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電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

『美少女戦士セーラームーン』っていうアニメを全話見たんですけど、このアニメめちゃくちゃ面白くないですか?

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去年ごろ話題になってたこのブログを見て、「へーそんなに面白いんだ」ってかるい気持ちで見てみたんですよ。
『劇場版美少女戦士セーラームーンR』を。

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女児向けアニメなんて見ても泣くわけないとお思いかもしれませんが、僕はもう『プリティーリズム』シリーズのクライマックスで毎回泣き、『プリパラ』でも幾度となく泣き、最近は『ふたりはプリキュア』を全話見てボロボロに泣いたことのある僕です。
「女児アニメで泣くなんて余裕だ! 任せろ!」と泣く気満々で見てみましたが案の定ボロッボロに泣かされました

それでふと気がついたわけなんですよ。
実は僕もセーラームーンという作品はリアルタイムで見た記憶があったんですが、せいぜい妹が見ている横でちょっと見ていた程度のもので、その見ていた作品もおそらく『SuperS』とか『セーラースターズ』とかなんですね。
あ、そういえばなんですけど『SuperS』のエンディングと、『セーラースターズ』のオープニング、映像がめちゃめちゃかわいくてイイですよね。

とにかくそのぐらいふわっとした記憶しかないので、どんなキャラが居てどんな関係性で・・・というのは把握しているんですが、セーラームーンという作品をちゃんと見たことって一度もないんですね

たとえば僕たちはバラエティ番組とかで「セーラームーンが大好きで日本に来ました!」って言ってる外人が取材されてる映像を見て、「やっぱり日本のアニメは海外にも認められる素晴らしい文化だ!」とかしたり顔で言ってるくせに、その当の日本人である僕たちはこれだけ有名で海外にも大勢のファンが居るこの作品を、一度もちゃんと見たことないわけです。
恥ずかしくないですかそれ!?

というわけで、『美少女戦士セーラームーン』を1話から順番に第46話まで全話見ました。2019年に。
(しかも見放題サイトを探してもどこにも無かったので、Amazonで1話110円でコツコツ課金して5000円近く使って)

「今さら何で」と言われるかも知れませんが、劇場版Rを見た段階でここまで心動かされてキャラにときめいて、「もっと彼女たちの活躍を見たい」という気持ちにさせられてて、なんかもうそのことで頭がいっぱいになってしまったんですね。
それで全話見て勢いで見てしまった感想なんですが、なんて言うかもう、見た甲斐しかありませんでしたね・・・。

というわけで、ここからひたすら「見てこれが良かった!」って話を延々とします。

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元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#7 『シナリオ作家養成講座②』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#6 『シナリオ作家養成講座①』 - Funny-Creative BLOG

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こんにちわんだふる、幾谷正です。

今回は②ってタイトルになってるけど実は既に3回目です。ややこしいですね。
10/30(水)に養成講座の3回目に出席してきました。

今回は「半年間いっしょに学ぶ生徒達で一人ずつ自己紹介をする」って感じで、60人ぐらいの自己紹介するっていうのが前半でした。
後半はいつも通りシナリオの書き方の基礎的な部分の話でしたが、まだそこまでテクニカルな感じの話は出てないですね。

毎回課題は出るんですが400文字原稿を2枚とか3枚とかばかりで、まだまだコンスタントに小説書いてる僕にとってはおやつ感覚ですね。

アーマードール・アライブ ? 〜持たざる者と嫉妬の悪魔〜

アーマードール・アライブ ? 〜持たざる者と嫉妬の悪魔〜

たとえば参考として、前回出版した『アーマードール・アライブⅤ』の原稿は15万文字ぐらいありました。
単純に400で割っても375なので、おそらく原稿用紙400枚ぐらい書いてる計算になりますね
小説趣味で書いてるやつ頭おかしくないか・・・?

