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電子書籍作家の幾谷正が個人出版の最前線で戦う話

「幾谷正って誰?」って人のためにラノベ作家デビューして出版社に絶望して炎上して電子出版始めて個人で3000部売るまでの経歴をまとめました

なりたい自分にプリズムジャンプ! 幾谷正です。

最近なんかTwitterとかブログとかを見てると、「幾谷正ってなろう作家がまたなんかやってる」だとか「炎上芸人が何かやってる」みたいに言われてるのをよく見かけます。

念のため強調して言っておくと、新人賞でデビューして商業出版したことがある元ラノベ作家で、現在も個人出版の形で作家活動を継続しています。

ただ、どうもGoogleで幾谷正で検索すると上の方に出てくるのが、穴抜けだらけになった憶測だらけのまとめ記事とか

togetter.com

あとはどこの誰が書いたかわからない3年前のブログとか

jeek-miscellaneous.hatenablog.com

あとは商業作家時代に出した書籍が引っかかるだけで、僕がどういう経歴の人間で今何やってるかとかサッパリ認識されてないみたいです。
本人が発信している一次情報より、第三者の憶測の方がSEO的に高くなってしまうって、情報社会のあり方としてなんなんすかね。

ただ、SNSでいちいち「俺はなろう作家じゃねえ!」とか言って回ってるだけで自分の情報を発信してこなかった自分もよくないので、ちゃんと事実に基づいた本人の自己紹介を書いておこうと思います。
そして出版業界に色んなことが起きてますが、「僕が新人作家としてデビューして商業出版に失望するまでの3年と、電子書籍に活路を見出して個人活動を続けてきた3年」を自分自身の視点で振り返っておくのは、後に続く人たちにとっても意味のあることだと思って書きます。
まあ本質的には自分語りがしたいだけなんですけどね。

2011年9月:第一回講談社ラノベ文庫新人賞優秀賞受賞

当時、某愛知某名古屋の某国公立の某工業大学の大学生だった僕は、大学サボって書いてたライトノベルを新人賞に送って受賞してデビューしました。
(当時はネットで名乗っていたファニー・ベルというハンドルネームをペンネームにしてました)
受賞した作品のタイトルは『純潔戦記ドウテイオー』なんてヒドイもので、高校のときネタで書いてたWEB小説を書き直したら意外と面白く書けちゃったって感じです。

lanove.kodansha.co.jp

ちなみに受賞するまでに新人賞に応募した回数は約20回、一次落ちした数も20回。
才能はないかもしれないけど努力して技術を磨き上げて人に認められたって経験を得て自信を持てたのは良かったです。

2011年12月:デビュー作『神童機操DT-O phase01』発売

こうして『純潔戦記ドウテイオー』は『神童機操DT-O』なんていう、まあ当たり障りのない感じのタイトルに改題されて出版されます。

僕は「インパクトがなくなるからタイトルはそのままの方がいいのでは?」って提案してたんですが、担当編集の人が「読者が書店で注文するとき恥ずかしい」とかよく分からないことを言われたので大人しく従いました。
講談社ラノベ文庫はその後「ビッチ」とか「少女の奴隷」とかタイトルについてる本を出してるんですが、男性を貶す単語はダメで女性を貶す単語なら良いってことだったんでしょうかね)
ペンネームも「自分で”ファニー”なんてイタい」とか色々言われて、今の幾谷正っていうペンネームを五秒で考えて使うことにしました。

このときの僕はまあ「実績のある編集さんが言うことだから信じて従おう」とか考えてる甘っちょろい学生でした。
それとちょうどこのぐらいの時期に川原礫先生のようなWEB小説デビューの作家さんが増え始めて「もう新人賞なんて取っても意味なくね?」って言われ始めていたタイミングでもありました。
最近ネットを賑わせてる出版業界の怠慢だとか作家が育たないだとかの問題は、偏差値60ぐらいある人間が作家活動1年もやれば理解できてたんですよね。
「ああ6年経った今でも変わってないし、むしろ予想してたより悪くなってんな」といった心境です。

2012年11月『DT-O』第3巻で完結

というわけでデビュー作として出したDT-Oですが、1年で3巻目を出したところで完結。まあ事実上の打ち切りです。
第一回の募集とか創刊記念パーティーとかで「ちゃんと完結まで出して作家を育てる!」みたいな景気いい言葉を信じてたんですが、信じたやつがバカでしたね。
基本的に出版社というものは自信満々で何か言うときまず間違いなく根拠のない見栄だけで喋ってるので極力信じないように皆さんも注意しましょう。

「打ち切りのショックはつらい」なんて一般論としてよく言われますが、やっぱり自分のなかで作り上げてきたモノをたくさんの色んな人に協力してもらって世に出して、結果その全ての期待に応えられないまま強制的に終わらされるって人格を否定されるぐらいのキツさがあります。
僕も当時完全にメンタルをやらかして、飯が食えなくなり胃薬浸りになって体重が48㎏まで落ちたりしました。

ちなみにこのとき死に絶えたメンタルは『プリティー・リズム~オーロラドリーム』との出会いによって作家活動を再開できるまでに全快したので皆もプリリズを見よう。

2013年~2014年次回作執筆したり卒業研究したり就活したり

kiichiros.hatenablog.com

こちらの調査結果によるとデビュー3年間で半数のラノベ作家が消えていくそうですが、僕の場合はデビュー作が打ち切られたあとも「今度は打ち切られないものを!」と執念を燃やしてしぶとく書き続けてました。
ただ、書き始めてから完成するまでに1年、編集部のゴタゴタで待たされてもう1年と合計2年間作品が出せなかったので、復活までに時間はかかりましたし、復活したと同時に炎上して燃え尽きたんですが。

またこのとき、「打ち切られないために売れそうな流行に沿ったモノを書くべきだ」と色んな人に言われたんですが、「誰でも書けるものをわざわざ書くために俺は何年も努力したわけじゃない」と突っぱねて、2作目も大好きなロボットモノで再挑戦することにします。
ここで折れてたら2作目自体出せてなかったと思うので意地を通して正解だったと未だに思ってますね。
過去のメールを確認したところ、2012年10月にはプロットが通っていて、2013年8月には完成原稿を編集に送っています。
ただ僕は2013年3月に留年しまくった大学を卒業するため、「足りない単位の取得+研究論文+就職活動+新作の原稿執筆」という四重苦状態に突入します。
今まで色んな仕事してきましたが、正直このときよりキツい状況に陥ったことって人生でない気がしますね。学生と違って社会人は労働基準法で守られていますし←何言ってんだお前

そんな忙しい状況で、再起の希望をかけて書き上げた一作なので、物凄い熱量をこの新作に込めてましたし、”自己顕示欲”とか”金目当て”とかが目的で絶対に出来ることじゃありません。
自己顕示欲を満たすならもっと簡単に満たす方法は幾らでもありますし、金が目的なら書いてる時間でコンビニバイトした方がよほど効率的に稼げます。
一度も何かを作り上げたことのない人間に、「目立ちたいだけだ」とか「金儲けのためだ」とか揶揄されるのは、今でも本当に腹立ちますし傷つきますね。
閑話休題

このときかなり揉めたのが「イラストレーターを誰にするか」という問題で、編集は「候補を考えておくので原稿が完成したら決める」と約束してくれてました。
愚直にこの言葉を信じて書き上げたものの、編集は誰一人具体的な名前を挙げることもないまま3ヶ月が過ぎ、やっとのことで上がってきた名前も、正直全くロボットの描けなさそうな人ばかりでした。
(一人に至ってはロボモノのイラストで物凄いヤバいクオリティのものを出した過去がある人だったので、言うまでもなく適当に選んだのが分かりきってました)

このとき僕はてっきり「文章はできてるんだからあとイラストさえあればいつでも出せる!」と短絡的に考えてたんですが、商業出版というのは刊行スケジュールとか編集部都合とか色々あって、個人で同人誌を出すような単純に進む問題ではないというのを理解できてなかった感じです。
ただ、一刻も早く新作を世の中に出したかった僕は、焦りに焦って自分でイラストレーターの候補を探して提案するという作戦に出ました。

卒論の合間を縫ってpixivを検索しまくり「この人どうですか!?」って感じのイラスト候補を10人分ぐらい探しては投げてたんですが、「有名じゃない」とか「実績がない」とか色々と理屈をつけて却下されていました。
ちなみに、そのとき名前を挙げたイラストレーターさんの一人が、去年講談社ラノベ文庫の作品でイラストを担当されてたみたいなので、僕の送ったリストは編集さんが後々有効活用していたみたいです。
また、「実績がない」と却下された絵師さんの何人かは、別のレーベルや書籍で商業デビューされているみたいです。

