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電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#8 『シナリオとは何か?』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#7 『シナリオ作家養成講座②』 - Funny-Creative BLOG

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シナリオとは例えるなら「愛」という言葉を使わずに愛を伝えることです。

いきなり結論から入ってしまって恐縮ですが幾谷です。
10月からの3ヶ月間、これまで計10回講座に出席して10本ほど課題のシナリオを作ってきました。

そのなかで、「シナリオという媒体は何を求められているのか」「小説とどんなルールの違いがあるのか」と考えていて、たどり着いたのがこの結論です。
まあ実を言うと3回目の課題をやってるあたりで「あ、そういうことね」って気が付いたんですが。

例として、第3回目の講義で書いた課題のシナリオを例に話をします。
お題は「迷っている人」で、枚数は原稿用紙3枚。タイトルは『忘れちゃった』です。

◯高校の校舎裏(朝)
 それぞれフルートを手に持って、階段に腰を下ろす大橋直子(16)と水村萌美(16)。
萌美「ねえ。ナオって、野崎くんと一緒のクラスだよね。よく話したりする?」
尚子「うん。席が隣だから、たまに話すけど」
萌美「野崎くんって、付き合ってる人がいるかどうか聞いたことある?」
尚子「えっ。それはないけど……」
 尚子、うつむいて視線を逸らす。
萌美「よかったら、ナオから聞いてみてくれない? 付き合ってる人がいないかどうか」
尚子「……うん。わかった、聞いてみる」
 尚子、萌美に作り笑いを向ける。

◯高校の教室(朝)
 席に座る尚子。教室に入ってきた野崎一郎(16)が尚子に声をかける。
野崎「おはよう、大橋」
尚子「あ、野崎くんおはよう」
 席に座る野崎。尚子、野崎の方に体ごと向き直る。
尚子「ねえ。野崎くん、聞きたいことがあるんだけど……」
野崎「何? 大橋」
 尚子の方を振り返る野崎。
尚子「……ごめん。何聞こうとしたか、忘れちゃった」


こんな感じのシナリオを書いて出しました。
題材としてはありがちな三角関係ものですが、枚数3枚だとあまり凝った設定にもできないので、これぐらいでちょうどよかったかなと思います。
(原稿用紙に書くとこれでぴったり3枚でした)
いちおうシナリオ養成講座というのは、ドラマとか映画みたいな大衆向け実写作品の映像を基準にして講義が行われているので、自分もそれにしたがって実写ドラマの1シーンという想定で書くようにしています。
たまにアニメとか漫画みたいなシナリオを書いてくる人もいるそうですが、僕としては「今までやってきたことをまたやっても何も身につかない」と思ってるので、あえてオタク向けっぽくはしてない感じですね。

さて、みてわかる通り、このシナリオって「迷った」って言葉は一言も出てきません。というか、出さないように気をつけました。
でも、尚子が「迷った末に聞くのをやめた」という感情の流れは、なんとなく察せられるような作りを目指しました。
尚子が萌美と同じく野崎を好きなことは何となく察せられるし、彼女が友達の頼みと自分の恋ごころの間で悩んでいる・・・という関係性が、自然と伝わった結果、「この主人公は悩んでいるんだな」と視聴者に理解してもらうのがシナリオの仕事なのです。

ここで最初の話に戻るんですが、例えば「愛」を題材に書くなら、「愛」と言う言葉そのものを出さずに愛を伝えるのがシナリオの技術なんですね。
愛の反対にあるもの、愛を支えるもの、愛の犠牲になるもの、愛よりも大切なもの——と、愛を取り巻く色んなものを描いていく。
そうすると、勝手に愛という存在が見る人の中で浮き彫りになっていく。シナリオは映像を使ってそれをどう削り出すかという作業です。

それが「このシナリオというゲームのルールなんだ」と気づいてからは、結構書くのが簡単になりました。
もちろん、自分とは違う別のルールを念頭に置いて書いてる人もいると思いますが、自分なりの結論はこうだという話です。

逆に、これがアニメや漫画だと「えーっ、!」とか「どうしよう! 私だって好きなのに聞けないよ!」とか、ものすごく分かり易く書く傾向があります。
リアルな人間ならぶっちゃけそんな独り言を言ったりするわけないですし、簡単に「好き」という言葉をそうそう出さないものだと思います。
ただ、あえてストレートな感情表現をさせることで誤解や難解になるのを防げますし、展開もテンポよく進められるのも事実なんですね。
〝コミカル〟という言葉がありますが、この〝分かり易くする〟という作業そのものが、〝コミカル〟と呼ばれるものの正体なのだと思います。

