいという私的な考えです。
ほぼ公開私信といっていいものなので、あまり記事としてのおもしろみもないと思います。

また、最初に言っておきますが、僕は個人的な経験から二次創作をしている同人作家の一部に物凄い嫌悪感を抱いていますし、感情的な部分がないとは全く思っていません。

トラブルに関しての詳細はこちら
funny-creative.hatenablog.com


むしろ、わざと「僕はお前達に怒っているんだ」と伝える意味で、できるだけ感情を載せようと意図して書いています。
そうした怒りや嫌悪含めて僕の意見ですし、むしろそこをひた隠しにして書いたところで、ただの嘘です。

なので「データでこうなってる」という話より、やや「僕はこう思ってる」という感情論寄りの話が多くなることについては、あらかじめご了承ください。

「 オリジナル同人文化の現状」について

元記事の主旨は「二次創作ジャンルが活況なせいで、オリジナルが割を食っている」だと理解しているのですが、もしそうであれば同じ文化圏の中で隣接する二次創作とオリジナル同人は「人気の二次創作が誕生したタイミングで、オリジナル同人が低調になる」などといった傾向が出るのではないかと思われます。

しかし文化全体の実数として、少なくともここ10年に限定していえば「二者間に好調と不調の相関関係があるとはいえない」、「それはそれとして近年のオリジナル同人は全体で数を増やしている」というのが私見です。

自分は儲けや実利を優先するために電子書籍販売オンリーの形で活動していて、リアルのイベントに出たことは数回程度しかありません。
(その中にはコミケだけでなくコミティアや、文フリなども含みます)

例えば以前には、QRコード付きカードで電子書籍を販売する、みたいな遊びも試してました。
funny-creative.hatenablog.com

ただ、このQRコード販売含めて、どうしても「儲からない」という壁が隔たってしまって、実イベントからは足が遠のいてしまっていました。
なので「年々参加サークル数が増えている」という指摘には驚かされました。
その割には、Twitterやっていて、人のやってる一次創作の宣伝や話題が流れてくることって皆無といっていいほどないんですよね・・・。

Twitterでも何度か指摘されたんですが、「同人作家が増えてるのは二次創作が有利だからじゃなくて、同人誌が商業より自由で敷居が低いからじゃないか」という話がありました。
すっかり忘れてたんですが、当の僕自身、「商業作家がめんどくさすぎて同人で活動することにした」という典型例なので、同人作家が一次も二次も増えてるのは〝それに比べても商業がウンコすぎる〟という事情に他ならないなと気付かされました。

ただ、ここでちょっと意地悪な話をするんですが、〝好調〟という言葉の使い方に関してです。

ここで示されてるデータでは確かに「人数の増減」は現れてるんですが、「売り上げ」とか「実売数」っていう商業的成功の目安が一切現れてないんですよね。
単なる趣味のレベルとして一次創作をしている人はもちろん増えてはいるんですが、その中で「対価をもらって儲けを出して副業と言えるレベルまでやってみたい」というレベル感の作家ってそこまで多くはないのでは? という疑問です。

コミティアみたいなイベントって、どうしても「お金をたくさん使って売れない本を出す」という趣味的意味合いが強く、「経済的に活況である」という確信は持てませんでした。
人数が増えればいいのか、売れればいいのか、その辺りの基準を定めず書いていた僕もめちゃめちゃ良くなかったんです。
今回の生放送では山田太郎議員のような政治家や、夏野剛さんのようなプラットフォームビジネスをしている経営者の人間もいたので、「国策としてどちらが正しいか」という視点で話させてください。

確かに一次創作だろうと二次創作だろうと、売れればそれだけ経済は循環しますし、そこに貴賤は存在しないと思います。
ただ、「稼げるコンテンツ」や「稼げる作家」が二次創作ばかりに集中してしまっても、それって国内でスケール出来る範囲は限られますし、海外にだって売り出すことは困難ですよね。
実例としてもTYPEMOONとか竜騎士07みたいな、企業レベルの成長を遂げた同人サークルもありますし、一次創作同人から外貨獲得のチャンスが生まれることはあり得ます。
逆に二次創作てどれだけ売れても、せいぜい海外割れサイトに放流されて読まれるぐらいがオチで、正規の流通ルートで国外に発信したり、外貨獲得に繋がることはないと思います。
法律や制度を変えてまで奨励する経済的メリットはゼロなんですよね。
むしろ、将来TYPEMOONみたいな同人サークルに育つ可能性のあった才能ある人間が、一時的に安易に稼げる二次創作に流れるデメリットの方が問題じゃないかなと思います。

例えば実際の話として、自分の友人でもずっとコミティアで一次創作の本を出していた作家がいました。
彼は売り上げが少ないながらも楽しそうに活動していたんですが、あるとき「試しに二次創作をコミケで出してみたら、今までの一次創作より跳ぶように売れた」と嬉々として話してくれました。
彼はそれ以来、二次創作を中心として活動するようになり、儲けも出ていて、一次創作をすることはなくなりました。