そうは言っても自分の担当編集はまあ、分かりやすい肩書きや知名度や経歴を重視するタイプの人みたいで、有名なイラストレーターを上げてみたものの、今度は「相手が人気過ぎて忙しくて断られた」という返事が相次ぎました。
知名度にこだわるんだったらもっと早く探してオファーしとけよ」って話なんですが、この辺りは編集の無能さ問題というより、講談社という会社の体質の問題もあるのかも知れませんね。

そんな状況がしばらく続いて、知り合いの作家さんと相談していたんですがーー

「艦これの艤装を描けるぐらいのレベルの同人作家を虱潰しに探してるけど、知名度がないって蹴られちゃって」
「じゃあ艦これのイラストレーター本人に打診すればよくね?」
「それだわ」

って軽いノリで思いついた案を編集にぶん投げてみたところ「これぐらいの知名度ならOK」と快諾をもらって、ようやく話が前に転がり始めました。
皆さんもご存知のとおり、これが焼却炉にぶち込まれるためのベルトコンベアが稼働し始めただけとは当時想いもしませんでした。

2014年3月刊行予定日がやっと決まる

ようやく刊行予定日が決まり、発売を間近に控えた僕の頭は「何が何でも打ち切られないようにする」という目的だけで頭がいっぱいでした。

このとき知り合いの作家さんから、今まで気にしたことのなかった「刷り部数」「配本数」みたいな数字の重要さを教えてもらっていた僕は担当編集にそのあたりの数字を色々と聞きまくっていました。
刷り部数は「前作のデビュー作が打ち切られた」という負債のせいでかなり削られていますし、配本数も後で知った話ですが、とうてい打ち切りを免れるような数字ではありませんでした。
新人が育たないという実情の裏側には、こういう「本を出せば出すほど実績よりも作家の名前に負債が溜まる」という出版業界独自の慣習があるんだと思います。
僕がどれだけ頑張って前作より良い物を書いたとしても、営業や書店員がそのがんばりを知ってくれているわけではないですし、頑張りを知っているはずの編集にも刷り部数を変える権限はありません。

具体的に言うとデビュー作『DTO』の1巻は20,000部刷りの10,000部売れ。
『アーマードール』1巻の刷り部数は半減して10,000部の刷り部数になっていました。
デビュー作はレーベルの創刊記念という事情から戦略として多めに刷っていたそうですが、「新作は前より面白く書けた」という手応えを感じていた自分にとって半減という数字は結構ショックを受ける部分がありました。
また、3年の時間が経ったことで書店自体の数が減り、なろう小説やWEB小説に人が流れて棚面積が減ったこともあって、苦戦を強いられることは目に見えていました。

ちなみに先に結果を書いておくと発売日に配本されたのは5,000部で、最終的に売れたのは3,500部。
知人の作家にこの数字を見せたところ「この配本数の時点で打ち切りが決まっているようなもの」とのことでした。

ただ配本に関しては「流行のジャンルに沿ってる」とか「有名な絵師が描いてる」というだけでかなりプラスに働くので、自分の場合「有名なイラストレーターの名前に頼る」が打ち切りを免れるための唯一にして絶対の条件となっていました。
おそらくこれ以外だと「そもそも講談社ラノベ文庫とかいう下位レーベルで本を出さない」か「自分の書きたいものを書くのを諦める」の二択ぐらいしか方法論はないと思います。
講談社ラノベ文庫は創刊から現在まで、早期完結しなかった作家は一人も居ないようなので、後者を選んだとして後悔が2倍になっただけだと思われます)

ど素人からはよく「面白いモノさえ書けば重版されるし打ち切られない」とかアホみたいなお花畑理論をぶつけられるんですが、「じゃあこの世の全ての打ち切り作品はつまらなかった」と言うつもりなんでしょうか。
もしラノベや漫画を心から好きになった経験のある人間なら、そんな言葉に首を縦に振るとは思えません。あるいは売れた作品だけしか消費しないタイプの人なのかな? まあいいや。

とにかく「お前ら編集部は当てにならないからイラストレーターに金積んで土下座して宣伝してもらうしか作品継続の手はない」というような事をできるだけ丸めた言葉にして編集に伝えつつ、刊行のときを待ちわびていました。
このとき僕は新卒で入った機械設計の会社で働き始めて一年目ぐらいだったんですが、会社の昼休みのたびに工場の裏手で携帯をかけて「まだ宣伝の話進んでないんですか!」と編集に文句言う謎の人になってました。

2014年4月 田中謙介氏ね

「艦これのプロデューサーからNGが入ったので、宣伝はできないし名前も出せない」

この絶望的な連絡が入ったのは、発売日の差し迫った1ヶ月前のタイミングだったと思います。
正直僕はこの時点で「打ち切りが確定した」と確信し、かなり絶望していました。

大げさに聞こえるかも知れませんが、ライトノベルというのは書くのに何年かかろうと勝負のタイミングは発売後1週間だけ。
その発売日までにどれだけ売れるための下地を作れたかが全てですし、最近では「発売日を迎える前に打ち切りが決まった」なんて実話も聞こえてくるぐらいです。

実はこの時点ではまだ出版契約書を交わしていなかったので、今考えると僕が打てた最善の手は「契約不履行により出版契約を白紙に戻して刊行自体を差し止める」だったと思います。
というか当時でもこの選択肢は浮かんでいたんですが、「出版社に迷惑をかけてはいけない」なんていう一銭の得にもならない有情を持ってしまったばかりに判断を誤りました。

また、編集の「無策で突撃したのち玉砕せよ」みたいな態度にも相当腹を立てていたんですが、もう一つ本当にクソだと思っていることがあります。

皆さんも考えてみて欲しいんですが。
例えば僕がフリーの作家として、KADOKAWA系列のレーベルで仕事をして本を出していたとします。
そして「今度講談社で仕事をして本を出すことになりました。その宣伝をTwitterでやります」と言ったとき、KADOKAWAの編集が「他社との仕事の宣伝なんかするな!」と指示してきたとします。

これ、圧力じゃなかったら一体何だと言うんですか?

別に絵師本人が自分の意思で「お前との仕事は宣伝しても何の得にもならないから絶対に宣伝しない」と断ってきたなら、「うわ頼む人間間違えたわ」と自分の判断を反省することもできました。
でも、フリーの人間に対して仕事を依頼しているうちの1社にすぎない人間が、まるで雇い主か何かのように他社との仕事に口出しをするというのは、信じがたいタブーだと思います。

ただ僕は「艦これという仕事によって有名になってファンを持っている一人のイラストレーター」に対して、イラスト以外での宣伝などといった形での作品全体への助力を求めていました。
しかしネットの誰もがイラストレーターを「艦これの持ち物」として捉えていたし、僕のことは「艦これの持ち物を勝手に使った作家」と見なされているようで、全く話が噛み合いませんでした。
運営は圧力をかけた結果、運営側は雇用関係なしにイラストレーターの独占に成功しており、ファンも余計な仕事を受けて新規イラストが滞らなくてなったので大喜びです。
イラストレーター自身はフリーという立場にありながら1社の仕事しかできないという束縛状況に陥り、この炎上以降他社の仕事が一切来なくなっています。
例えば出版以外の業界なら、フリーのエンジニアに対して「お前はうちのライバル会社の仕事を受けるときは名前を変えろ。実績として公開もするな」なんて指示を出すことあり得ないと思います。

実は非常にわかりにくい話なんですが、艦これの運営はフリーのイラストレーター個人に対して仕事を制限するという形で圧力をかけ、その圧力に僕は仕事先として巻き込まれたって感じですね。
「艦これの公式イラストレーターにオファーを投げるより、艦これで同人誌出してる人にオファーした方がまだ安全だった」と正直今では思っています。こんな例もあるけど。

本来商業の仕事って、それを実績として他の会社からも声が掛かり、クリエイター個人の価値があがり、単価や仕事の数も増えていくモノだと思っていました。
ただ現状の出版業界はむしろ逆で、公式の仕事はすればするほど会社の都合に巻き込まれて仕事が制限され、二次創作をして名前を売る方がよほど自由に作家活動ができる仕組みになっているみたいです。
(※ 後にイラストレーターは本当に運営会社の社員として雇用されたみたいですが、なんていうか最初からそうしとけとしか言いようがない)
【艦これ】コニシ氏としばふ氏っていつの間にか運営スタッフ入りしてたのか : あ艦これ ~艦隊これくしょんまとめブログ~