自分もどちらかというと、分かり易く表現されたコミカルなアニメや漫画ばかり見てきたタイプの人間なので、そういうものの書き方しか自分の中にないんだなと感じてます。
だからこそ、シナリオを学ぶために色んなドラマや映画を見ていると、芝居や台詞の中にどう情報を入れていくかという技術は、ちゃんと学ばないと身につかないと思うんですね。

特にオタク向けの作品って、最近はソシャゲとかに特に多いんですが、「◯◯くん好き好き!」とか「◯◯様は私のものなんですからね!」とか、とにかく一言で感情が伝わるようにと圧縮されたキャラが主流で、まるで原色でべったりとベタ塗りしたような表現のキャラの描き方しかない印象を受けます。
この「赤色の絵の具を使わないで赤を表現する」みたいな、一見矛盾して見える表現の試行錯誤が、シナリオという作業の面白さだなと個人的に気づくところでした。

『美少女戦士セーラームーン』っていうアニメを全話見たんですけど、このアニメめちゃくちゃ面白くないですか?

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去年ごろ話題になってたこのブログを見て、「へーそんなに面白いんだ」ってかるい気持ちで見てみたんですよ。
『劇場版美少女戦士セーラームーンR』を。

www.amazon.co.jp

女児向けアニメなんて見ても泣くわけないとお思いかもしれませんが、僕はもう『プリティーリズム』シリーズのクライマックスで毎回泣き、『プリパラ』でも幾度となく泣き、最近は『ふたりはプリキュア』を全話見てボロボロに泣いたことのある僕です。
「女児アニメで泣くなんて余裕だ! 任せろ!」と泣く気満々で見てみましたが案の定ボロッボロに泣かされました

それでふと気がついたわけなんですよ。
実は僕もセーラームーンという作品はリアルタイムで見た記憶があったんですが、せいぜい妹が見ている横でちょっと見ていた程度のもので、その見ていた作品もおそらく『SuperS』とか『セーラースターズ』とかなんですね。
あ、そういえばなんですけど『SuperS』のエンディングと、『セーラースターズ』のオープニング、映像がめちゃめちゃかわいくてイイですよね。

とにかくそのぐらいふわっとした記憶しかないので、どんなキャラが居てどんな関係性で・・・というのは把握しているんですが、セーラームーンという作品をちゃんと見たことって一度もないんですね

たとえば僕たちはバラエティ番組とかで「セーラームーンが大好きで日本に来ました!」って言ってる外人が取材されてる映像を見て、「やっぱり日本のアニメは海外にも認められる素晴らしい文化だ!」とかしたり顔で言ってるくせに、その当の日本人である僕たちはこれだけ有名で海外にも大勢のファンが居るこの作品を、一度もちゃんと見たことないわけです。
恥ずかしくないですかそれ!?

というわけで、『美少女戦士セーラームーン』を1話から順番に第46話まで全話見ました。2019年に。
(しかも見放題サイトを探してもどこにも無かったので、Amazonで1話110円でコツコツ課金して5000円近く使って)

「今さら何で」と言われるかも知れませんが、劇場版Rを見た段階でここまで心動かされてキャラにときめいて、「もっと彼女たちの活躍を見たい」という気持ちにさせられてて、なんかもうそのことで頭がいっぱいになってしまったんですね。
それで全話見て勢いで見てしまった感想なんですが、なんて言うかもう、見た甲斐しかありませんでしたね・・・。

というわけで、ここからひたすら「見てこれが良かった!」って話を延々とします。

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元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#7 『シナリオ作家養成講座②』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#6 『シナリオ作家養成講座①』 - Funny-Creative BLOG

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こんにちわんだふる、幾谷正です。

今回は②ってタイトルになってるけど実は既に3回目です。ややこしいですね。
10/30(水)に養成講座の3回目に出席してきました。

今回は「半年間いっしょに学ぶ生徒達で一人ずつ自己紹介をする」って感じで、60人ぐらいの自己紹介するっていうのが前半でした。
後半はいつも通りシナリオの書き方の基礎的な部分の話でしたが、まだそこまでテクニカルな感じの話は出てないですね。

毎回課題は出るんですが400文字原稿を2枚とか3枚とかばかりで、まだまだコンスタントに小説書いてる僕にとってはおやつ感覚ですね。

アーマードール・アライブ ? 〜持たざる者と嫉妬の悪魔〜

アーマードール・アライブ ? 〜持たざる者と嫉妬の悪魔〜

たとえば参考として、前回出版した『アーマードール・アライブⅤ』の原稿は15万文字ぐらいありました。
単純に400で割っても375なので、おそらく原稿用紙400枚ぐらい書いてる計算になりますね
小説趣味で書いてるやつ頭おかしくないか・・・?