だいたい皆さん、「書き始めたばかり」とか「趣味で書いてる」って人が多くて、僕みたいに仕事で書いたことあるって人はめちゃめちゃ少なかったです。
居たとしても「映像関係の仕事をしててその関係で台本を書いたことある」とかそのぐらいの感じで。
せっかくだし僕も元プロとしていっちょかましてやるかーと思ったんですが――

「元プロラノベ作家です。四冊ぐらい出したけど全然売れなかったんで辞めました。
シナリオは地の文書かなくていいから楽なので始めました。
売れる小説の書き方は知らないけど受賞できるぐらいのものの書き方は知ってるんで話聞きます」

っていう感じでまあ、めちゃめちゃナメ腐った嫌味なキャラみたいな紹介をしてしまいました。
スポ根モノだったら主人公のライバルキャラとして中盤に敗北して「こんな遊びでやってきただけの素人同然の奴に負けるなんて・・・!」って噛ませ犬にされるポジションですね。
僕に辛酸をなめさせたい人はぜひ友達になってくれたら嬉しいです(?)

あと、自己紹介で「好きな作品を言う」っていう決まりがあったんですが、結構皆さんメジャーどころ挙げる人が多かったです。
映画の『インターステラ―』とか、アニメの『少女革命ウテナ』とか、ゲームの『undertale』とか、ドラマの『ブレイキング・バッド』とかよく上がってました。
僕も4つとも全部見てて好きなんですが、みんなが挙げてるものをわざわざ挙げてもキャラが立たないしつまんないなーと思って、『プリティーリズム』とか『少年ハリウッド』とか他の人が絶対に挙げなさそうな所をわざわざ選んであげました。

ただ、自己紹介のあとの休憩時間で「私もウテナ好きなんですよー」「さっき言ってましたよねー」とか、同じものが好きな人同士で盛り上がってるのを見て「あ、むしろそういう主旨か!」って後で気付きました。
こういうところで生粋のクソオタク気質が裏目ってくる辺りが我ながらつくづくクソオタクだなって実感させられますね。


それとちょっと話はずれて。

最初の方に受けていた『企画書講座』で課題として出した企画書の、講師の講評が返却されてました。
具体的な内容が分かる部分とかは伏せてるんですが、だいたい書かれてた講評は以下のような感じになってます。

  • 企画書のスタイルはOK。読みやすくコンパクトにまとめられています。どんなものでもこなせます。
  • タイトルは引きもあって内容も示していていいと思います。
  • 企画意図は、設定や描きたいテーマ性も伝わります。ただ、主人公がどのような危機に襲われるのか? 映像として展開するにはもっと具体的な危険に迫られてほしい。
  • 人物表やストーリー部分もわかりやすく書かれています。
  • 内容ですが、事前に想像した通りという印象が残ります。類似した設定のサスペンスが山ほど集まりそうな気がします。その中でどう差別化できるか?
  • 類似作には○○という展開がありますし、現実でも○○という事件がありました。それらに比べると弱くなるのでプラスアルファのアイデアや切り口がほしい。
  • 引き出しをたくさん作って、テクニックを磨いてチャンスに備えてください。

ざっくりまとめると「無難で基本は分かってるけど無難すぎ」って結論でしょうか。
僕自身、ドラマの企画っていうのがまるで経験のないジャンルなので、「どの辺までやっていいんだ?」とか「なるべくドラマっぽくしよう」と心がけて作ってました。
目論見は上手く行ったものの、そのせいでかえって小さくまとまり過ぎてしまったかなーという反省があるので、今後コンペやコンテストに出す場合は気をつけたいですね。

僕の作品読んでる読者はご存知かも知れませんが、実は僕結構〝基本と無難を徹底できることが最高の技術〟っていう思想で作品を書いてる人間なので、意図的にハズす努力をしないとハズしたものが書けないんですね。
例のデビュー作にしても、タイトルや設定をハズしてるだけで中身はめっちゃスタンダードな王道を狙ってたので。
このあたり、基本ができてなくてずっこけるアニメや映画の失敗が目立ってる近年では、結構長所として自信を持っていきたいところですが、それを評価してくれる人が居るかどうかって感じですね・・・。

とりあえず今週分の課題は片付けたので、小説の原稿の方を書いてきます。
幾谷正でした。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#6 『シナリオ作家養成講座①』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#5 『企画書講座④プロット編』 - Funny-Creative BLOG

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お久しぶりです、幾谷正です。

このシナリオセンター日誌、実はそろそろ面倒くさくなってきたんですが、自分で言い出したことなので続けて行きたいと思います。
ただ「今回は話すこと特になかったなー」と思った日まで更新してても、読んで下さってるみなさんもつまんないと思うので、「今日は面白いことあったな」って思ったときだけ更新していくようにします(体の良いサボり)