とにかく当時の僕は、「こんなの圧力だろ。抗議してくれ」と担当編集に相談したんですが、言われたのは「そんなのこの業界じゃ当たり前のことだ」という定型句だけ。
こんな不当な潰され方をするのが「当たり前だ」と片付けられ、作品を売るチャンスが潰されても「問題にしたくないから」と事なかれ主義で見ないふり。

なんで作家の僕が編集や出版社を頼るのは〝迷惑〟で、出版社や編集が俺に問題のしわ寄せを押しつけるのは〝仕方ないこと〟なんだ。

せめて絵師の名前だけでも公開できないかと編集に相談したものの、「もしバラしたら今後2度とうちで仕事はできなくなると思え」とか言われる始末です。
とはいえ「今回の作品が打ち切られたら商業を辞めよう」と決めてた僕は「それならバラした方が売れるチャンスがあるだけまだ得だな」というぶっ壊れたそろばんを弾きながら刊行日を迎えました。

2014年6月『アーマードール・アライブ 死せる英雄と虚飾の悪魔』発売と同時に炎上

アーマードール・アライブ 死せる英雄と虚飾の悪魔 (講談社ラノベ文庫)

アーマードール・アライブ 死せる英雄と虚飾の悪魔 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:幾谷 正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/05/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

結論から言えば「その月に出たレーベルの新作の中では一番売れたけど」っていう最大限ムカつく形で発売後一週間で2巻打ち切りが決まりました。
発売後の感想を見る限り「作者はデビュー作より成長した」とか「今度は完結まで読みたい」とか温かい感想も一杯頂いてたんですが、そういった感想をもらう頃にはとっくに打ち切りが決まっていた形です。

ここで僕は自分のTwitterで、例のまとめにある「足かけ二年かけて作り上げた新作の行く末が、艦これの運営から掛かった圧力のせいで潰されてしまった」という発言をして炎上するに至ります。

自分の中ではこういった一連の流れがあってした発言だったんですが、「発売一週間でいきなり打ち切りが確定する」という狂った現実をネットの皆さんが全く理解してもらえなかったのが一つ。
そしてもう一つ、これは言われてみたら本当にその通りなんですが、イラストレーターに宣伝を頼むか否かは出版社の編集が決めることであって、外注のライターでしかない自分が口を出すことではないという大前提でした。
企画から原案、キャラクター全員のプロフィールからメカデザイン、設定、本文の執筆と構成、再編、果てはイラストレーターの選定まで。作品の実制作を行っているのは全て僕です。
こちらは売れなければ印税も下がるし経歴にダメージも受けます。次からの刷り部数も減りますし、打ち切られればまた企画を作り直さなければいけません。
しかも売れなければ印税も下がるし経歴にダメージも受けます。次からの刷り部数も減りますし、打ち切られればまた企画を作り直さなければいけません。受けるショックだって大きいです。
対して編集は新人が何人打ち切られて爆死しても給料は下がりませんし、仕事も同じ量与えられます。会社の年功序列に従って出世しますし、実力なんて1ミリも問われないアマチュアのような世界です。
そんな何一つ作品に賭けるものがない編集が「まあイラストレーターのネームバリュー無しで宣伝もしなくても何とかなる」と判断してしまった時点で、僕は何もしてはいけなかったんです。

今後、出版社と仕事をする際は事前に契約書を用意して「作品の発売前にこれだけの宣伝をしてSNS上で累計〇〇PVに到達し、告知サイトのユニークPVが〇〇に達しなかった場合、出版契約は白紙に戻す」とか書いて約束させるぐらいしかないんでしょうか。
とにかく「発売開始から一週間で打ち切りが決まる」「事前の宣伝の方針は編集部が決める」「打ち切られた場合作家は利益が減る」という3つの状況は新人をブロイラーにベルトコンベアで送るだけの機械を生み出してる気がしてなりません。

togetter.com

そういえばちょっと前、KADOKAWAの編集者が「これからは作家が自分で宣伝しろよ! 俺たちは手伝うだけだから!」とか脳天気なこと言って炎上してましたが、まあ半分正しくて半分間違ってるなと思います。
確かに宣伝は作家が自分で行うべきという点は正しいんですが、編集は肝心なところで足を引っ張るのでむしろ何もしないでくださいって感じです。要するに邪魔です。

僕はこのとき半分は個人的な感情から、半分は自分の味わった経験から「KADOKAWAみたいなクソ企業に支配されたエンタメ業界はもはやダメだ!」と叫び散らしていました。
そのたび「ラノベ作家のくせにKADOKAWA様に逆らって生きていけると思うな」とか大してラノベ書いてる気配も読んでる気配もない謎の立場の人たちからお叱りを受けました。
3年経った今、KADOKAWA様の言うことを聞いて大人しくしたがってきたクリエイターの皆さん、本当に報われてますか?
KADOKAWAに逆らわず従ってきて良かった」と本当に言えますか?

それとこの炎上の最中、二次創作してる同人作家の方々から「他人の作品を宣伝に使おうなんて作家の風上にも置けないやつだ」とか笑い死にしそうなことを言われまくって「あ、こいつら殺していいゴミじゃん」って気づきを得ました。
誰の著作権も侵害せず、一次創作を正当に頑張って続けてきても、1度弱音を吐いただけで作家とも呼べない寄生虫みたいな連中に上から目線で「お前は作家じゃない」とか言われるんだから惨めなもんですね。
気に食わない犯罪者からは表現の自由を奪って問題ないと彼らは考えているようですし、僕もその通りだと思い知りました。
皆さん自分の立場で思うことは色々とあるでしょうが、僕自身の立場としては「潰されるぐらいなら全員潰す」と決めているので、議論の余地はないものと思って下さい。

とにかく出版社の人間も、作家気取りの二次創作寄生虫たちも、結局彼らは自分の立場とか収益を守るために「創作」とか「作家」とか「表現」って言葉を利用してるだけで、実は言うほど作品のことなんて大事に思ってないんだなっていうことがよく分かりました。
僕はこの後、炎上があまりにひどすぎて精神を病んで心療内科に通うことになり、強迫性神経症と不眠症のダブルパンチで社会性が完全に死んで、新卒で入った会社の仕事を辞めざるを得ない状況に陥ってます。
今でこそ笑い話にしていますが、当時は本当に辛く苦しい毎日でした。あれだけ努力して勝ち取ったラノベ作家という肩書きを、自暴自棄になって捨ててしまった上、ネット上で無数の人間に「お前が潰されれば良かったんだ」と批判を受け続けました。
当時を思い出しながらこの文章を書いている今も、頭蓋の中に冷たい針を突き刺されたような、独特な痛みがよみがえってきます。
「打ち切られたくない」「作品を存続させたい」と思っていただけなのに、一体何が間違っていたのかとても思い悩みました。

「ああ出版社と縁を切れば作品を続けるって目的はむしろ達成できるじゃん」という当たり前の事実にここまで来てようやく気づいたのがこの頃でした。

2014年7月 WEBで活動を始める

https://ncode.syosetu.com/n9962ce/

炎上して精神科に通院を始めてからの間、なぜそうなったか自分でもよく覚えてないんですが、なぜか「小説家になろう」で新作の連載を始めます。

実はこれを書き始める1ヶ月前、出版社から”既に出版して販売されて打ち切りも決まった『アーマードール・アライブ』の出版契約書が送られてくる”という笑える事態が発生します。
もしそのまま何も考えずサインをして返送すると、向こう3年間作品は続きを出すことも、他社で出し直すこともできなくなります。

そうなんですよ。
作家は出版契約書に縛られているから自分の作品を自由に出したり、続きを書く権利を奪われてしまうから、契約書を結ばなければ作品の続きは別の会社からでも同人誌でも好きなだけ出し直しできるんですよ!!
当時これ本当に大発見だと思いましたし、まだこの発見ができていない作家さん数多く見られます。

それに気づいた僕は「自分で作品は出し直しするから版権は返して下さい。というかそもそも契約書結んでないから渡してないですね。契約書にはサインしませんし版権は渡してません。印税も要りません」という、とんでもないメールを講談社に送ってます。
(自分で過去のメール読み返しててビックリした。こえーなこいつ)