だいたい皆さん、「書き始めたばかり」とか「趣味で書いてる」って人が多くて、僕みたいに仕事で書いたことあるって人はめちゃめちゃ少なかったです。
居たとしても「映像関係の仕事をしててその関係で台本を書いたことある」とかそのぐらいの感じで。
せっかくだし僕も元プロとしていっちょかましてやるかーと思ったんですが――

「元プロラノベ作家です。四冊ぐらい出したけど全然売れなかったんで辞めました。
シナリオは地の文書かなくていいから楽なので始めました。
売れる小説の書き方は知らないけど受賞できるぐらいのものの書き方は知ってるんで話聞きます」

っていう感じでまあ、めちゃめちゃナメ腐った嫌味なキャラみたいな紹介をしてしまいました。
スポ根モノだったら主人公のライバルキャラとして中盤に敗北して「こんな遊びでやってきただけの素人同然の奴に負けるなんて・・・!」って噛ませ犬にされるポジションですね。
僕に辛酸をなめさせたい人はぜひ友達になってくれたら嬉しいです(?)

あと、自己紹介で「好きな作品を言う」っていう決まりがあったんですが、結構皆さんメジャーどころ挙げる人が多かったです。
映画の『インターステラ―』とか、アニメの『少女革命ウテナ』とか、ゲームの『undertale』とか、ドラマの『ブレイキング・バッド』とかよく上がってました。
僕も4つとも全部見てて好きなんですが、みんなが挙げてるものをわざわざ挙げてもキャラが立たないしつまんないなーと思って、『プリティーリズム』とか『少年ハリウッド』とか他の人が絶対に挙げなさそうな所をわざわざ選んであげました。

ただ、自己紹介のあとの休憩時間で「私もウテナ好きなんですよー」「さっき言ってましたよねー」とか、同じものが好きな人同士で盛り上がってるのを見て「あ、むしろそういう主旨か!」って後で気付きました。
こういうところで生粋のクソオタク気質が裏目ってくる辺りが我ながらつくづくクソオタクだなって実感させられますね。


それとちょっと話はずれて。

最初の方に受けていた『企画書講座』で課題として出した企画書の、講師の講評が返却されてました。
具体的な内容が分かる部分とかは伏せてるんですが、だいたい書かれてた講評は以下のような感じになってます。

  • 企画書のスタイルはOK。読みやすくコンパクトにまとめられています。どんなものでもこなせます。
  • タイトルは引きもあって内容も示していていいと思います。
  • 企画意図は、設定や描きたいテーマ性も伝わります。ただ、主人公がどのような危機に襲われるのか? 映像として展開するにはもっと具体的な危険に迫られてほしい。
  • 人物表やストーリー部分もわかりやすく書かれています。
  • 内容ですが、事前に想像した通りという印象が残ります。類似した設定のサスペンスが山ほど集まりそうな気がします。その中でどう差別化できるか?
  • 類似作には○○という展開がありますし、現実でも○○という事件がありました。それらに比べると弱くなるのでプラスアルファのアイデアや切り口がほしい。
  • 引き出しをたくさん作って、テクニックを磨いてチャンスに備えてください。

ざっくりまとめると「無難で基本は分かってるけど無難すぎ」って結論でしょうか。
僕自身、ドラマの企画っていうのがまるで経験のないジャンルなので、「どの辺までやっていいんだ?」とか「なるべくドラマっぽくしよう」と心がけて作ってました。
目論見は上手く行ったものの、そのせいでかえって小さくまとまり過ぎてしまったかなーという反省があるので、今後コンペやコンテストに出す場合は気をつけたいですね。