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前回までの「企画書講座」は一段落しまして、今回からはこちらの「シナリオ作家養成講座」に参加しています。
10/16(水)の第1回目は、有り体に言ってしまえば「この講座ではこういうことを教えていきますよ」という初回説明とかガイダンスが中心で、講義という程の内容はありませんでした。

とはいえ「シナリオという仕事の歴史と現状」だとか、「仕事としてシナリオを書き続けるとはどういうことか」といった話を現役のライターである講師から聞かせてもらえるのは良い機会だと思います。
僕の場合、ワナビ時代の友人とか同時期にデビューしたラノベ作家の友人が現在シナリオライターとして活動しているのは耳にしていて、エンタメ業界におけるライターの位置づけについては普通の人より耳にしていると思います。
しかし、実写ドラマや映画、舞台といった現場で活動している脚本家やシナリオライターの話というのは中々聞こえてくる機会がないもので、仕事として続けて行く場合について考えさせられるものがありました。

ちなみに僕も実は、本業の関係で幾つかシナリオライターっぽい仕事をしていたり、友人の伝でゲーム系の仕事を振ってもらう機会にも最近恵まれています。
ただあくまで「本業であるエンジニアとして働くかたわら、サブ的に行っている」というだけで、生活の基盤や収入の軸にしようと思うと、話は違ってきます。
いきなり独立して「シナリオ書けます!」と言い張ったところで、いきなり仕事がもらえるわけではありません。
仮に独学で学んでいたとしても、「勉強しました!」と言い張ったところで、それを証明するのって難しいですからね。

そういった場面で「実績もありますし、スクールで勉強して基本を学んでいます」と言えるのは、信頼しても大丈夫だという根拠を相手に与えることが出来ます。
もちろん僕自身、独学での限界を感じたり、苦手な部分を補強したいという気持ちで参加していますが、メタ的に見ればそういった〝営業するうえでの有利さ〟という意味で正しい戦略かなと思っています。

そもそもシナリオセンターの学校が東京にあることもそうなんですが、やっぱりこういった営業的な側面の考え方は、東京で仕事をしてみて初めて理解出来る部分がたくさんありました。
それに、シナリオが仕事として求められる現場は様々な業界でありますが、明らかにそれに関係する会社は東京だけに一極集中していると個人的には思います。
「高い家賃払って東京に住み続けるの嫌だなあ」と本音では思ってるんですが、やはりシナリオで仕事するという時点で、腹をくくって東京に根を下ろす必要はあるんでしょうね。

また、講師の話の中でちょっと気になったのが「小説を書きたくてシナリオを学びに来る人がいる」という話でした。
もちろん講師の先生は付け加えて「小説はいまどき売れないから目的にするのはやめた方がいい」と言ってたんですが、僕もまあ心から同意って感じですね(笑)

確かになろう転生みたいなものはウケてますが、あれが純然と小説と言えるかというと疑問ですし、たぶんに〝テキストポルノ〟とでもいうような、読者を気持ちよくする方向に偏っていると思います。
もちろん漫画でもドラマでもそういった作品があるのは事実なんですが、小説は特に〝ポルノ以外のものが作られにくくなっている〟とは感じます。

僕自身、シナリオや構成に自信があってライトノベルの分野を目指した人間なので、それなのに「エロを書け! ヒロインをエロく書け!」と強要されても、何でそんなことしなきゃいけないんだって感じなんですね。
もちろん小説原作の映画とかドラマも多いとは思いますが、そもそも映像化が決まってたりとか、何百何千冊出ているうちのたった数冊だったりとか、かなり遠い道のりであるのは自明です。
ドラマ化するような小説が書きたいなら始めからドラマの脚本家目指した方が早いですし、アニメ化するようなラノベを書くよりアニメの脚本を書いた方が手っ取り早いです。

とまあ、色々書きましたが、今回の講義は「シナリオライターを目指す覚悟はできてるか?」という講師の問いに対して、「とっくにできてるから早く講義を始めてくれ」と思ってた感じでした。

次回もしばらくは基本的な話が続くようですが、面白い話があったら記事にしてみたいと思います。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#5 『企画書講座④プロット編』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#4 『企画書講座③キャラクター編』 - Funny-Creative BLOG