ちなみにそういった事情から電子書籍の販売契約は結ばないでおいたんですが、後日講談社から「間違えて電子版を作って売ってしまった」という寝耳に水な連絡が入りました。
危うくKindleの独占契約を切られる危険があったので著作権侵害で訴えてやろうかと内心ブチギレてたんですが、結局即座に販売停止してくれたようなので一安心です。
せめて最後の後始末ぐらいはちゃんと仕事して欲しかったんですが、まあ無能は治らないから仕方ないですね。

僕としては「もう打ち切り決まってる作品なんだし、得にならないと思ってる作品ならさっさと返せよ」ぐらいにしか考えてなかったんですが、結局編集から「せめて1年間の時限契約にしてくれ」とお願いされて渋々了承してます。
こればっかりは先に契約を結ぶという社会常識の無い出版業界とそれを当たり前と思い込んでた編集が完全に悪いですし、僕がまだほんのわずか人の感情を残してたおかげで良かったと思いますね。
もし「打ち切られて作品の続きが出せない!」と悩んでる皆さんも、もし契約書をまだ結んでないとか、そもそも結んだ覚えがないとかだったら、さくっと個人で始めてみても良いと思います。

とにかく作品の継続を決めたものの、1年間やることがなくなってしまった僕は「せっかくなので、偽名を使ってちょっとなろうに挑戦してみよ」という軽い気持ちで新作を書き始めたわけです。
また、そこで書いた作品をそのまま電子書籍化してどれぐらい売れるか試してみました。

2015年5月 初めての電子書籍を出版

1年ほどなろうを欠かさず毎週更新して、溜まった内容を電子書籍にして販売するという一連のサイクルを回してみた結果ですが、以下のようになりました。

ブックマーク  :1,704件
ユニークアクセス:166,408
電子版販売冊数 :70冊

無名の作家が同人誌出して70冊売れたって考えたら結構頑張った方なんですが、目標1000部を目指してたので正直言って惨敗でした。
作品自体は結構自信があったし、面白く書けていたと思うんですが、「お金を出してでも応援したい」という層が少なかったのは個人的にショックでした。
(値段を一冊10000円とかバカ高くしてコアファンに支えてもらうとか、Fantiaで収益作るとか、今考えると選択肢はもっとあったのかも知れません)
ただ「なろうで頑張っても電子書籍はあんまり売れない」ってことと、「電子書籍を作って売るのは思ってる以上にめちゃめちゃ簡単」という2つの事実が自分の中にできたのは大きかったです。

例えばなろうで総合一位になっている『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』ですが、ブックマークは14万件。
今回得られた係数をそのまま当てはめて計算すると、5600冊売れる計算。仮に1冊1000円でKDPの独占プランで売っても約400万円。
かなり荒っぽい計算なので実際にはかなり開きがあると思いますが、少なくとも書籍化によって得られる印税の方が圧倒的に多いのは間違いなさそうです。

なので世間では「なろうで人気稼いで電子書籍出せば出版社無しでも稼げる」っていう与太話は、言うほど簡単じゃないかと思われます。
ケースによって違うでしょうが、少なくとも自分の場合は「ここに活路はない」って気づけた感じです。

本来は『アーマードール』もなろうで閲覧数を稼いで電子書籍につなげるっていう計画を立ててたんですが、この計画はやる前から破綻してると気づけたのが本当に良かったですね。

2015年8月 『アーマードール・アライブⅠ』を電子書籍リバイバル

アーマードール・アライブ  Ⅰ 〜死せる英雄と虚飾の悪魔〜

アーマードール・アライブ Ⅰ 〜死せる英雄と虚飾の悪魔〜

そんなこんなで1年経ち、ようやく『アーマードール・アライブⅠ』の電子書籍版を出し直すことができました。
結果から言ってしまうとこちらの本は、表紙を頑張ったり販売作戦を仕掛けたりしたおかげで、めでたく1000冊を売り上げることに成功できています。
道のないところに道を作ったり、データのないところにデータを探しにいったり、CSSとhtmlを自力で書いたり、電子書籍コンバーターの中の人に問い合わせしてたら仲良くなってもらえたり、なんか色々とありました。
手伝ってくれてるイラストレーターの友人も宣伝以外の部分は全面的に協力してもらえているので、なんか不思議な力で潰される危険もなくわりと順調に進んでいます。
ただ「1巻はあくまで商業出版されているし編集の目が入ってるからお前自身の実力じゃない」という引っかかりは感じていましたし、2巻がどれぐらい売れるかは心配でした。

2016年3月 『アーマードール・アライブⅡ』を電子書籍で出版

アーマードール・アライブ Ⅱ 〜軛解きし色欲の悪魔〜

アーマードール・アライブ Ⅱ 〜軛解きし色欲の悪魔〜

そして念願の第2巻を発売するわけですが、こちらも順調に売れ続けて現在900冊ぐらい売れてる計算です。
また、「商業をやめたことでクオリティが落ちるかと思ったらむしろ上がった」とか「2巻で打ち切られなくて良かった」という感想もそれなりにいただけたのが嬉しかったです。

この2巻を出したことで独立してやっていけるという自信がつきましたし、ようやく自分を”電子書籍作家”と名乗れる自信がついたのがこの頃でした。

2016年9月第3巻&2017年10月第4巻発売

アーマードール・アライブ Ⅲ 〜非情の人形は悪魔の虜〜

アーマードール・アライブ Ⅲ 〜非情の人形は悪魔の虜〜

続刊も順調に出せていて、去年はとうとう作家になって初めてシリーズ4巻目を出すことができました。
販売ルートを広げるために取次に依頼したり、その取次先を切り替えたりとかして、その影響か2巻までに比べて若干売り上げは下がってきた気配があります。
もちろん単純に、自分の実力が読者の期待に応えられておらず、途中で買うのを辞めてしまった人が居る可能性もあるので、そこは努力しないといけません。
作品を長く続けるというのは考えること、努力すること、磨くべきこと、諦めるべきこと、創作に大事なものをたくさん学べると思います。
出版社の雇われ作家として、すぐに終わってしまう1巻を延々と出し続けるより、今の方が自分のキャリアにとって大切な時間だと感じて今は続刊を書き進めています。

3年前、発売一週間で2巻打ち切りが決まったはずの作品が、1000人もの読者に支えられて現在も継続できているのは、本当に有り難いことだと思います。

2018年1月アーマードール・アライブ公式サイト公開

あと活動と並行して、電子書籍を出すためにhtmlを独学で勉強した結果、そっち方面に転職して本業ではWEBをちょっとやってたりします。
本業で学んだ知識を活かして作品の公式サイトを作ってみたり、そのサイトを作ったときの経験を本業に活かしてみたり、なんか都市伝説と思われてた「趣味でも本業でもコードを書く人」という奴にすっかり自分がなってきてます。

armordoll-alive.funny-creative.com

そして現在

そんなわけでまあ、二次創作者のタダ乗り行為を叩いたり、出版社の問題を叩いたり、Twitterを凍結されたりとか色々ありますが、楽しく元気に作品を書き続けています。

世間ではなんか「問題を起こして出版を追い出されたキチガイ」みたいに言われてますが、僕は自分のことを「問題だらけの出版社を見限って創作を続けるために自分で出て行っただけ」としか思ってませんし、精神の問題の方もまあ古傷は痛みますが思考は正常に出来てると思います。
「売れてないザコ作家」とか言われてますが、一次創作文字同人で1000部売っても「売れない」扱いされるのはなんでなんでしょうね。みなさん壁サークルを抱える大手同人作家さんばかりなんでしょうか。
「絵師に宣伝を迫ったストーカー」とかもよく言われますが、それ言えば言うほど「あのイラストレーターは仕事依頼しても宣伝を一切手伝わない人間だ」って風評を広げるだけだと思いますね。別にやりたきゃどうぞご勝手に。

なんていうか、僕は炎上して頭がおかしくなったわけじゃなくて、炎上して目が覚めて正しい判断能力が身についただけだと思ってるんですよね。
だって出版社という権威を盲信して編集者をマーケティングのプロフェッショナル達だと思い込み、自分の大事な作品の著作権をバイト代程度の二束三文で売り渡していたなんて明らかに異常な行動でしたもの。
まだ洗脳が解けていない皆さんは誠に残念ですが、自分たちの信仰を守るために炎上作家という見えない敵と戦っててください。ここに居るのはただの電子書籍作家ですので。