僕の作品読んでる読者はご存知かも知れませんが、実は僕結構〝基本と無難を徹底できることが最高の技術〟っていう思想で作品を書いてる人間なので、意図的にハズす努力をしないとハズしたものが書けないんですね。
例のデビュー作にしても、タイトルや設定をハズしてるだけで中身はめっちゃスタンダードな王道を狙ってたので。
このあたり、基本ができてなくてずっこけるアニメや映画の失敗が目立ってる近年では、結構長所として自信を持っていきたいところですが、それを評価してくれる人が居るかどうかって感じですね・・・。

とりあえず今週分の課題は片付けたので、小説の原稿の方を書いてきます。
幾谷正でした。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#6 『シナリオ作家養成講座①』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#5 『企画書講座④プロット編』 - Funny-Creative BLOG

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お久しぶりです、幾谷正です。

このシナリオセンター日誌、実はそろそろ面倒くさくなってきたんですが、自分で言い出したことなので続けて行きたいと思います。
ただ「今回は話すこと特になかったなー」と思った日まで更新してても、読んで下さってるみなさんもつまんないと思うので、「今日は面白いことあったな」って思ったときだけ更新していくようにします(体の良いサボり)

www.scenario.co.jp

前回までの「企画書講座」は一段落しまして、今回からはこちらの「シナリオ作家養成講座」に参加しています。
10/16(水)の第1回目は、有り体に言ってしまえば「この講座ではこういうことを教えていきますよ」という初回説明とかガイダンスが中心で、講義という程の内容はありませんでした。

とはいえ「シナリオという仕事の歴史と現状」だとか、「仕事としてシナリオを書き続けるとはどういうことか」といった話を現役のライターである講師から聞かせてもらえるのは良い機会だと思います。
僕の場合、ワナビ時代の友人とか同時期にデビューしたラノベ作家の友人が現在シナリオライターとして活動しているのは耳にしていて、エンタメ業界におけるライターの位置づけについては普通の人より耳にしていると思います。
しかし、実写ドラマや映画、舞台といった現場で活動している脚本家やシナリオライターの話というのは中々聞こえてくる機会がないもので、仕事として続けて行く場合について考えさせられるものがありました。

ちなみに僕も実は、本業の関係で幾つかシナリオライターっぽい仕事をしていたり、友人の伝でゲーム系の仕事を振ってもらう機会にも最近恵まれています。
ただあくまで「本業であるエンジニアとして働くかたわら、サブ的に行っている」というだけで、生活の基盤や収入の軸にしようと思うと、話は違ってきます。
いきなり独立して「シナリオ書けます!」と言い張ったところで、いきなり仕事がもらえるわけではありません。
仮に独学で学んでいたとしても、「勉強しました!」と言い張ったところで、それを証明するのって難しいですからね。

そういった場面で「実績もありますし、スクールで勉強して基本を学んでいます」と言えるのは、信頼しても大丈夫だという根拠を相手に与えることが出来ます。
もちろん僕自身、独学での限界を感じたり、苦手な部分を補強したいという気持ちで参加していますが、メタ的に見ればそういった〝営業するうえでの有利さ〟という意味で正しい戦略かなと思っています。

そもそもシナリオセンターの学校が東京にあることもそうなんですが、やっぱりこういった営業的な側面の考え方は、東京で仕事をしてみて初めて理解出来る部分がたくさんありました。
それに、シナリオが仕事として求められる現場は様々な業界でありますが、明らかにそれに関係する会社は東京だけに一極集中していると個人的には思います。
「高い家賃払って東京に住み続けるの嫌だなあ」と本音では思ってるんですが、やはりシナリオで仕事するという時点で、腹をくくって東京に根を下ろす必要はあるんでしょうね。

また、講師の話の中でちょっと気になったのが「小説を書きたくてシナリオを学びに来る人がいる」という話でした。
もちろん講師の先生は付け加えて「小説はいまどき売れないから目的にするのはやめた方がいい」と言ってたんですが、僕もまあ心から同意って感じですね(笑)

確かになろう転生みたいなものはウケてますが、あれが純然と小説と言えるかというと疑問ですし、たぶんに〝テキストポルノ〟とでもいうような、読者を気持ちよくする方向に偏っていると思います。
もちろん漫画でもドラマでもそういった作品があるのは事実なんですが、小説は特に〝ポルノ以外のものが作られにくくなっている〟とは感じます。