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すっかり更新が遅れました、幾谷正です。

先日10/2(水)に企画書講座の第四回目の講義を受けてきました。
次回でこの講座は最後になるんですが、なんだかあっという間でしたね。

今回はプロットをあらすじとして書いてきてグループで発表し合う→代表の一人が全員の前で読み上げてフィードバックをもらう、という流れでした。
プロットなんて仕事で何度も作ってるし、受賞経験もあるから簡単だな、と思いつつさらっと書き上げて講義に望んだのですが、正直あまり出来のいいものが作れませんでした・・・。

というのも、今回のお題が『サスペンス』だったんですが、なんだか書いてるうちにどんどんギャグを入れたりオチを明るくしてしまったり、自分の得意な方向に寄せてしまって、なかなかサスペンスというお題に沿った形に仕上がらない始末で。
いちおう「その展開面白い!」とか「その設定でこういうセリフが出てくるのはキャッチーで良い」とか同じグループの生徒から好評をいただいたんですが、代表には別の人のまとまってる感じのあらすじが選ばれていました。

ただ、さすがに4回目となってくると、メンバーはランダムに選ばれるんですが、何度かいっしょになる人とか発表で何度も選ばれる人とかが出てきます。
で、注意深く聞いていると「最初に話してた企画意図とだいぶずれた話になってるな」とか「キャラクター設定で出してた設定が結局使われてないじゃん」とか、一本の企画書としてちぐはぐになっている人が多い印象を受けました。
またプロット自体も、綺麗に小さくまとめられてる人ってやっぱり少数で、結構な人が「風呂敷を広げすぎてるな」とか「発想は良いけどテーマの彫り込みができてないな」とか、修整の必要を感じるものが多かったです。

もちろん発表のたびに講師の先生から「どうせならこうしたら?」とか「こうした方が面白いと思う」とか、フィードバックをもらえるんですが、結構僕の考えてることと一致している点が多かったです。
このあたり、僕も腐ってもプロの端くれなので、欠点を見出す能力についてはそれなりに衰えていないという自信に繋がりました。

実際、僕がラノベの応募を重ねるうえで一番勉強になったのが、他の応募者と原稿をお互いに見せ合うことで、欠点の多い原稿に対して「どこをどうすればもっと良くなるか」を考える過程は非常に勉強になる点が多かったです。
ただ、これは当然と言えば当然の話で、人の作品を客観的に見るのと同じ視点で自分のプロットを見返せるかはまた別の能力なので、そこは相変わらず課題ですね。
自分でも発表のために読み上げながら、その途中で「いやこれ全然サスペンスじゃないだろ」と自分でも突っ込んでしまっていたので、そう気付いた時点でもっと練り直しておけば良かった・・・。

とりあえず今回気付いたことを元にプロットはもう少し練り直してから提出しようと思っていますが、実際にシナリオの本文を書いて応募までするかどうかは微妙です。
サスペンスがあまり自分の向いていないジャンルだと書いてて気付いたのと、シナリオの仕事で依頼を幾つか受けられそうになってきていることの2つです。
確かに受かるかどうか分からない賞に出すより、実践で仕事した方がよっぽど確実で経験にも鳴るんですが、やはり実績という部分だと賞に勝るものがないので、難しいところですね・・・。
賞に送るにしても、まだこれから基礎講座を受ける中で学ぶことはたくさんあると思うので、それを受けてからコンテストに送り始めても遅くはないですし。
ただ、「勉強してから・・・」と考える度に、心の中のガッツが「ずいぶんと気の長ぇ話だな」って煽ってくる・・・。

どちらにせよ、今目の前にある今できることだけを続けてても、成長も進歩も変化も訪れないので、変化を求めてより新しいことに挑戦していくという指針自体は変わらず持ち続けたいと思います。

それではまた次回。

元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#4 『企画書講座③キャラクター編』

前回:元ラノベ作家だけどシナリオライターの学校に通うことにした#3 『企画書講座②』 - Funny-Creative BLOG

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こんばんは、幾谷正です。
今回は企画書講座の三回目ですが、前回までの楽勝ムードと違って今回はちょっと苦戦気味でした。