とりあえずこういった形でちゃんと自分に関する一次情報を、できるだけ客観的に観測可能な実数を元に、時系列に沿ってご紹介させていただきました。
今後、ここに書かれてる情報と明らかに反したことを言ってるバカが居たら「ソースを調べる能力も気力もない無能で怠慢なバカか、人の形をした猿」として対応させていただく所存です。

そろそろ商業作家として活動した期間を、電子書籍作家として活動した期間が上回りますが、今後も頑張って活動していくことで「元ラノベ作家」ではなく「電子書籍作家」ってちゃんと呼んでもらいたいものですね。
幾谷正でした。

※補足

6月17日追記

Twitter見てたらこのエントリーを発見した読者の方が「続き出てたんだ! 買わなきゃ!」って反応してくれてたのを見かけて嬉しかったです。
ブログちゃんと更新した甲斐がありました。

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イラストレーターにTwitterでの宣伝をお願いした」だけであって「艦これの名前を使え」とは僕は一言も書いた覚えないんですが、日本語読めてますか?
三者が流したデマを真に受けて現実が都合良く見え、書いてもいない文章を脳内で作り出して現実と思い込むタイプの病気なんでしょうね。
こういった思慮のないデマを流す人間が居るからわざわざ説明をしたんですが、結局こういう人には何言っても無駄みたいですね。
はてブはあなたみたいな頭の悪い人間が自分の主張を広げるためのデマ拡散ツールじゃありませんよ。

救空【スクエア】 on Twitter: "大炎上(ある意味)有名電子書籍作家でも3年で3000部しか売れないのに、無名の新人作家の1巻を10000部売る出版社の力って凄いな。"

講談社ほどの資本力も権威も実績もなくても、起業すらしてない個人でも10分の1までは到達できるって考えたらむしろ凄くない?(ポジティブ)

6月18日追記

はてブコメントを「筆者の射程外から一方的に陰口叩ける魔法のツール」とでも思い込んでる原住民族共に現実を教えてやりたい。


絵師も編集部も「艦これ」の名前こそ使ってないものの、「某艦隊ゲームのイラスト」と最大限煽って宣伝してたのに、酷い逆恨みだ - ichiseのコメント / はてなブックマーク


僕がTwitterで炎上させるまであなた含めて誰も気付いてなかったですよねこれ? 
じゃあ最大限なんて口が裂けても言うべきじゃないし、最大限努力したのはむしろ僕の方なんですけど。
告知や広報は読者に知らせるために行うものであって、形だけ仕事したふりして作家を黙らせるためにやるものじゃないですよ。
一体この書き方で誰が「ああ、あの人ね。ならば買おう」って気付けるんですか?
「言われたとおりやったんだから文句言われる筋合いはない」なんて仕事のできない無能の常套句ですよ。

『アーマードール・アライブ』幾谷正氏の講談社ラノベ文庫とのトラブルについて - 好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

あと調べてみたら憶測で僕に関する記事を書かれているブログ作者の一人みたいですが、主観と偏見でだいぶ事実と異なることを書かれてますね。
未だに僕の話題が出るたびこの記事を鵜呑みにした人からストーカー呼ばわりされるんですが、本当に活動の邪魔ですね。
あなたがどういう思想でブログを書かれてるか知りませんが、僕みたいな作家の足を引っ張る目的で悪評を撒き散らし続けてるなんてあなたが僕のストーカーなんじゃないですかね。

表に出して喋らせたらいけない(売上に差し障る)タイプの作家だ - wdnsdyのコメント / はてなブックマーク

「今は作家が自分で自身をアピールして売り込んでいかなきゃいけない時代だ」って編集の皆さんも言ってることでしょ。
それで注目集めるようなこと言って売上になんの影響もない厄介なのに目つけられて、まとめスレできたり棘にまとめられたら炎上と判定されて問題アリってことで契約打ち切られたり出荷停止になったりするんだけどね。
じゃあ最初から一人で売り込んで一人で宣伝して、問題があったら自己責任ってことでやってる俺が一番正しいやり方じゃん。

ゲンコラを著作者に通報して反論する垢に「正論のブルドーザーで轢き殺すの気持ちいい」ってツイートして凍結された人やっけ - elephantskinheadのコメント / はてなブックマーク

そうだよ(迫真)

funny-creative.hatenablog.com

6月20日追記

「幾谷正って誰?」って人のためにラノベ作家デビューして出版社に絶望して炎上して電子出版始めて個人で3000部売るまでの経歴をまとめました - Funny-Creative BLOG

いつのまにか取次が電書バトからボイジャーに変わっていた。

2018/06/19 16:24
b.hatena.ne.jp

めちゃめちゃいい着眼点ですね。
一度「電子書籍の取次って一体何なの?」って疑問に答えたかったので今度ブログでネタにします。

「はだしのゲンコラ村」を公式に問い合わせて燃やしたら僕が凍結されたという氷と炎の歌

毎度お騒がせしております、幾谷正です。
えーっと、どこから話したものか。タイトルの通りです。

Twitterで行われている「はだしのゲン」のコマを無断改編および転載行為を見るに見かね、販売元である版元や作品を応援する支援団体に問い合わせ行ったところ、
その行為がよほど”著作権侵害者たち”の怒りに触れたのか、多数の方から違反報告を受けてTwitterのアカウントが凍結されてしまいました。

凄いですね、言ってる僕も何書いてんだって感じです。

経緯について

なんかTwitter眺めてたら「幾谷は無関係な団体に問い合わせただけだ」とか「作者の中沢啓治は亡くなってるから著作権者は居ない」だとか「幾谷は艦これで炎上した前科がある」とか情報が錯綜してるので、いちおう経緯をご説明します。
僕のアカウントは凍結されてしまっていますが、いちおうtwilogの方に発言は残してあったので、そちらからキャプチャする形で掲載します。
あと艦これの運営と揉めて炎上したのは事実です。

1.著作権侵害行為を見かねて、コミックを出版している汐文社とほるぷ社の2社に問い合わせメールを送る。

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2.ほるぷ社と汐文社からそれぞれ返信がくる

まず、汐文社からは以下のような返信がきました(5/30)
「認識はしているけど版権を管理しているだけなので言及できない。作品のイメージを汚すようなものがあった際には、著作権者と相談の上、対応させていただくことになるかもしれない」

いや、これだけ数多くの人間に著作がオモチャみたいに扱われておいて「イメージを汚してないし著作権者ともまだ何も話し合ってない」って、お前ら本気かよ。

とりあえず「じゃあやっていいの? ダメなの? そもそも本当に相談してんの? 事なかれ主義で見ない振りして侵害から目を背けるつもりなんじゃないの?」としか思えなかったので、Twitterでリプライ付きで投稿して置いて、言い逃げできない状態を作っておくことにしました。

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そのあと汐文社からは「社内で見解をアップするため用意していますのでそれをお待ちください」というメールが来たので、とりあえず待つことにしました。

またほるぷ社からは「作品の版権は汐文社が管理しててうちは刊行をしているだけ」という返答がありました。(5/30)

3.「NPO法人はだしのゲンをひろめる会」にも問い合わせを入れてみる

まず大前提として、著作権というのは財産権と同様、著作権者の死後は著者の遺族か、著者が指定した相続人に自動的に継承されます。
つまり「作者が亡くなっているから権利者は存在しない」というのは誤りですし、著作を管理しそれで対価を得ている権利者は今も存在しているのです。
皆さんは、著者が遺族に託した財産を不当に扱い、貶めているわけです。

で、「汐文社がだんまり決め込んだときに備えて、著作権者と繋がっていそうな筋をもう一つ当たってみよう」と思い立ち、NPO法人はだしのゲンをひろめる会にもメールをしました。
こちらからはすぐに返信が返ってきましたが、「著作権者や出版社に報告して対応する」という返事だけで、特に進展ないなと思いつつTwitterでこれを報告。

f:id:funny-creative:20180605205030p:plain

そしたらなぜか、5/30の出版社の問い合わせの件よりなぜかこっちの方が拡散され、燃えに燃え広がり、延々送られてくるクソリプと果てしない闘いをくり広げてたらなぜか凍っていました。
「幾谷は無関係なNPO法人に問い合わせただけ」って噂はこのせいで立ってるみたいですが、それについては否定します。
俺は効果的に燃やせるようにちゃんと狙って火をつけてるからな!!