僕自身、シナリオや構成に自信があってライトノベルの分野を目指した人間なので、それなのに「エロを書け! ヒロインをエロく書け!」と強要されても、何でそんなことしなきゃいけないんだって感じなんですね。
もちろん小説原作の映画とかドラマも多いとは思いますが、そもそも映像化が決まってたりとか、何百何千冊出ているうちのたった数冊だったりとか、かなり遠い道のりであるのは自明です。
ドラマ化するような小説が書きたいなら始めからドラマの脚本家目指した方が早いですし、アニメ化するようなラノベを書くよりアニメの脚本を書いた方が手っ取り早いです。

とまあ、色々書きましたが、今回の講義は「シナリオライターを目指す覚悟はできてるか?」という講師の問いに対して、「とっくにできてるから早く講義を始めてくれ」と思ってた感じでした。

次回もしばらくは基本的な話が続くようですが、面白い話があったら記事にしてみたいと思います。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#5 『企画書講座④プロット編』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#4 『企画書講座③キャラクター編』 - Funny-Creative BLOG


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すっかり更新が遅れました、幾谷正です。

先日10/2(水)に企画書講座の第四回目の講義を受けてきました。
次回でこの講座は最後になるんですが、なんだかあっという間でしたね。

今回はプロットをあらすじとして書いてきてグループで発表し合う→代表の一人が全員の前で読み上げてフィードバックをもらう、という流れでした。
プロットなんて仕事で何度も作ってるし、受賞経験もあるから簡単だな、と思いつつさらっと書き上げて講義に望んだのですが、正直あまり出来のいいものが作れませんでした・・・。

というのも、今回のお題が『サスペンス』だったんですが、なんだか書いてるうちにどんどんギャグを入れたりオチを明るくしてしまったり、自分の得意な方向に寄せてしまって、なかなかサスペンスというお題に沿った形に仕上がらない始末で。
いちおう「その展開面白い!」とか「その設定でこういうセリフが出てくるのはキャッチーで良い」とか同じグループの生徒から好評をいただいたんですが、代表には別の人のまとまってる感じのあらすじが選ばれていました。

ただ、さすがに4回目となってくると、メンバーはランダムに選ばれるんですが、何度かいっしょになる人とか発表で何度も選ばれる人とかが出てきます。
で、注意深く聞いていると「最初に話してた企画意図とだいぶずれた話になってるな」とか「キャラクター設定で出してた設定が結局使われてないじゃん」とか、一本の企画書としてちぐはぐになっている人が多い印象を受けました。
またプロット自体も、綺麗に小さくまとめられてる人ってやっぱり少数で、結構な人が「風呂敷を広げすぎてるな」とか「発想は良いけどテーマの彫り込みができてないな」とか、修整の必要を感じるものが多かったです。

もちろん発表のたびに講師の先生から「どうせならこうしたら?」とか「こうした方が面白いと思う」とか、フィードバックをもらえるんですが、結構僕の考えてることと一致している点が多かったです。
このあたり、僕も腐ってもプロの端くれなので、欠点を見出す能力についてはそれなりに衰えていないという自信に繋がりました。

実際、僕がラノベの応募を重ねるうえで一番勉強になったのが、他の応募者と原稿をお互いに見せ合うことで、欠点の多い原稿に対して「どこをどうすればもっと良くなるか」を考える過程は非常に勉強になる点が多かったです。
ただ、これは当然と言えば当然の話で、人の作品を客観的に見るのと同じ視点で自分のプロットを見返せるかはまた別の能力なので、そこは相変わらず課題ですね。
自分でも発表のために読み上げながら、その途中で「いやこれ全然サスペンスじゃないだろ」と自分でも突っ込んでしまっていたので、そう気付いた時点でもっと練り直しておけば良かった・・・。

とりあえず今回気付いたことを元にプロットはもう少し練り直してから提出しようと思っていますが、実際にシナリオの本文を書いて応募までするかどうかは微妙です。
サスペンスがあまり自分の向いていないジャンルだと書いてて気付いたのと、シナリオの仕事で依頼を幾つか受けられそうになってきていることの2つです。
確かに受かるかどうか分からない賞に出すより、実践で仕事した方がよっぽど確実で経験にも鳴るんですが、やはり実績という部分だと賞に勝るものがないので、難しいところですね・・・。
賞に送るにしても、まだこれから基礎講座を受ける中で学ぶことはたくさんあると思うので、それを受けてからコンテストに送り始めても遅くはないですし。
ただ、「勉強してから・・・」と考える度に、心の中のガッツが「ずいぶんと気の長ぇ話だな」って煽ってくる・・・。