こういう話って、このデータからは一切見えてこない実情なんですよね。
これはあくまで一例なんですが、僕はこの経験から「収益や実利を優先するなら一次創作はやめていくのではないか」という考えを自分は持ちました。
僕もなんだかんだ言って元プロの商業作家ですし、正直、儲けの出ない創作を意地や根性だけで続けるのはぶっちゃけ無理ですし、多少の儲けは出てないと続かないなと思ってます。
(実際、趣味同然でやってた作品を1つ、儲けが出ないからという理由で嫌になって途中で投げ出しました)

その意味で言うと、「お金儲けを目的として活動する利益を出せるレベルの一次創作サークルが増える」が理想的な話で、現状の山田太郎が提唱している政策は、それを阻害してるんじゃないかなという話でした。
僕も別に国家の利益とか考えて発言するタイプじゃないんですが、どうしても議員さんの居る場だったので、どうしてもそっちに考えが引っ張られてしまいましたね。

電子書籍ストアと二次創作」について

まずこれ、だいぶ誤解があって申し訳なかったんですが、「二次創作よりオリジナルが売れない」というのは、事象としての話ではなく、「同時期に出てる二次創作小説作品に比べて俺のオリジナル小説がDLsiteで売れねー!」という経験があったら心が折れるよね、というたとえ話でした。
文章下手くそですみません。

また、「ビジネス上有利」というのは、最終的な売り上げだけの話ではなく、たとえば「キャラデザインや設定、世界観を考える時間や労力」というコストも含んでの話です。
その手間が最初から存在してない二次創作の方が、かかるコストが少ない分、作品を出すための準備が少なくて有利だよね、というニュアンスも含んでいることは改めて強調しておきます。

二次創作も扱うDL同人サイトの中で、全年齢版とアダルト版を持つDLsiteの2019年間ランキングでは、ついに上位100作品の全てが著作権上の原作・原案を持たないオリジナル作品が占めています。

ほとんど耳かきボイス作品じゃねーか!!!!!

っていう本音は置いといて、いや、置いとけないな。いくらなんでも多すぎる。
正直、漫画とかCGの売り場と音声作品の売り場分けて欲しいんですよね、DLsite。普通に使いづらいし。

  • 2020.01.10追記

「二次創作の影響がどうかはわからんけど、アマチュアのオリジナル創作はいま元気ですよという話」を読んで - Funny-Creative BLOG

思うところあるのであとで記事にしますが取り急ぎ。耳かきボイスってつまりはドラマCDやラジオドラマ群の亜種であり立派なクリエイションなので、こういうパフォーマンスやめたら味方増えると思いますよ。

2020/01/10 12:23

思うところあるのであとで記事にしますが取り急ぎ。耳かきボイスってつまりはドラマCDやラジオドラマ群の亜種であり立派なクリエイションなので、こういうパフォーマンスやめたら味方増えると思いますよ。 - natukusaのコメント / はてなブックマーク

僕は作者に伝えたいテーマやメッセージ性のない作品はすべてポルノだと考えてて、耳かきボイスってただのシチュエーションポルノだと思ってます。
いや、僕も好きですし買ってるんですが。買ってるからこそ、ドラマとは全く異なるジャンルだと思ってます。

それに僕は味方を増やしたくてやってるわけじゃなく、自分の正直な気持ちが伝わればどうでもいいので、今後もこの芸風です。

  • 追記終わり

話が逸れました。

とりあえず成年向けの方は一端置いといて、全年齢向けの方に限定して話をさせていただきます。
確かにこのGRINP先生の作品とかほぼ商業作品って言えるぐらいめちゃめちゃ売り上げ好調ですし、いい作家育ってるなって思いました。
ただこれ以外のマンガ作品って東方二次創作がチラホラあるぐらいで、そんなに居ない気がします。

ちなみに2018年に目を移してみると、Check Mate!というサークルの艦これ二次創作が目に入ります。
こちらのサークルが4年間で2100万円の利益をたたき出しているという指摘については、以前の記事でも書きました。

僕の印象の中では、まだ一次も二次も本格的に電子同人に参加しているサークルの総数が思ってるより少なく、まだ有効なデータが揃いきってないと思うんですよね。
そういった状況で、今後増えていくのがGRINP先生みたいなオリジナルのマンガを描く人か、Check Mate!のような二次創作を描くサークルなのか、これから結論が見えてくる状況じゃないかと思います。

ちなみに僕自身、販売できるストアには手当たり次第出しまくってて

BOOTH
BOOK☆WALKER
理想書店ボイジャー直販)
Kindleストア(Amazon
紀伊國屋書店
楽天Kobo
BookLive!(凸版印刷グループ)
Reader Store(Sony
ブックパス(au
iBooks Store(Apple
DLsite

以上の10ストアで自作を販売してます(もっとあったかも)
その中で現状一番売れてるのはKindleで、次にBOOK☆WALKER、Reader Store、BookLive!って感じです。
DLsiteやBoothみたいないわゆる同人ストアって呼ばれるようなところの売り上げは実は一番低いですね。

また、二次創作禁止な電子ストアってAmazon KindleApple iBooksのような外資系ストアが顕著で、逆に二次創作がOKなストアって日本国内展開のみの国産ストアばかりだなってのもちょっと気になりました。
要するに、国内の電子書籍ストアが海外のストアに比べて著作権的な規範がだらしなくて、二次創作が金儲けをする温床になってるんじゃないかと思いました。