4.そして伝説へ

一応今回の件について、問い合わせを行った先の一つである、「はだしのゲン」のコミックを販売している汐文社様から以下のような告知が出されていました。(6/4)

www.choubunsha.com

弊社の見解は以下のようなものです。

①下記にあるように、弊社は、弊社書籍内のイラストやマンガの転載は基本的にお断りしています。

/copyright/

②作品の著作権者が不利益を被るような内容であると弊社が判断した場合には、

著作権者にお知らせしています。

ただ、事が荒立てたくないばかりにこっそり出したかいあって、Twitter上ではごく一部の人しか気づいておらず、今も大量のコラ画像がアップされては著作権が蹴り飛ばされ続けています。
やたら時間が掛かったわりにこれでは何も言ってないのと変わりないですね、本当に故人の作品守る気あるんでしょうか?
「コラ素材として優秀な漫画を描かれる先生がたには早く亡くなって欲しい」と一部の人間に思われててもおかしくないと思います。

(追記:ねとらぼさんで今回の声明文が記事になっていました)

nlab.itmedia.co.jp

Twitterとかいう著作権侵害


はだしのゲン」のコラ画像著作権侵害として通報した人のアカウントが凍結されてるのって、起こってはいけない事なのでは?

「起こっとるやろがい!」って話ですよね。起きてしまったもんは仕方がないと思います。
著作権侵害をした側が凍結されるならまだしも、それを正論で批判した側が凍結されるなんて、なかなTwitterも香ばしいSNSに成り果てたなって感じです。

そもそも皆さん、本当に出版社が出しているコミックを自分で買って、それをスキャンして、加工した上でネットに上げているんでしょうかね。
僕はどうせ、誰かがファイル共有ソフトなり違法ダウンロードサイトで入手したモノを加工して、それを更に加工してと使い回してるんじゃないかとにらんでます。
侵害したのは最初の一人だけで、それを加工している自分たちに罪はないとでも思ってるんでしょうか。

実際、「加工しやすいようにセリフを消しておきました! 素材として使ってください!」なんて形で画像を上げている人も数多く見かけました。
なんで素晴らしい漫画を広める目的でやってる人たちが、その素晴らしい台詞をわざわざ邪魔な存在みたいに消してるんでしょうね。

仲には目を疑うようなこんなツイートすらも見かけました。


汐文社の声明「基本的にはお断りしてる」っていう公式凸された時の定型文+「作品の著作権者が不利益を被るような内容であると弊社が判断した場合には、 著作権者にお知らせしています」だから著作権者が被る不利益の無いゲンコラの場合は特に対応しないゾって遠巻きに言ってる感もあるな

ここまではっきり言われてまだ「許可だ」って言い張れるとかスゲーなお前! セクハラやめない勘違い男かよ!!

正直普段から「このマンガのセリフがすごく良いこと言ってる!」とか「これ面白いから皆見て!」って感じで漫画やアニメのキャプチャを貼り付けて。
それが拡散されたら「俺有名人じゃんwww」とか「拡散されたから宣伝します!!」とか、みなさん他人の作品をまるで自分のもののように利用していますよね。

それ、漫画村のやってたことと一体なにが違うんですか?

普段からあまりにカジュアルに著作権侵害が行われ、糾弾されず、それどころか糾弾した側が排斥される、低俗なモラルの人間達が自己肯定しあっているのがTwitterというSNSの実態だと感じています。
凍結されてしまってアカウントも作り直せない状況ですが、このまま使わないで居る方が自分に取っては良いんじゃないかなとも思えます。

宣伝に使うだけなら犯罪ではないという誤解について

日本に限らず広告というのは本当に巨大なマーケットです。個人も企業も自分の商品やサービスをより多くに知ってもらうために、多くの広告費をかけています。
ネットで動くお金の大部分は広告収益のやり取りですし、テレビだってスポンサーからの広告料で成り立っています。
広告というのは本来、大きなお金を払ってやるべきものです。

コラを使った広告の例と言えば、以前にこのようなものがありました。

dragonball.news

これ、一体どれほど巨額なお金が、資生堂から集英社鳥山明先生に振り込まれたか、想像ができますか?
そこで得られたお金は、また別の作品が生まれるために循環していくわけですし、作者もまた著作利用料という形で、コミック印税以外の利益を得られるわけです。

それを皆さんが、「漫画のコラで好きな商品を紹介するぜ!」だなんて勝手にやって、それが広まってしまったらどうなると思いますか?

本来払われるはずだった著作権利用料を作者は得られず、あなたの好きな商品を出している会社まであなたの起こした著作権侵害に巻き込まれてしまいます。

www.asahi.com

それに、以前はこのような目を覆いたくなるような侵害の例もみかけました。
今回でも、「自分の出してる同人誌をはだしのゲンのコラで紹介する」という、明らかな広告利用の例だってありました。

「宣伝のためにコラを用いても著作権者に著作利用料を払う必要はない」などという価値観が蔓延して、被害を被るのは一人ひとりのクリエイターです。
現状のコラ文化を看過することで日本の文化を破壊する片棒を担いでいるのはあなた達自身です。

僕を批判している皆さんへ

なんか僕の過去の炎上を持ち出して「あいつは殺していいやつだった!」とか、よく分からない盛り上がり方している人たちいますね。
とりあえず僕の炎上の詳しい経緯について知りたい方は、エッセイを以前に書いてるので良かったら見てもらえると嬉しいです。

kakuyomu.jp

あと、「こんなやつが作品を出すなんて許せない!」みたいなこと言ってる皆さん。
表現の自由を守りたいんだか踏みつけたいんだかよく分かりませんが、「気に入らない人間の表現は踏みにじっていい」って君たちの考えはよく分かります。
でもそういう人たちは特に読者として求めていないので、好きなだけ暴れてたら良いと思います。どうせ君たちごときには何もできないんだしね。

それでもどうしても、僕が小説を公開することに我慢できないというなら、ぜひ僕が作品を投稿しているサイトの問い合わせフォームからお便りを送ってください。

armordoll-alive.funny-creative.com

まあサイトの管理者も僕自身なんですけどね(笑)

わりと他人のプラットフォームを抜け出したことで、前よりのびのびと自由に発言できるようになったなって感じがします。
もしはてなブログの管理者に怒られたら、自分のサイトにブログを移し替えればいいだけですしね。

これからのクリエイターに必要な「脱プラットフォーム」という考え方について

もくじ

  • 長い前置き
  • 「Form and content」というとらえ方
  • いつまでそのクソみたいなプラットフォームにすがりつくの
  • 俺はTwitterのコンテンツじゃねえ!!
  • お前に都合のいいものを用意してくれるのはお前だけだ

長い前置き

こんにちは、また性懲りも無くTwitterが凍結されてしまいました。幾谷正です。

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正直、凍結も3回目ともなると「ああ、またか」って感じなんですが、めでたくブラックリスト入りしてしまったのか、プライベート用のサブアカウントも凍結されるわ、アカウントの作り直しも利かない。
そしてTwitter上ではクソゴミどもに言われ放題だわとろくな事がなく、わざわざまたアカウント作り直す意欲がほぼ完全に途絶えている感じです。

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今回の炎上の経緯と言っても「著作権侵害行為に強めの注意喚起をしたらヘイトを買って凍結された」という、まあ笑えない感じで。
言論統制じみた運営の言葉狩りに窮屈さを感じてはいたんですが、ちょっと目立ったことをするだけで有象無象から足を引っ張られるTwitterというサービスにメリットを感じなくなっている気持ちも正直あります。

これからの活動については、慌てて作成した公式サイトでご報告しています。
「幾谷先生の新刊情報はこれから一体どう追えばいいんだ!」って人はとりあえず公式サイト見といてください。

FunnyCreative | たのしいことがしたいだけ

また、長くなりそうなエントリーなどは今後もこちらのはてなブログで投稿していきたいと思います。
興味持っていただけたら「読者になる」をポチッと押しておいていただけると、たまに電子書籍の最前線で戦ってる僕の金言がながれてくると思います。

そして知人などとの交流についてはFaceBookを中心に行っていく予定です。
FB通した作家間のオフラインイベントにも積極的にしているので、アカウントお持ちの方もまだアカウント作ってない方も友達申請していただければ幸いです。

www.facebook.com

これらの詳しい活動形態については公式サイトでまとめているのでそちらもどうぞ。
公式サイトとブログをリニューアルしました | FunnyCreative


今回、一日がかりでサイト作り直したりサーバーの設定直したり、作ったまま放置してたサイトをあちこちメンテナンスしたりと結構大変でした。
それと同時に、Twitterという便利なプラットフォームに依存しすぎていた自分の作家としての怠慢と、「自分自身のドメインを持つ」というWEB戦略の重要さを再確認させられました。