簡単に言うと「企画書に添えるキャラクター表を作る」というものですが、これがどうにも難しくて。
他の受講生が結構詳細に生い立ちや性格を書き込んだキャラクター表を作ってきたのに比べて、僕は必要最低限の情報以外あまり書くことが思いつかなくて、中途半端なものになってしまいました。

自分の場合、小説やシナリオを書き慣れているのがかえって邪魔をして、「キャラは書きながら彫り込んでいけばいい」と思って特に詳細を決めないクセがあるんですね。
最低限、「主人公はこういう性格のため事件に巻き込まれる」「このキャラはこういう性格のため事態が悪化する」といった“その性格がどうシナリオに影響するか”は準備しておくんですが、それ以外の生い立ちとか人格生計の過程は特に興味がないという・・・。

ここで自分の欠点に気付いたんですが、要するに僕って「めちゃめちゃ人間というものに対して興味ないな」みたいなんですね。
人間ドラマを書こうって言ってるのに、その対象である人間に対して興味がないって我ながらヤバいような気がします。

逆に他の受講生の企画書やそれに対する感想を聞いてると、「え、平凡な人間の普通の人生をどうしてそこまでおもしろがれるんだ!?」みたいな驚きばかりで、ちょっと脚本家向いてないんじゃないかと焦りました。
もちろん脚本家は全員が全員、昼ドラやトレンディドラマみたいな人物を書けないといけない、というわけでもないので、自分にはない才能や得意分野を持ってる人たちがいるんだなあと思うことにしました。
それに、今「自分はここが苦手だな」とわかったのは、逆にそこを努力して補えるわけなので、欠点に気付く機会をもらえたと思えば講義に出てみた甲斐はあったと思います。


でもそれにしたって、例えばキャラ表に「優しい性格です」と書かれてたところで、本当に読者が「優しい性格だ」と感じるかなんてわかんないじゃないですか。
そもそも心から優しい性格の人間なんて、実際にはいないと思います。優しく見える人間だって「見返りを求めて優しくしてる」のか「他人と関わることを恐れていて距離をおいてる」だけなのか、あるいは「騙されやすいバカ」なだけか、
そもそも優しい人間だって厳しいことを言えば怒ることもありますし、人間の性格設定なんて先に決めるだけ無駄では? と思っているのも個人的には事実です。

ただ自分なりに考えてて気づいたのは、大抵どんな人間も「こういう人間になりたい」という理想や目標は持っている、ということです。
例えば「優しい人間」であると書くより、「優しい人間になりたいと思っている人間」の方が、どこか人間的に思えませんか?
こう書くだけで「つい怒ってしまうんだろうな」とか「人に理解されないんだろうな」とか、色んなドラマを想起させられます。

逆に、「本当に自他共に認める優しい性格の人間」というのは、メインのキャラクターとして弱いですし、ドラマが生じにくいと思います。
言わばなりたい自分と現在の自分が一致してしまっているキャラクターというのは動きがありませんし、その時点で既にドラマが終わっているのです。

つまり僕にとって得意なドラマの書き方のパターンは、「何かになろうとしている人間の過程」を描くもので、「何になりたいか」から設定を作り込むべきだなと思いました。
なりたい自分になることがドラマであり、ストーリーであり、ハートの革命であり、プリズムアクトなのです。

それと他の皆さんのキャラクター表を見ててもう一つ気付いたのは、結構親子とか兄弟とかの家族関係をしっかり作ってドラマに絡ませてる人が多いなと思いました。
こればっかりはオタクの悪癖で、「家族という要素は話の邪魔だ」と思って排除してしまうことが多いので、苦手に挑戦してみる意味で家族を主題にした企画を考えてみるのもいい勉強になるかもなと思いました。

挑戦したことのない領域や、努力する余地が見つかるのって楽しいモノですね。
それでは、今回はこれにて。

打ち切られた作品を個人で5巻まで書き続けたので、書き続ける理由を振り返る。

こんにちは、幾谷正です。

作家である僕が出版社とトラブったせいで打ち切られてしまった拙作『アーマードール・アライブ』を、電子書籍でセルフパブリッシングとして完結まで出し続けるという活動を、もう5年近くも続けています。

電子書籍の知識も、イラストレーターのアテもない、裸一貫の状態から書き始めて早5年。
いちおう10巻ぐらいで完結させる予定ですが、ようやく折り返し地点となる5巻まで出すことができました。

