前回:「電子書籍を作ってみて気づいたことあれこれ・その1」選ぶこと多すぎ編
今回は実際にどんなソフトを使ってEPUBデータの変換を行ったかという点について書いていきます。
おそらく電子書籍に興味のある方は既にもう、様々なソフトを使って試された後かと思います。
もし自分の本を読んでいただいた方の中で、「自分も作ってみたい」と思ってくださった方が居たとします。
その方達がイチから始めるとき、まず何をすべきか、どう選ぶべきか、という部分を主軸にして書いていきます。
あくまで「どれが楽に使えるか」「導入しやすいか」という視点に基づいて書いていきます。
要するにユーザーベースの考えです。まさか開発側の方が見られるとは思いませんが、念のため。
また、今回は一太郎やInDesignのような有償ソフトについては使う予定がないので書きません。
画像とテキストがベースの小説本に対して、これらのソフトの機能を使うのは過剰であり、費用対効果が薄いこと。
また、 凝ったデザインを作っても表示端末によってかなり見た目が崩れてしまうので、シンプルに最低限の機能だけ使うのがいいでしょう。
◆AozoraEPUB3
×思い通りのスタイルにしたいと思うと学ぶべきことが多く好みのレイアウトにするのに時間がかかる
×あくまでwebサービスのため、今後サイトが閉鎖されたりサービスが終了した場合の代替手段を考えておく必要がある
○EPUB3の導入とともに死んだと思われていたがいつのまにかよみがえってた。
○ワープロ形式で簡単にEPUBを作れる。
○多くのファイルを一括でまとめて管理できるためバージョン管理や修正がしやすい。実際に作ってみるとこの点はかなり強力。
○レイアウトの変更や構造の管理など、これ一つでなんでもできる。webページ制作経験がある程度の知識があれば使える。
×EPUB2時点までは「縦書きを作るならこれ一択」と言われていたが、現在は優秀な対抗馬が多いため大してメリットがなくなった。
×海外ソフトのため当然ながら言語や使い方が英語、サポートも英語、中の仕様も英文向き。
×EPUBの構造や仕組み、動作原理が理解できていないと使いづらい。素人がいきなりこれを使うと使用法を覚えるだけで死ぬ。死んだ。
○アルファにしてオメガ。
○なんだかんだで最終的にはこれを使うはめになる。
○理論上はこれとテキストエディタ、各素材さえあればあらゆる書籍を作成できる。
×もちろん現実的ではない。
次に、実際に原稿を書く際の書式について書いていきます。
原稿制作をする際はこれの問題がかなり大きいです。

とりあえず単純に、このサンプルをそれぞれのソフトで表現したい場合、何を書けばいいか見ていきます。
全角で指定を打ててコマンドも対話形式(日本語的)なので、原稿を書きながらタグを打つという動作に馴染みのない方にもオススメできます。
一点注意していただきたいのは、全角です。「|」も「#」も全て全角です。
半角だと上手く認識されずにエラー起こすので最初使ったときビックリしました。
日本語を後生に残すための 書式である以上、タグも全角であるべき、という制作者の思想なんでしょうか。謎です。
また、全角の《》の記号を使うとルビとして解釈されてしまうという、ちょっとした落とし穴があります。
≪≫で代用する手もあるんですが、ちょっと見た目が悪くなるのが困りものです。
既に青空書式になれている、または青空書式で書いた原稿を変換したい場合は優秀だと思います。
ちなみに「なろう」で公開した作品をそのまま電子書籍にして販売する試みは、既にどこかの誰かがやって悲しい結末を迎えています。
でんでんコンバーター → でんでんマークダウン
例:{漢字|かんじ}、*強調*
でんでんコンバーターを制作された方が独自に考案された書式です。
半角のため、いちいち全角から切り替えないといけないという煩わしさがありますが、慣れればなんとかなるでしょう。
打ち込んだ記号をあとで一括置換するという手もあります。自分はまだ試していませんが、かなり効率化出来ると思います。
それと注意なのが、上の例通りに打っても傍点がふられるわけではありません。
スタイルシートにちょっとした改造が必要となります。
この改造の段階でつまづく方にはあまりオススメできませんが・・・(盛大につまづいて丸一日消費した)
記号の種類が多いので覚えるのに一苦労ですが、使う機能はどうせ限られてるので覚えることは多くありません。
また、僕のやり方が悪いだけなのかも知れませんが、「青空書式→でんでんマークダウン」の変換がかなり難しいです。
逆はスムーズなんですが、ここを重要視する人は覚えて置いて損はないと思います。
イチから原稿を書こうとしている方は、この記法を覚えてEpub制作されるのがオススメです。
試しにでんでんコンバーターで制作した「ファイル.epub」を「ファイル.zip」に書き換えて、zipファイルとして解凍してみましょう。
僕が現在Kindleで販売している書籍の中身だとこんな感じのものが出てきます。
実際に自分が記述しているのは各xhtml内の文章と、cssファイルの中身のみです。
残りの細かな設定ファイルはコンバーターが自動で生成してくれます。
実は電子書籍ってローカルなwebページを本みたいに表示してるだけなんですね。
なのでレイアウトを制作するときは、「はじめてのホームページ制作」みたいなサイトに書いてあるタグ一覧を読みながら作ってました。
話を戻すと、上二つのソフトは「テキストファイルからwebページを作ってくれるソフト」。
sigilは「中身のwebページを作るためのソフト」です。
袋入りラーメン作るのと麺からラーメン作るぐらい違います。
逆に言えば、これらの生成されたファイルの中身や仕組みを理解できれば、コンバーターで制作したファイルの中身を開いて自分好みに調節したり、いちいち変換せず細かい修正をしたりといった、スムーズな制作が可能となります。
でんでんコンバーターを利用してファイル制作したと言いましたが、実際にはでんでんエディタとwinRARを利用したレイアウト調整がメインの作業でした。
この辺の話が理解できるならばsigilを使った原稿制作はオススメできます。
理解した今もあまり使う気は起きないんですけどね!!
記法としてはhtmlタグをじかに打ち込むことになります。
代替記号で書いておいて、後から変換するなどの方法を取るなど回避策はあります。
結局それマークダウンじゃね?
結論としては、自分と同じように文章屋がイチから書籍を制作しようと思った場合「AozoraEPUB3」か「でんでんコンバーター」の二択から選ぶのがまず最善だと思います。
今まで二作制作していますが、それぞれこの二つを利用して作っています。
他のKDP作家さんたちは、もっと別のソフト使ってるんでしょうか。
この辺りの情報交換を、今後はもっと活発に行っていきたいんですが、コミュ障だから困ったなあ。
次回は何を書こうか考え中です。
まだ人に教えられるほど知識があるわけではありませんが、リクエストあればお待ちしてます。