前置は長くなりましたが、今回は前々から考えていた「脱プラットフォーム」という考え方についてお話しさせていただきたいと思います。

続きを読む

『アーマードール・アライブ』の作品公式サイトができました。

ご無沙汰しております、幾谷です。

このたび、『アーマードール・アライブⅣ』の発売と作者の人生4度目の転職を記念しまして、作品の公式サイトをオープンさせました。

armordoll-alive.funny-creative.com

今までTwitterやブログだけで宣伝活動を続けてきましたが、「具体的にどんな作品かわからない」とか「発売情報が分かりにくい」といった声があることや、
さすがに4巻も続けてると情報量が多くなってきてしまったので、こうして公式サイトを作ったりなどしてみた感じです。

既にお読みになってくださった皆様は、ご友人に作品を紹介するときは是非このサイトのURLを紹介していただければと思います。
またキャラクターの紹介イラストは本編では未登場の描き下ろしになってて、今後もいろいろ要素を増やしていく予定なのでたまにチェックしてみてください。

ちなみにこれ、誰かに依頼して作ってもらったとかではなく、CSSからjQueryからほぼ全て自分で書き起こしてます。
イラスト担当の友人にも素材製作めっちゃ手伝ってもらえてめちゃめちゃ感謝してます。おかげで良い感じのサイトにできました。

「作品を続けるために電子書籍を自力で作って自分で売る!」と思い立って活動を始めてからそろそろ3年目ぐらいですが、
とうとうサイトを自分で作るところまで来てしまいました。個人活動はなんでも自分でやらなきゃなので大変ですね(なんでもやるとは言ってない)

ただ、作品の単体サイトなんて「商業で活動してれば出版社に作ってもらえるのに」とか思われてそうですが、
ラノベ作品単体のサイトって、コストがかかったり運用が大変だったりで、作ってもらえることって実はあまりないと思います。
(アニメ化ぐらい大きなお金が動く段になって作られることはありますが)

編集が売るつもり満点で動かしてる企画は、事前にしっかりサイト作って告知されて書店ぐるみでキャンペーンして、
売れる作品を売るためのスキームをきちんと組んで動かされてますが、全ての作品がそのぐらいプッシュしてもらえるわけではありません。
作品の素材を使ったランディングページが発売前にちょっと紹介されて、殆ど誰にも知られないまま用済みになるケースが殆どだと思います。
僕みたいに自分でコーディングできたとしても、イラストなんかの素材の権利が出版社にあるせいで利用が難しく、結局何も出来ないまま発売日を迎えてしまいますしね。
信頼できない他人に全てを任せるしかない商業活動の苦い思い出に比べれば、何でも自分でやれる状況というのは精神衛生上とても良いなと思いました。

商業出版って、個人では出来ない色んな事を、多くの人に手伝ってもらって叶えるためにやるものなのに、
個人になった今の方が、出来ることが増えてるなんて、なんだか不思議な話ですね(笑)

今後も自分の作品の紹介サイトを作りたいって作家の需要は増えそうですが、それに対応できるカスタムテーマって全然なくって、
自分みたいに自作せざるを得ない状況なので、次は作品紹介サイトを簡単に作れるカスタムテーマの開発と公開とかやってみたいですね。
コーディングスキルばかり上がって肝心の原稿が遅れてしまったら元も子もないんですが。
自分でもすっかり忘れてたけど実は元ラノベ作家なんですよ僕(おさらい)

 

書くことも無くなってきたので終わります。

作品のこと〝ジャンル〟って呼び方するオタク全員○ね

長年オタクなんかやっていますと、ネットの影響とか通信技術の発達とかで、まあ昔とは変わったなーと思うこと多いんですけど
特に近年になってから、Twitterではこういう感じの愚痴を見かけることが日常的になってきたなと思うんですよ。

「最近、○○のジャンルが荒れ過ぎててつらくなってきた・・・」

「○○ジャンルの人たちはイタい人が多くて近寄りたくない」

 

いやね、こういうの見る度に思うんですよ。
何の話をしてるのお前ら?

アニメにしろ漫画にしろゲームにしろ、作品は作られて提供された時点で作品として存在するじゃないですか。
それを見たファンが、何か言ったりやったりした影響で、作品が変質するなんてことあるんでしょうか。
そりゃまあ、「ファンの感想から作家がフィードバックを受けて方向性を変える」なんてこともあるでしょうが、
それで作品がつまらなくなるのは〝真に受けた作り手側の技術がヘボ〟ってだけなんで、別にファンのせいにする必要ないと思うんですよ。

そもそも〝ジャンル〟って何やねん

話を戻しますが、たぶんオタクを自称する人たちの中でも「〝ジャンル〟って一体なに?」って疑問符つけてる人も多いと思います。
ジャンルってあくまで、たとえば「ガンダムのジャンルはロボットアニメ」とか「仮面ライダーのジャンルは特撮」とか、作品のカテゴライズの意味で使われるのが一般的だったと思います。
ところが同人活動の活性とか、ネットの普及によるファン同士の交流が増えた結果、ジャンルという言葉には別の意味が付加されるようになってきたみたいです。

おそらくは、コミケのような同人イベントに参加する際、「どのジャンルとしてサークル申し込みをするか」という使われ方から発展して、
〝そのジャンルで登録している人たち〟という意味に発展していたんだと思います。「葉鍵ジャンルでサークル出展している人たち」とか。
また、そのジャンルで登録されている同人誌を買うファンたちのことも包括した言葉として、使っている人たちもいるようです。

これがSNSの普及まで時代が進むと、毎日のようにキャラや作品の話がファンの間で交わされるようになり、ファンイラストがタイムライン上を飛び交い、まるで毎日同人イベントがやってるように錯覚するほどです。
この時代において、ジャンルという言葉が「ある作品のファンとして活動している人たち」という、かなり大きな枠の言葉として扱われるようになってきた感じします。
〝同人イベントにそのジャンルで登録している人〟という元の意味がぼやけていき、作品のファンを自称する人たちのコミュニティのことをオタクでは「ジャンル」と呼ぶようになったみたいです。

趣味と人間関係どっちが大事なの

で。本題なんですが。

僕が学生だった時代は、あくまで深夜アニメとかは「限られたごく一部の人たち」が見ている物で、オタクどうしのつながりとは、偶然にも同じ趣味や価値観を持った人、という認識でした。
まず作品に対する価値観が先にあって、人間関係が後でできるような感覚なんですよね。
たとえ相手のことは人間としてそれほど好きではなくても、偶然にも近い価値観を持った者同士だから、理解者として付き合う。宗教性に近い感覚だと思います。

それが今、SNSとか見てると、なんか逆になってるような気がします。
〝ジャンル〟という、何かよく分からない仲良しグループみたいなものが前提として存在して、その人間関係に参加するために作品に向き合ったりしているように見えます。

「去年まで○○ジャンルで活動してた人たちが、新しいジャンルに移ったから、じぶんもそれに併せて作品を見よう」

みたいな、コミュニティに参加するための道具としてしか、作品のこと見てないんじゃないかって思う瞬間がよくあります。
僕は個人的な持論として

なんてことを平気で言うやつなので、ぶっちゃけ「お互い違う作品を好きになったら分かれて別の道に進めばいいじゃん」って思ってます。
それでもし、いつかまた同じ作品を好きになったとき、「ようまた会ったな」と挨拶を交わすぐらいの関係で良いんじゃないでしょうか。

周りと話をあわせるために、一生懸命流行を追いかけて、仲間はずれにならないように話を合わせて。
オタクってそういう人たちを小馬鹿にしたような人たちがなるものだったと思います。
むしろ今のオタクと呼ばれる人たちの方が、一生懸命周りにあわせて同じゲームをやる、笑われる側の人間になってきてんなって思ってます。

作品のことを〝ジャンル〟としてしか見ていない人たちへ

作品にたずさわってるスタッフが何言ったとか、ある作品の二次創作出してるやつがどんな本出したとか。
それ、作品に何か関係あります?
次再生したときいきなり内容が変わったりします?