DLsiteみたいなストアがある限り「艦隊ジャーナルみたいな二次創作で俺も一儲けしよう!」というサークルは増え続けますし、そういうサークルが増えれば今の地図も今後容易に塗り変わると思います。
今儲かっているか否かより、そもそも儲ける手段がある限り、商品はそこに増えていくし市場も発生していくというのは、コミケがここまで肥大化した歴史を振り返れば理解できる通りです。
逆に、Kindleみたいな一次創作しか売れないストアがあるからこそ、そのレギュレーションに合わせてみんな一次創作をしようと考えることに繋がると思います。

この辺りはどうしても推測と予想の話になってしまうので、この辺でやめておきます。

「世界規模の二次創作活用例」について

世界で一番金のかかった二次創作ことMCUは、一種のフランチャイルズ形式で制作されています。ケヴィン・ファイギをはじめとした全体を管理するプロデューサーたちがバックアップすることで一定の品質を保ちつつ、原作とキャラクター性を生かせそうな役者と監督を有名無名問わず起用しつづけました。

確かにここちょっと反論が難しいですが、そもそも「キャラクターの設定やブランドイメージやを守りながら企業が集団で作ってるメディアミックス作品」と「個人がやってるブランドイメージや原作をどれだけ壊しても責任を問われない二次創作」では、全く養われる技術も要求されるスキルも違います。
それに、「トニー・スタークという人物をもともと知っている人にその前提を利用して作品を作る」という作業と、「トニー・スタークという人物がどういう人物か見せて魅力を伝える」という作業は全くプロセスが異なります。
前者はいわゆる二次創作ですが、後者はむしろ翻案に近いと思います。

それに僕自身、最近は小説家とは別のキャリアを積むためにシナリオライターの学校に通っていて、実際に漫画シナリオの仕事なんかも仕事として手がけています。
ただ、その仕事の中で「原作者の要求や守る必要のあるブランドイメージ、ポリティカルコレクトネスへの配慮や商業上の制約」といった様々な条件をクリアして、シナリオを構築していくのめちゃめちゃ大変でした。
そういう大変な仕事を自分が自信を持ってこなせたのも、今まで自分が一次創作として商業作家として自分の技術を鍛えてきたからだという自負があります。
「原作のイメージがどれだけ崩れても関係ない」「気分を害するやつは見なければいい」と無責任な態度で、原作の良いところだけを利用して横柄な態度を取っている彼らに、そんな技術が身についているとはとうてい自分には思えません。
一言で言うと「一緒にするな」です。
これは完全に、元商業作家として同人作家のことを見下してるだけですし、個人的な偏見ですので、賛同できるかどうかは読んでる皆さんの判断に任せます。

田中芳樹作品のガイドライン制定について」について

これについては全くのにわかだったので見当違いなこといってすみません。
ちゃんと勉強しておきます。
ちなみに銀河英雄伝説は古い方のOVAと最近やってたテレビシリーズを全部見ただけで原作エアプです。
重ねて申し訳ありません。

「 私の立場と姿勢について」について

一通り読ませていただきました。色んな姿勢の方が居るモノですね。
もちろん僕も、仲村さんのような作家が居てもいいと思いますし、居なくてもいいと思います。つまりどっちでもいいです。
自分には関係ない話ですし、人が好きにやってる分には問題ないですからね。

ただやはり、経済とか政治とかの話が絡んでくると、状況が変わってしまいます。
国内の市場や総生産、可処分所得、可処分時間はすべて有限です。何かのコンテンツが成長すれば、そのぶん所得や時間を奪われたコンテンツは衰退します。
そして山田太郎議員のように「二次創作を優遇しよう」という政策を唱える人間が現れれば、既得権益側は「一次創作を冷遇するのか」と声を上げざるを得ない状況に立たされます。

結局、お互い見ないふりをしてどうでもいいと思えてきた状況を、山田太郎議員のような人間が政治に持ち出したことで、どちらも無視できない状況になりつつあるんだと思います。
彼は二次創作やオタクを守ろうとするどころか、政争の場に担ぎ上げて火中に投げ込んだようなものですし、オタクはよくあいつのことちやほやしてんなって首をかしげてます。
国会で議論されるにしろ、法案を議員が作成するにしろ、そこには税金が投じられることになりますし、全ての国民はそれに無関心ではいられません。
そこにはもはや、オタクではない人間だからとか、クリエイターじゃないからといって無関係ではなくなっています。
全ての国民が二次創作の是非について、語るべき立場に立たされてしまっているんじゃないかと思います。
僕も「なんで経済とか政治とかややこしいこと考えてるんだろう」って自分でも疑問でしたが、結局これに端を発してる問題なんですね。

それに僕は放送でもお話しさせていただいたとおり、「セーラームーンのエロ画像なんて描いてんじゃねえよ!」とキレてるようなキモい男ですし、自分の作品に関しても同様の価値観を持って書いています。
この点に関してはお互い議論するまでもないなって思うので、この辺でやめておきます。