どちらにせよ、今目の前にある今できることだけを続けてても、成長も進歩も変化も訪れないので、変化を求めてより新しいことに挑戦していくという指針自体は変わらず持ち続けたいと思います。

それではまた次回。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#4 『企画書講座③キャラクター編』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#3 『企画書講座②』 - Funny-Creative BLOG

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こんばんは、幾谷正です。
今回は企画書講座の三回目ですが、前回までの楽勝ムードと違って今回はちょっと苦戦気味でした。

簡単に言うと「企画書に添えるキャラクター表を作る」というものですが、これがどうにも難しくて。
他の受講生が結構詳細に生い立ちや性格を書き込んだキャラクター表を作ってきたのに比べて、僕は必要最低限の情報以外あまり書くことが思いつかなくて、中途半端なものになってしまいました。

自分の場合、小説やシナリオを書き慣れているのがかえって邪魔をして、「キャラは書きながら彫り込んでいけばいい」と思って特に詳細を決めないクセがあるんですね。
最低限、「主人公はこういう性格のため事件に巻き込まれる」「このキャラはこういう性格のため事態が悪化する」といった“その性格がどうシナリオに影響するか”は準備しておくんですが、それ以外の生い立ちとか人格生計の過程は特に興味がないという・・・。

ここで自分の欠点に気付いたんですが、要するに僕って「めちゃめちゃ人間というものに対して興味ないな」みたいなんですね。
人間ドラマを書こうって言ってるのに、その対象である人間に対して興味がないって我ながらヤバいような気がします。

逆に他の受講生の企画書やそれに対する感想を聞いてると、「え、平凡な人間の普通の人生をどうしてそこまでおもしろがれるんだ!?」みたいな驚きばかりで、ちょっと脚本家向いてないんじゃないかと焦りました。
もちろん脚本家は全員が全員、昼ドラやトレンディドラマみたいな人物を書けないといけない、というわけでもないので、自分にはない才能や得意分野を持ってる人たちがいるんだなあと思うことにしました。
それに、今「自分はここが苦手だな」とわかったのは、逆にそこを努力して補えるわけなので、欠点に気付く機会をもらえたと思えば講義に出てみた甲斐はあったと思います。


でもそれにしたって、例えばキャラ表に「優しい性格です」と書かれてたところで、本当に読者が「優しい性格だ」と感じるかなんてわかんないじゃないですか。
そもそも心から優しい性格の人間なんて、実際にはいないと思います。優しく見える人間だって「見返りを求めて優しくしてる」のか「他人と関わることを恐れていて距離をおいてる」だけなのか、あるいは「騙されやすいバカ」なだけか、
そもそも優しい人間だって厳しいことを言えば怒ることもありますし、人間の性格設定なんて先に決めるだけ無駄では? と思っているのも個人的には事実です。

ただ自分なりに考えてて気づいたのは、大抵どんな人間も「こういう人間になりたい」という理想や目標は持っている、ということです。
例えば「優しい人間」であると書くより、「優しい人間になりたいと思っている人間」の方が、どこか人間的に思えませんか?
こう書くだけで「つい怒ってしまうんだろうな」とか「人に理解されないんだろうな」とか、色んなドラマを想起させられます。

逆に、「本当に自他共に認める優しい性格の人間」というのは、メインのキャラクターとして弱いですし、ドラマが生じにくいと思います。
言わばなりたい自分と現在の自分が一致してしまっているキャラクターというのは動きがありませんし、その時点で既にドラマが終わっているのです。

つまり僕にとって得意なドラマの書き方のパターンは、「何かになろうとしている人間の過程」を描くもので、「何になりたいか」から設定を作り込むべきだなと思いました。
なりたい自分になることがドラマであり、ストーリーであり、ハートの革命であり、プリズムアクトなのです。

それと他の皆さんのキャラクター表を見ててもう一つ気付いたのは、結構親子とか兄弟とかの家族関係をしっかり作ってドラマに絡ませてる人が多いなと思いました。
こればっかりはオタクの悪癖で、「家族という要素は話の邪魔だ」と思って排除してしまうことが多いので、苦手に挑戦してみる意味で家族を主題にした企画を考えてみるのもいい勉強になるかもなと思いました。

挑戦したことのない領域や、努力する余地が見つかるのって楽しいモノですね。
それでは、今回はこれにて。