もし、つまらなくなって感じるんだとしたら、それは最初から

人間関係とか声優とかにしか興味がなかっただけで、作品そのもののことはどうでも良いだけでしょ。

「俺は声優が大好きだから作品のことなんて声優のPV程度にしか思ってない」って言い切る声優ファンとか
「アニメのキャラなんて同人誌で犯されるために存在するとしか思ってない」と言い切れるシコシコ野郎とかは
むしろ自分の道を貫いてるオタクなんで、好感が持てると思います。

でも、本当は作品のことなんかどうでもいいくせに、「○○ジャンルに関わる人たちが大好き!」とかクソ寒い発言する人たち。
価値観があまりに合わないので近づいてほしくないので、とりあえず死んで欲しい。

文字書きとして立命館の研究論文とpixiv小説について思ったこと

こんにちは、幾谷です。
立命館大学が発表した論文」がかなりネット上を騒がせていますね。

news.livedoor.com

SNS上ではなんか、小説なんて一文も書いたことない、著作権もろくに理解してないド素人どもの妄言が1万RTとか拡散されてて「地獄~!!」って感じです。

・商業作家としてデビュー経験があり、現在も個人出版で活動している
・WEBに自分の小説を公開した経験があり、今後も機会があれば再開する予定
・理系大学の出身でデータ解析系の研究で卒業論文を書いた経験があり、アカデミックに対しても理解がある

という僕が、当事者側としてきわめて有用なことをお話するので、耳触りのいいだけの妄言は鼻で笑って、とにかく俺の話を聞け。

 

何が問題なの?

まず著作権的な話をすれば何も問題ありません

1.著作物の一部を論文へ引用するのは、適切にやってれば、無断だろうが問題無い。
2.解析に用いることも「情報解析のための複製など」というド直球な規程があるので、大丈夫。
3.出典元を書かない方がむしろ問題なので、ハンドルネームを書いてるのは正しい。

なのでむしろ問題があるのは、「自分の作品が不特定多数に向けて公開されていて、著作物として扱われる作品だ」という自覚がなかった、作者たちの方だと思います。
pixivの規程にもちゃんと「作品の著作権はお前らのものだぞ」「問題があったらお前らで解決しろよ」と書いてあるのに、「規程なんか知らない。著作権もわからない」ってワガママ抜かしてる連中がアホなだけです。

仮に僕の作品が何らかの研究論文だとか、批評サイトだとか、個人のブログに引用を受けたとして、それが正しく著作権法に基づいて行われたものであれば、問題にはしませんし、文章を削除するなんて過剰反応もしないでしょう。
「著作を著作として扱われれたくない」という人たちは、結局のところ、最初から著作を公表すべきではなかったよね、としか言いようがありません。

特に今回問題になっているpixiv小説の場合、「マイピクに公開」という不特定多数に公開しないための設定も存在するので、作者側はこの設定によって自衛できたはずです。
(今回の件を受けて、この設定に変更する形で落ち着けた方もいると耳にしています)

f:id:funny-creative:20170526200535p:plain

見られたくないなら見られないようにすればいいでしょ。
好きで見られないようにしてるならそれでいいでしょ。

「作品を不特定多数に公表する覚悟のない人間を著作者として扱う必要がそもそもない」というのが僕なりの結論です。

プライバシーの侵害になるの?

また、今回の引用が「プライバシーの侵害だ」という意見もたまに目にします、が、なるわけねーだろ

例えば僕が「この小説の作者の名前って幾谷正っていうんだぜー」と公表されることで、プライバシーを侵害されますでしょうか。

というのも、「作家名」というものが本来、司法上ではしばしば「公人格」として捉えられるからです。会社名とかと一緒です。
僕という私人が、創作活動を業として行うため、公人として名乗る名義が著作者名です。
もともと「公」のために用いられるべき名称が「公表」されることで、何らかの害が及ぶとは考えづらいです。

仮に作者名のところに、公表していない本名が書かれてたとしたら、これはプライバシーの侵害でしょう。でも今回はそうではありません。
また「個人情報保護法違反」についてですが、これは業務上知り得た情報に関する法制度なので、今回の件で持ち出してるのは考えの足りないバカでしょう。

Twitterのアカウントがバレる? じゃあTwitterの名前と作者名を分離すればいいじゃん。
ひもづけられて困る情報を自ら進んでひもづけた人間の自己責任でしょ?

そもそも「BL小説を書いてるなんて知られるのが恥ずかしい!」という主張自体、何か「BL小説だけ特別扱いせねばならない」という偏見に基づいてはいないですか?

二次創作だから配慮すべきか?

いや、なんで法を守ってない人間に配慮しなきゃいけないんですかね

今回の件で一番僕がクソだなと感じているのは、論文という著作物を書いた研究者側も、著作権を守っている側の人間の一人なんです。
法律を守っている側が、法律を守っていない、知らない側のルールに合わせろ、と強要されているようにしか見えないんです。

「私たちは法を侵した活動をしているので、丁重に扱え」なんて傲慢が許されるわけないでしょ。日本は法治国家ですよ?

もちろんモラルという概念が大事なのは分かりますが、俺たちのモラルと彼らのモラルは違います。
自分に都合のいいルールを相手に強要すること自体がモラルの欠如です。

そもそも、法律というルールを守った上で、次にモラルの話をしてください。
ルールを守れていない人間が「ルールより俺たちの決めたモラルを大事に扱え」というのは、あまりに都合が良すぎます。
「私たちの決めたルールに反するから私刑にしよう」という本音が丸見えです。事実、現状が既にそうなっているでしょう。

二次創作という表現は、正直「法の支配が及ばない無法地帯」と成り果てています。
「表現だから無条件に守らなければならない」という主張も理解できますが、自由とはあくまで他者の権利を侵害しないという大前提に基づくものです。
今回の件にしろ、論文作者の表現と学問の自由を著しく害する立場として自由が主張されていますが、はっきり言って「どちらが公的に守るべき自由」であるかは明白です。

著作権違反というリスクを冒して活動してきた人間が、そのリスクを許容すればそれで済む話ではないでしょうか。

有害という表現は適切か?

いや、そういう評価も含めて表現じゃん。

僕も「こいつの作品はクソ」とか「害悪」とかたまに言われますけど、感想にしろ評価にしろ、する分には別に自由でしょ。

どうしてもその指摘が許せず、問題であり、著しく気分を害するものであるなら、作者が訴訟を起こして論文の作者を訴えればいいんです。
で、訴えられてない以上、外野は「許されたものなんだな」と認識するしかないんじゃないでしょうか。

この点については「作品の著作権者が自分の手で作品を守れ」としか言いようがないと思います。BLだとか二次創作だとか関係なく。

「小説を公開してたらクソだって叩かれた! うえーん><」っていう覚悟の足りないザコが、自由な表現の場から逃げ出しただけでしょ。
そんな奴どうせ、今回の件がなくとも遅かれ早かれ降りてますよ。
やめたきゃやめればいいじゃない。
自分の勝手で始めたくせして、やめるときだけ人のせいにすんな。
賞賛だけ欲しけりゃお友達だけに見せてろ。以上。

研究の引用に許可は逐一取るべきか?

僕は、あくまでも僕は、取らなくていいと思います。

機械学習にしろ、ビッグデータにしろ、大量に標本を採集する必要のある研究において、全ての引用物に対して許可を取れなんて言うつもりはありません。
これは文章分野だけに限らず、イラストを使った画像解析にも、音楽を使った音声解析、動画解析、あらゆる研究対象に波及しかねない問題です。
全てに許可が必要だという“一部の人間の主張するルール”が、公共の利益に対して及ぼす害は計り知れないものだと思います。
ただでさえ日本の研究は遅れてるのに、さらにハンデがつくのクソじゃん。

誰にでもアクセス可能な開かれたプラットフォームは、作者にとっても、読者にとっても、また研究者にとっても有用なものであるべきです。

モラルを守れだとか体の良い言葉を並べても、結局これらの主張は

「私たちは法を侵した活動をしており、著作者として振る舞う覚悟が足りず、不特定多数にも見せたいので、世間が法を越えた配慮をして欲しい」

という、聞くに値しない戯言です。
何で法律を守ってないモラルの低い連中の側に、モラルのレベルを合わせてやらなければいかんのですか。

著作権法を遵守するというモラルに基づき、適切な引用が行われるのであれば、WEB上に公開されるあらゆる著作を断り無く利用することに、僕は賛成の立場を表明します。
これは繰り返し申し上げますが、何も書いてない口ばかりの外野としてでなく、著作者という当事者の立場からの意見です。

仮に「現行法が間違っている」と主張するなら、法律改正なり、国外で活動するなり、好きな道を選んで活動してください。
口だけの連中はもうお願いだから黙って身の程をわきまえて。