二次創作を否定する立場の同人作家として喋りたかったこと。

みなさんがこのブログを読んでいるということは、僕はもう、この世に生き恥をさらしまくって社会的に死んだあとでしょう。

明けましておめでとうございます、幾谷正です。

実はご存知の方も多いと思いますが、あのAbema Primeに生放送で出演することが決まりました。
2020年1/6(月)に年明け1回目の放送で「二次創作の是非」という特集がありまして、そちらに同人作家の代表として意見を言わせていただく段取りです。

  • 2020.01.07追記

abema.tv

出演した動画はこちら。見逃し視聴も一週間ぐらいできるみたいです。

  • 追記ここまで

このエントリーは出演前の年末に書いていて、出演後に公開するつもりです。
実は出演にあたって色々と言いたいことは考えているんですが、時間の都合上、用意してきたことの半分も喋れないかもと思ってます。

そこで今回は、出演前の今の自分が考えている「喋りたいこと」を先にまとめておこうと思った次第です。
そしてこの記事が公開される出演後、視聴者の方々の中に「何が喋りたかったか」気になる方にご覧になっていただければと思ってます。

出演の経緯

「幾谷先生が公開しているブログを見て興味を持ちました。ぜひ生放送に出演してください」

こんな文面のメールが開設してるサイトの問い合わせフォームに届いたのは、年の瀬も迫った12月某日のことでした。

ちょうどそのとき、僕は生来の炎上癖でまたもや炎上を巻き起こしてしまった真っ最中で、Twitterに毎日のようにクソリプが届いてて心が荒れ果てたメキシコの荒野でした。
なので僕はメールを2回ほどじっくり読んでから「最近のイタズラは手が込んでるなあ」と即座に偽物とだと決めつけて無視することにしたのです。
ただ、「万が一本物の可能性もあるかも」と思い、「名刺を写真で取って添付して送ってくれ」と返信してみたところ、数十分後に〝明らかに本物と分かる名刺の写真〟がメール添付で届き、そのときようやく「あ、これマジの話だ」と気がついて真面目に対応することにした次第です。

話を伺ってみたところ、年明けに放映する番組の企画で「コミケに関連づけて二次創作の賛否を巡る議論を放映したい」というテーマで、その出演者を探していたそうです。
もちろん賛成を表明している方は今日多く見かけますし、山田太郎議員とか田中圭一先生とか、業界でも知られたビッグネームが既に呼ばれている形です。

ただ賛否を議論してもらいたいのに、〝二次創作に否定的な立場〟の著名人が驚いたことに、1人も見つからなかったそうです(この理由については後述)
そこでネットで色々と検索していた際、過去に僕が書いたこのブログのエントリーが目に留まり、二次創作否定派の代表としてお呼びがかかったという経緯でした。

funny-creative.hatenablog.com

なんというか、世間では僕みたいな人間のことを〝逆張り〟だとか〝あまのじゃく〟だの言うみたいですが、きちんとした姿勢でやり抜けば、結果がついてきちゃうという良い例ですね。
実際僕がライトノベルの新人賞で受賞したのも、「ラノベであえて王道硬派なロボットモノを書く」みたいな奇策が成功したような面もありますし、僕のポリシーみたいなものかもしれません。

ちなみに「僕だけ場違いすぎないか」と聞いて見たところ、「最初は編集の鳥嶋和彦さんに出演を依頼していたけど、スケジュールの都合が合わなかったので2番目の候補が幾谷先生」というお話でした。
(過去の記事でも紹介したのですが、鳥嶋和彦さんは過去にコミケについて厳しい意見を残して話題になりました)
なので事実関係だけ見れば、僕は鳥嶋和彦さんの代役というよくわかんない状況になってるわけですね。
もっと中間の人、誰かいたはずでしょ。

ただ、「どうして二次創作に否定的な立場の人間がこんなに少ないのか」ということ自体、そもそも疑問に感じました。
というのも、僕が否定的な発言を始めたのって商業作家としての活動をやめて同人作家になってからなんですが、その理由って〝怖い物がなくなった〟からなんですね。

実際、商業で仕事しているプロの作家でも、ライトノベルイラストレーターでも、商業の片手間で二次創作同人をやっているのは結構当たり前になってます。
なのでそういう「二次創作があって当たり前」という状況で、「二次創作ってしょせん著作権侵害で他人の作品をパクってるだけじゃん」って正論を言うの、とてもリスクなことなんですよね。
言い方を変えれば、二次創作をしている作家に嫌われたり恨まれることを怖がって、一次創作をしている人たちも否定意見を言えなくなってる状況だと思うんです。

もちろん鳥嶋和彦さんのような誰もが認める実績を持っている編集なら、そういった業界の空気に流されず「コミケに居る作家のほとんどは使えない」と本音を遠慮無く言うことができます。
他にも『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』で有名な田中芳樹先生が自作の二次創作について厳しい規約を設けているのも有名な話です。

どちらもいまさら同人作家たちに恨まれたところで地位の揺らぎようがない方達ですが、そういう意味では同人で好き勝手やってて出版の力関係に左右されてない僕も、恐れずに本音を言える立場の1人です。
現在商業で活躍されてる作家の中にも「本当はタダ乗りしてるだけの二次同人作家たちの振る舞いを良く思ってない」と本音では思いつつ、隠してる方も結構いるんじゃないかと思います。