ただ、最初は勢いと情熱だけで始めたこの活動ですが、最近はなんかもうとにかく厳しいです。
書くこと自体は楽しいんですが、幸いなことに、仕事も趣味も良い感じに楽しいことが多くて、創作に手が回らないという状況です。

また、最初の1巻の段階では1000人以上いた読者も、続けるごとに段々と減っていって結構モチベーションも下がってます。
それにともなって収益も減ってはいるので、副業としてだけやるならもっと利のいい別の仕事に切り替えてもいいタイミングです。
もっともこの辺は、「完結まで出せば離れていった読者が買うから結果的に回復する」という知り合いの作家さんからの助言もあったので、それを支えに続けられてはいます。

とはいえ、続ければ続けるほど書き続ける重みも増えていきますし、反対に僕自身は社会に生きる人間としてやらなきゃいけないことが増えていきます。
そこで今回は、自分に言い聞かせる意味も含めて、「なぜ続けるのか」の理由を一度文字に起こしておきたいと思います。

もし僕と同じように、創作をしていて折れそうになった人がいたら、ぜひ参考にして欲しいですね。

1.何はなくとも読者のため

僕が書き続ける五年の間に、僕が所属していたレーベルから多くの作品が出版されては2巻や3巻で早期打ち切りされていきました。
僕が知る限り、あのレーベルから出た新人の作品の中で、完結まで出版された作品はただの1作もないそうです。

また世の中に目を向けてみれば、雑誌の廃刊とか出版不況とか作家のトラブルとか、色んな事情で作品が完結まで描かれないまま終わっていきます。
作家が死去してしまうことで終わってしまうことすらあります。

そうした打ち切りによって被害に遭うのは、いつでも一方的に作品を奪われる読者たちです。
翻って、今僕がやっている「出版社から出なくなった作品を作家が最後まで自己責任で書いてくれる」って、読者の目線からしてみれば、とても幸運で幸福なことなんじゃないかと思うんですよね。

公式サイトに設置しているお問い合わせフォームやTwitterのリプライから、何度もたくさんの感謝や応援の言葉をいただきましたし、今はそれが原動力です。

1ついただいたメールで面白かったのは、自分より二まわりも三まわりも年上な、ご高齢の読者からお便りをいただいたことです。
「ぜひ完結まで書いて欲しいけど、自分が認知症になってしまうのが心配なので、早く完結させてくださいね」というような内容で、ちょっと笑ってしまいました(笑)

ただ真面目な話、自分の好きな作品を最後まで読めないまま死んでしまうって、とても不幸で口惜しいことだなと僕は思います。
そういう読者のためにも、一刻も早く完結させないとと、筆を進めることができています。

確かに商業出版に比べて読者の数は減りましたが、打ち切られて1万人の読者を不幸にする商業出版より、1000人を確実に幸福にできる個人出版の方が、僕は価値ある活動だと確信しています。

もちろん商業作家としてヒットすれば良い話なんですが、そんなイチかバチかに毎回読者を付き合わせたくはないですし、僕自身そんな保証のないリスクの多い活動で消耗しているわけにもいきません。
そもそも、あれだけ売れた『涼宮ハルヒの憂鬱』だって中断したまま未完結のままで十年以上経ってます。
もし僕が最後まで書き切ることができれば、ハルヒのファンなんかより僕の読者の方が幸福ですし、僕は自分が価値あることをしたと誇れます。

好きな作品が打ち切られるたび、読者はレーベルや出版社に失望し、売れている作品しか買わなくなっていきます。
結果出版社がわも新しい作品を出すことを控えるようになり、市場には似たようなテンプレ作品だけが並ぶことになります。

「たとえファンの数は少なくても自分の好きな作品が出て欲しい」と思ってる読者は居るはずです。
作者として誇れる、読者を幸福にするための出版を、これからも続けて行きたいと思います。

2.自分自身の研鑽のため

このブログでも何度かお話ししていますが、実は最近シナリオライターの学校に通っています。

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で、自分で言うのもなんですが、僕けっこうシナリオ書くのが上手いみたいなんですね。
そりゃそうだ。腐っても元プロなんだから。