そこで僕みたいな立場の人間が、恐れず本音を言ってみせることで、他の人も思っていることを言いやすくなればいいなというのが今回出演を決めた理由の一つでもあります。
まあ第一の理由は単に目立ちたいってだけなんですけどね。

二次創作で作家は育たない

今回出演にあたって色々と言いたいことはたくさんあるんですが、欲張っても全部言えることはないと思うので、「とりあえずこれだけは絶対に言っておきたい」という内容は二つほど絞って決めています。
その1つが、この「作家が育たない」という僕個人の主張です。

詳しくは過去の記事でも書いたのですが、「二次創作同人作家」という立場って「商業漫画家」に比べてあまりに有利で楽なんですね。

僕にも二次創作をやってる知り合いは実は何人か居るんですが、彼らとたまに話をすると「商業出版社から仕事のオファーが来た」という話は、間接的にも良く聞きます。
最初はスカウトに喜んで商業デビューしてみたものの、現実はかなり厳しいものがあります。

・締め切りは出版社の都合で決められるので副業だと厳しい。
・原作つきの場合は二次創作と違って公式から審査やチェックが入るから自由に書けない。
・しかも版権料を納める必要があるので本来の印税の半分以下になる。

と悪いことづくめで、結局「1回やってみて知名度は上がったけど、稼ぎとして効率が悪いから二度と仕事を受けたくない」という結論に至った作家の話を何度も聞きました。
そう言ってる僕自身、一次創作という立場ではありますが、「商業より同人の方が自由にできて楽」と思って同人作家として活動してるので、彼らの言い分はめちゃめちゃ最もだなと思うんですね。

そんな状況下で、今回の出演者のお一人である田中圭一先生が、以下のような発言をTwitterで残しているのを思い出しました

もし「二次創作は作家を育てる土壌になる」という俗説が真実だとすれば、これだけ二次創作をする人がたくさん増えているなら、商業漫画家だってもっと増えてないとおかしいですよね。
でも現実として、二次創作や同人という環境は「作家にならなくても一次創作をしなくても漫画が世の中に出せる」という、作家にならない理由を与える場として機能しています。

たとえば「アニメの仕事をしても食えないアニメーターが、稼ぐために二次同人を出してみたら、とても売れて儲かってしまって、同人活動にのめりこんでアニメの仕事をしなくなってしまった」という話も、僕の想像ですが、実際に起きててもおかしくないですよね。

これは僕の持論なのですが、出版社の編集は同人作家というものを〝クリエイター志望者〟だと勘違いしているんですね。
ですが実際には、彼らは独自の販路とビジネスを持って活動している立派な〝パブリッシャー〟、つまり商業出版社と競合する他社に過ぎないんです。
自分の販路もビジネスも持ってるパブリッシャーに、他社のパブリッシャーが「うちで本を出さない?」と誘っても、受けるメリットや旨味がないのは目に見えています。

同人作家を「立派に育ってくれれば俺たちの食い物になるはず」と家畜のように思い込んで、作品やキャラクターの利用権を無思慮に与えたところで、彼らは自分の肉を出版社に差し出してくれはしません。
結局、二次同人作家というのは他人でしかないですし、他人にただで食べ物を分け与えて太らせて、自分自身は痩せていってるのが出版を取り巻く現状であるように見えます。

そしてこれは僕の個人的な立場からの意見ですが、二次創作で活動している作家ばかりが注目され、人気を集めた結果、一次創作で頑張ろうとする人間の邪魔をすることにも繋がります。
僕はプライドや意地だけで一次創作をやってる人間ですが、もともと有名で人気な作品のキャラクターを利用した二次創作の方が、簡単にものが作れてたくさん売れるに決まってるとも思っています。

ただ、創作の技術において大切なのは「キャラクターや世界観を自分で考えて生み出すこと」だと考えていて、二次創作だけやっていても肝心の技術は育たないと思っているんですね。
実際、そうやって頑張ってきたおかげで、商業媒体からシナリオライターの仕事をもらえる機会にも恵まれていますし、そこで仕事をこなせているのもこれまで積み上げた技術があってこそだと思います。
ただ、誰も彼も僕みたいな志やプライドを持って創作をしているわけではないので、技術を磨くことを放棄したまま「一生二次創作だけして金を稼いでいればいい」と思う作家だって多いはずです。

「他人のことなんて気にするな」と外野がいうのは簡単ですが、作品を書いている僕たちも所詮人間なので、否応無く他人と自分を比べてしまいます。
pixivでイラストを描いてもオリジナルより版権キャラの方が多く見てもらえる。
同人ストアに苦労して作ったオリジナル作品を出してみたけど、自分の出したものより二次創作の方が売れている。
twitterでは一次創作の宣伝をしても誰も興味を持ってもらえないのに、二次創作ばかりRTやいいねを稼いでる。
そういった出来事の一つ一つが、毎日一次創作をするクリエイターの心を折っているんじゃないでしょうか。

そして売れてる作品のキャラやタイトルを上手く利用した作家が人気になって注目を集め、プロデビューしても、使い物にならないのは自明です。
創作に大切な〝キャラを生み出す〟という経験をしないできた素人同然の人間なんですから、当然上手くいきませんし、「やっぱり二次創作の方が楽だ」と挫折して同人作家に戻っていくだけです。

僕自身、過去に炎上したとき、二次創作しかしてないような同人作家から「あいつは作家として失格だ」と名指しで批判され、その作家の囲いが「そうだそうだ」とリプするのを目にして、とてつもない怒りと失望を抱いたことがありました。
(しかもその同人作家の出してるエロ同人が、僕の好きなアニメのキャラクターを陵辱するエロ同人だったので、ものすごくムカついたんですが)

僕は一次創作しかしたことないですが、立派に育って作家になれましたし、今も創作を続けながらクリエイターとして仕事をしてます。
二次創作なんてなくても今までたくさんの作家は育ってきましたし、二次創作を無くしたところで僕みたいな奴は勝手にちゃんと育つと思います。
むしろ僕にとって二次創作は、どちらかというと作家や一次創作をやめたくなる邪魔や障害でしかありませんでした。

今後二次同人ばかり増えたところで、それを「日本の誇る文化だ」と言って堂々と市場で流通させたり、海外に送り出すことってできるんでしょうか。
もしオリジナルを描く人間が日本から一人もいなくなり、中国や韓国のような国がどんどん力をつければ、日本が海外作品のコピーや海賊版を作るだけの立場に逆転することもあり得ます。

今回のAbema Primeの出演者の中に、二次同人に賛成の立場を示している山田太郎議員がいますが、その政策についても大いに疑問が残ります。
二次創作を奨励するのは、ただでさえ強い立場にある二次創作の立場をさらに強くして、逆に弱い立場にある一次創作の立場をさらに弱体化させる結果になるのではないでしょうか。
まるで大企業を優遇して中小企業を冷遇する、彼の所属政党の方針と似たものを感じてしまいます。
この点については、できれば直接会って一言聞いてみたいと思っています。

作家を育てるためにはどうすればいいか

あまり否定意見ばかり言っていても建設的ではないので、じゃあ「どうすれば作家が育つようになるか」を真面目に考えて見たいと思います。

結論からいうと【二次創作の電子販売の全面禁止】が、個人的に一番いい落とし所じゃないかなと思っています。

色々書いたんですが、全ては「二次創作がビジネス的に優位すぎる」という偏りによって、二次同人への作家流出に歯止めがかからなくなってると思うんですね。
このあたりを解決しようと思うと、やはり「二次創作は儲けにならない不利なものだ」という状況に、偏りを戻さないといけないわけです。

で、二次同人が現状めちゃめちゃ儲けやすくなっている理由の一つって、「電子販売の普及」がターニングポイントだと僕は思っています。
僕自身、一次創作作品を電子書籍で販売していますが、コストや印刷費のかからない電子販売って思ったより強力で、一次創作でもかなり簡単に儲けが出せてしまいます。
これが二次創作でも同じように利用できてしまうと、もう「非営利な同人活動」って言ってられないような金額の利益が出てしまうんですね。
実際、データを紐解いて見ても、「同人市場の規模は年々増えているが、電子販売が特に伸びている」という数字も出ています。

たとえばファン活動としての二次創作に「一般的な同人活動の範疇なら」と許可を出している出版社やゲーム会社でも、規約には「商業目的や営利目的では禁止」と書いていることがほとんどです。
では、コストがかからず莫大な利益が出せてしまう電子販売って、「一般的な同人活動の範疇」に入れていいんでしょうか、というのが僕の提議したい問題です。

  • 2020.01.09追記

多くの方からご指摘を受けたのですが、「二次創作のエロは電子ストアではそこまで売れてない」という指摘をいただきました。
ちょっと話が右往左往してわかりにくくて申し訳なかったんですが、ここで言ってるのは全年齢向けの二次創作の話ですね。

例えばDLsiteの全年齢向け作品でかなり売れている作品をランキングで調べて見たところ、二次創作だけで2000万円儲けてる同人作家が居たって話は以前の記事でも書いています。

また、有利というのは「キャラや設定を考えなくていい、宣伝が容易に済む」というトータルの効率を含めたうえでの話です。

  • 追記終わり

作品やキャラを守らなければファンも守られない

とりあえずこれだけは絶対に言っておきたい内容の、二つのうちのもう一つはファンの獲得についてです。

「二次創作はファンの獲得につながる」という俗説について、確かに作品の露出や知名度は増やしていると思います。
ですが薬も過ぎれば毒になるように、このファンの獲得という点についても最近は疑問が残ることが多いです。

今回の出演にあたり、ディレクターの方からこんな話を耳にしました。
「実は自分もある作品のキャラが好きだけど、そのキャラが二次創作で嫌な扱われ方をしている」と本音を漏らしていたのです。

簡単にいうとそのキャラというのは、二次創作では「暴力を振るわれる」ことが定番ネタになっていて、ひどい目にあったり暴力を振るわれる絵が一時期たくさん目に入ってきたそうです。
ディレクターさんは、そういう作品を見るたび「嫌だなあ」と思いながら、無視して非表示するなどして自衛していたそうです。