そもそも本業の関係でシナリオを書く仕事をすることになって、「思ったより楽しいし向いてるな」と気付いたことがきっかけで始めたんですが、この仕事自体も「ラノベ書いてるんだからシナリオぐらい書けるでしょ」とかるい気持ちで引き受けました。
実際、もし五年前の打ち切りを機に作品を書くことを完全にやめていて、数年ぶりに「書こう」と思ったのなら、正直ここまで手際よく書き進められなかったと思います。
そもそも、自分から「書きます」と言うこともなかったでしょうし、たった数万文字を書ききることすらできなかったでしょう。

この五年間、1冊出す度にだいたい十数万文字をコンスタントに書いては出版してきたわけです。
もちろん単なる文字数でなく、色んな作品や資料を見ながらプロットをひねり、人に相談し、どうしたら描写や展開が良くなるか研究し続けてきました。
プロという職分をやめはしましたが、本を出して人からお金をもらう以上、プロとしての精神を忘れたことは一度たりともありません。

そうした研鑽と努力が、結果的に新しいことへ挑戦するための足がかりになるなら、自分が書き続けてきたことをより肯定できるなと思います。

それにもし、僕が脚本家として成功を収めれば、その影響で今書いている作品が注目されて売れるチャンスだって生まれます。
「シナリオの方が楽しくなって書くのを辞めてしまわないか」と最初は自分でも不安でしたが、今では相互に自分を高めるチャンスだと思ってどちらもやる気が出てしまってかなり大変です(笑)

もちろん、これは逆に言えば「新しいことに挑戦した」からこそ、得られた意義でもあります。
1つの道に行き詰まったとき、あえて別のことを始めてみるのは、決して悪くない判断だと思います。

3.後に続く作家のため

これはまあ、「本気で思っているわけではないものの、いちおうのお題目」として掲げた目標でした。

自分のように打ち切られた作家が「幾谷みたいに電子書籍で出すか」と軽い気持ちで始められるような、先駆者になること。
それが僕がこの活動を最初に始めたとき、社会的に意義あることっぽく見えるようにいちおう掲げてみた目標でした。

ただ結果的にふりかえってみれば、実際に「元プロだけど幾谷さんのやってることを見て自分も電子書籍出しました!」とか、「同人誌を電子書籍化してみました!」とか、そういう報告をこれまでに何度かいただいています。
僕も後に続く人に対して、「分からないことがあったら聞いてね」とか「詳しい人なら知ってるから教えるよ」とか、直接手伝わないまでも情報やマッチングの部分で幾つか助けることはできています。
さすがに「打ち切られた作品を出し直す」というやる気満々な人は、未だに自分以外には見たことがないですが・・・。

ただそういった報告を聞いたとき、本当に正直な本音は「後から始めたくせに俺より売れるなよ~」という、ジェラシーと対抗心でいっぱいです(笑)

とはいえ、そうした「電子書籍作家」とか「同人ラノベ」みたいな人がどんどん増えていって、集まりとして大きくなれば、読者もそうした作品群の存在を知る機会は増えていくと思います。
そうすれば、出版社を介さず同人誌のように印刷費もかからない、第3の選択肢としての電子出版は、これまで以上に存在感を大きくしていくと思います。

残念ながら今後十年ぐらいでそれが達成されるのはちょっと難しいなと思ってますが、そこへ至る種火みたいなものは感じられるところまで来ました。
その先頭の方を走ってる僕が「こんな活動無駄だから辞める!」とひっくり返してしまうわけにもいかないので、そういう意味ではちょっと続ける理由が増えました。

最後に

他にも「なぜ書き続けるのか」という理由はさまざまありますが、現状で言えるのはこんな感じです。

振り返ってみると〝使命感〟だとか〝自己研鑽〟だとか〝他者の幸福のため〟とか、我ながらきれい事ばかり並んでしまいましたね(笑)

ただ、こういう考え方が出来るようになったこと自体が、書き続けてきて良かったなーと思える理由の1つです。

お金とか、評価とか、いいねとか、リツイートとか、そういうものを手に入れるのが目的なら創作なんて別にしなくてもいいんです。
辞めたくなるのが当たり前です。こんなことは続けたところで無駄です。

だからこそ、もっと高いところに続けられる理由を持つ必要は、たぶんあるんじゃないかなと思いました。