確かに今時のオタク界隈にありがちな話なんですが、考えて見ると、僕はこういうオタクのノリが嫌いで、オタク向けのアニメや漫画のコンテンツからどんどん距離を置くようになってきたなと気がつきました。

例えば僕なら、そういう気に入らない二次創作があれば、わざわざ公式のHPの問い合わせフォームに「こんなひどい同人誌を出してるやつがいるから取り締まってくれ!」って内容を送ると思います。
ただ、大抵の公式って「二次創作に対しては黙認する」ことが当たり前になってしまっていて、こうしたファンの切実な意見まで黙殺して無視することしかしないんです。

果たして公式サイドが求めているファンって、「キャラに暴力を振るう二次創作を楽しんでいる人たち」と、「その描写に傷ついているキャラクターを好きな人たち」の一体どちらなんでしょうか。

今回の出演にあたって、打ち合わせの際に「二次創作によって人気になった作品はたくさんある」といろんな例を上げてもらったんですが、個人的に、どれもこれも「それは本当に人気と言っていいのか」と首を傾げたくなるものばかりでした。
例えば『エルシャダイ』というゲームのPVがネタとして人気になって二次創作が盛り上がった事例なんてありますが、確かにあのムーブによって売り上げが伸びた部分はあると思います。
ただ、あの作品にスタッフとして関わった映像デザイナーや楽曲作家たちは、あんな扱われ方をしてほしくて作品を作ってたんでしょうか。
どれだけ数字で売れたと言われても、僕がゲーム会社の社員だったらバカバカしくて仕事やめたくなってたと思います。

全ての二次創作がそうだとは言いませんが、〝ファン〟という名目を盾にして、作品をバカにしたり茶化したり破壊したりするような二次創作ってとても多いですし、オタクってそういった作品の破壊に対して感覚が麻痺してしまっているような気がします。

アニメで可愛いキャラが出れば「エロ同人で犯されるのが見たい」としか感じなかったり、アニメで少しでも変わったシーンがあると「MADの素材にされているのが見たい」と反射的に考えてしまう。
ちょっと愛情の深いキャラがいれば「二次創作で変態じみたキャラに改変されてるのが見たい」と感じたり、生意気なキャラがいれば「腹パンしてやりたい」と言い出したり。
彼らはもはや作品を見ていませんし、壊して遊ぶ前提の材料としてしか作品を見られなくなっていると思います。

こういう破壊に歯止めがかからなくなった一因に、ニコニコ動画のような著作権侵害が野放図にされているプラットフォームの悪影響があると思ってるんですが、今回ちょうど出演者に株式会社ドワンゴ代表取締役社長である夏野剛さんがいるので、直接聞いて見ることができたらと思います。

話を戻しますが、結局こうした作品の破壊を前提とした二次創作の流行によって、たしかに作品の消費者は増えていますが、問題は「消費のされ方」の方にあると思います。
作品をエロ同人の素材やMAD動画の素材としてしか見ていない視聴者がいくら増えても、売れるのはエロ同人や動画の再生数ばかりで、クリエイターが見て欲しいものや届けたいものは何も届きませんし、遊ぶための場を提供する役割にしかならないと思います。

そして、そうした破壊に心を痛めているファンの方が少なくなり、肩身の狭い思いをするようになれば、最後には彼らは作品に愛情を持つことをやめてしまいます。
それは本来守られていてほしい作品のイメージやキャラクターが守られないことによって、ファンの方が傷つくことになるからです。

黙認といえば聞こえはいいですが、近年の公式サイドが行なっている二次創作への態度は、ただコンテンツを管理する責任を放棄して荒れるに任せて放置しているだけです。
「自分の作品のファンにはこうあってほしい」「こういう二次創作はしてほしくない」と口うるさく発信して、ファンを教育するのがIPを管理する立場の人間がやるべきことです。
「視聴者が楽しんでいるから」と、一緒になって作品の破壊に仲良く精を出した結果、壊されたくないファンもクリエイターもその作品に関わることをやめてしまうだけです。

かつて好きだった作品が、ソシャゲ化して、大量の同人作家がネタにし出して、キャラや作品をよく知りもしないくせに、安易なエロ同人のネタにして過去作のキャラが汚されて、古参のファンが心を痛めて失望して作品のファン自体をやめてしまう。
最近のオタク業界に起きているのはこんな出来事の繰り返しですし、僕自身、そうした繰り返しに疲弊してアニメや漫画を見ること自体が億劫になってしまった人間の一人です。

これは僕の作家としての経験から言えることですが、ファンをやめていく人間というのは、失望して去っていくので、何も言葉を残してくれません。
「キャラがこんな扱いをされるのがいやだからファンをやめます」と、わざわざ言い残してくれるならまだマシです。貴重な意見を残してくれれば、こちらも参考にして対応を考えることができます。
でも残念なことに、ほとんどのファンは、何が悪かったか教えてくれないで離れていきます。

「コンテンツは流行っているはずなのに、ファンがこちらの出すものにお金を出してくれない」と思っているなら、ファンの顔を一人一人見渡して見てください。
彼らが買っているのはそのコンテンツが陵辱されたエロ同人や、同性愛者に書き換えられたBL同人誌だけで、あなた達の出すものには見向きもしなくなっている。
エロ同人作家が描いたエロイラストは1万も2万もリツイートされる一方で、公式アカウントの発信するグッズや商品の情報は100とか200しかRTされない。
こんな状況
を「ファンが増えている」と喜べる神経が理解できませんし、僕はそういう文化が理解できないので、もう自分はオタクじゃないのかもしれません。

ファンを増やすためにはどうするべきか

結局、公式は公式としての役割をきちんと果たすしかないと僕は思っています。

たとえば初音ミクで有名なクリプトン・フューチャー・メディア株式会社では、キャラクター利用のガイドラインを下記のような内容で出しています。

piapro(ピアプロ)|キャラクター利用のガイドライン

ここでは明確に「ファン活動として二次創作してもいいけど、こういうことはしてはいけない」と明記されています。

特に僕が重要だと感じているのは、下記のNG項目の部分です。

当社が禁止している利用(絶対NG)
当社、当社製品または当社キャラクターのイメージを著しく損なう利用
利用する作品の著作者の社会的な評価を損なうような利用
公序良俗に反する利用
他者の権利を侵害する、または侵害のおそれがある利用
当社公式製品のような誤解を招く利用

ちょっと考えれば誰にでもわかる話ですが、キャラクターにエロいことをさせて陵辱するような同人誌って「当社、当社製品または当社キャラクターのイメージを著しく損なう利用」の項目そのものですよね。
なぜこんな項目をわざわざ書いておくのかって、「作品やキャラのイメージを大事にするファンを守りたいから」だと思います。

もちろん、ただ書いておくだけだと同人作家どもはどうせちゃんと規約を読まないので、無視して好き勝手にエロ同人を販売してしまうと思います。
ここで公式がとるべき行動は、ただ黙り込んで無責任に野放図にして荒れ果てるのを待つのではなく、「それは禁止だ」と口を挟んでやめさせることだと思います。

きちんとしつけや教育をせず放任して育てた子供がろくでもない子供に育つように、公式が自ら「こういうファンになってほしい」と行動を起こさなければ、ろくでもないファンしか残らないのは当たり前です。
ろくでもないファンしか育たないのは、コンテンツを管理している人たちがろくでもないからというだけです。

僕は今まで何度も、規約違反している二次創作を公式に問い合わせてきましたが、大体の場合は無視されて何もアクションがありませんでした。
そういったコンテンツは、結局エロ同人やキャラクター破壊の温床になるばかりで、僕は耐えきれず見切りをつけて作品から距離をおくようになりました。
そうした中で、「本当にクソなのは二次創作する同人作家でなく、そうした二次創作を放置している公式の方だな」と考えるようになりました。
自分の守って欲しいキャラやイメージが守られないとわかりきっているのに、心を痛めたり消耗するなんて馬鹿らしいですし、律儀にファンを続けてやる必要などないんです。

お前らのやっていることは黙認ではなく、ただの責任の放棄だ。

好きな作品が同人イナゴの標的にされて心を痛めてるファンのみなさん。
君たちが愛情を注いでやるほどの価値がその作品に本当にあるんでしょうか。
わざわざ君たちが真面目に憂いたり心を痛めたりしているのは、君たちのせいでも同人作家のせいでもありません。
結局はコンテンツの管理が正しく運営されていないという証拠ですし、君たちが無責任な公式の人間のかわりに律儀に「作品のイメージを守ろう!」と躍起になることなんてないのです。

国もコンテンツも、正しい法律が存在して、それが適切に運用されていなければ、人々は正しい振る舞いをしないのです。
個々人の良心や正義感をあてにしたところで、感情的な私刑を助長するだけです。
「これはいい二次創作でこれは悪い二次創作!」って、オタクが年中もめてる作品、いっぱいあるでしょ。あれのことです。
法律が正しく運用されず治安が崩壊してるから、自警団が警棒を振り回して私刑で殴り合って正義を決めてる無政府状態なだけなんです。

二次創作をファンの獲得のために公式が〝是〟とするとしても、それは二次創作に対して公式がちゃんと向き合う覚悟があってこその話です。
ビジネスのため、ファンの獲得のため、コンテンツの成長のため、二次創作の力を頼るなら、目をそらして自由に任せるのではなく、正面から向かい合って、きちんと管理する覚悟を持ってやってください。
それがなされない限り、僕は心を痛めることになる作品にはこれ以上近づきたいと思いません。

僕はもはや、二次創作で揉めるのがいやだからオタクをやめたようなものです。
安全で穏やかな海外の作品や、視聴者の少ない古い作品ばかり見ているのはこういう理由からだと、今回書いてみて気がつきました。

最後に

たぶん限られた放送枠の中でここまでの内容を喋ることは難しいでしょう。
おそらくここで書いたことの十分の一も、本番では喋れないと思います。

ですが、改めて書いてみたことで、自分が今回の出演で何を喋りたいと思っているのか整理できてよかったです。
そして放送をご覧になったあと、現状の二次創作に対する疑問や引っ掛かりを持った人が、この記事を読んでくれることを願っています。